民進党・新緑風会の平山佐知子議員は2日の参院本会議で、政府提出の「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案」について質問した。同法案は、民主党政権時に成立した、年金受給資格期間を25年から10年に短縮し無年金者を救済する法律の施行日を、消費税率の10%引き上げ時(再延期により2019年10月となる見込み)から、2017年8月に改めようとするもの。

 平山議員は、「2012年に野田内閣の『社会保障と税の一体改革』によって、厚生年金と共済年金を統一する『被用者年金一元化法』が成立し、同時に遺族基礎年金の父子家庭への拡大や、産休期間中の社会保険料免除、短時間労働者への厚生年金・健康保険の適用拡大や基礎年金の国庫負担2分の1の恒久化、そして今回議論されている、年金受給資格期間の短縮を含む内容が盛り込まれた『年金機能強化法』が成立した」「民主党政権は、社会保障の充実・安定化のための財源を確保し、財政健全化への道筋をつけた。さらに民主党政権下で実施を決めた受給資格期間の短縮は、今まで25年間年金保険料を納付しなければ年金の受給資格を得ることができなかったことによる無年金者約64万人を救済するといった意味で、大変重要な課題であった」と、これまでの取り組みを説明した。

 平山議員は、「2017年4月に施行されることを期待して国民年金保険料を納付していた高齢者のためにも、施行期日を予定どおりの17年4月とし、同年5~8月分の年金を支給できるようにすべきではないか」と指摘した。塩崎厚労大臣は、「対象となる高齢者に、不便や迷惑をかけることのないように事務を進めていかなければならない」と述べるにとどまった。

 平山議員は、必要となる財源について「他の社会保障予算を削って捻出することがないようにすべきだ」と訴えた。塩崎大臣は、「今後の予算編成過程で確定していく。税収や歳出の効率化の中で確定化していく」と述べ、踏み込んだ答弁は避けた。

 保険料納付率の向上策について平山議員は、「2015年度の国民年金保険料の納付率(現年度分)は63.4%にとどまる。特に、25~34歳の納付率は約54%であり、若者の納付率向上のための対策を講ずるべきだ」とただした。塩崎大臣は、「厚労省は、日本年金機構と連携しながら、年金の仕組みなどの公的年金制度の意義について周知・広報を推進している。口座振替やコンビニエンスストアでの納付、クレジットカード納付など、保険料を納付しやすい環境整備にも努めている」と答えた。

 また平山議員は、高所得者であっても保険料の滞納者が一定程度いるとして、「高額所得者でありながら未納を続ける者に対しては、徴収強化の対策を講ずるべきではないか」と問いかけた。塩崎大臣は、「保険料の収納対策は大変重要な課題だ。一定以上の所得がありながら、保険料を納めていただけない全ての滞納者に対して督促を実現するよう、2018年度を目途に督促の対象範囲を順次拡大し、強制徴収の対策を強化する」と答え、今後も収納対策に取り組んでいくとした。