衆院本会議が10日午後開かれ、民進党ほか野党が連携して提出した山本農水大臣不信任決議案が上程された。

福島伸享議員

福島伸享議員

 福島伸享議員が決議案の提案理由を説明し、「TPPの審議が深められなかった一番の責任は、山本農水大臣にある。内閣の一員が国会の運営に口を挟むという言語道断、前代未聞の発言だ」と、「強行採決」などに言及して問題発言を繰り返した山本大臣の責任を追及し、「誠実さに欠け、反省をせず、国民と国会に混乱をもたらす山本大臣は即刻罷免すべき」と訴えた。

村岡敏英議員

村岡敏英議員

 村岡敏英議員が続いて賛成討論に立ち、「農家の暮らしがかかっている問題だ。山本農水大臣の発言はとうてい看過できない。農家の気持ちが分からない大臣を信頼することはできない」と述べ、政府の緩みきった体質についても「世論などどうにでもなると思っているのではないか」と厳しく批判した。

 決議案は採決の結果、与党などの反対多数で否決された。

 続く議事日程では、TPP承認案と関連法案の採決が行われ、升田世喜男議員が反対の立場から討論をした。

 升田議員は、「第45代アメリカ大統領に当選したトランプ氏はTPPに関して、『就任初日に、離脱を宣言する』と表明し、明確に反対している。国内世論も65%以上の国民が、審議不十分の声を上げている」として、「このような政治状況の中でTPPを急げと言っている人は、もはや誰もいない。採決は止めるべきだ」と訴えた。

升田世喜男議員

升田世喜男議員

 TPPの審議経過についても、「秘密主義で、詭弁を繰り返す。安倍政権の説明と対策は、まさに『嘘』と『隠蔽』で塗り固めたものであって、民進党はとうてい納得できない」と批判した。

 さらに「TPP協定の中身は、わが国として攻めるべき分野を攻めきれず、守らなければならない分野が守られていないのが実態だ。このようないい加減なTPP協定には、とうてい賛成することができない」と断じた。

 討論終局後、強行採決に強く抗議して民進党など野党3会派所属議員が退席する中、TPP協定と関連法案は与党などの賛成多数で可決。参院へ送付された。