参院TPP特別委員会でのTPP承認案と関連法案の総括的質疑が14日に開かれ、小川勝也議員がまず質疑に立った。

 小川議員が「TPPは客観的に考えて、米国が批准をして成立する可能性が大幅に低下したのではないか」と問うと、安倍総理は「米国大統領、米国議会が決めることだが、状況としては厳しい状況になってきたと認識している。しかし、何とか推進するという強い決意に変わりはない」と答弁した。

 小川議員は、「(安倍・トランプ会談結果について)きちっとした報告を受けて、この委員会はまじめに審議をする。われわれは責任野党として、自由貿易を進める方向で審議してきた。自由貿易体制が重要だというなかで、なぜTPPがだめだったのか、この委員会で議論することはムダではない」と指摘し、しっかりとしたルールに基づいた新しい自由貿易体制について国民の合意を得る重要性を説いた。 

 また、「安倍総理は、ジョセフ・E・スティグリッツ博士の講話を聞いているはずだ」と指摘し、「博士は『2002年から2007年の間の景気回復時、米国の国民所得の増加分の65%が、上位1%の懐に転がり込んでいた。対照的にほとんどの米国人の暮らし向きは、右肩下がりで悪化している』と指摘している。これが、今のゆがんだ自由貿易体制の結果だ。そうならないように、施策を積み重ねてやっていかなければならない」「今の日本も、富の分配方法がだんだんゆがんできている。自由貿易は賛成だが、分配のゆがみを是正していかなければ、国民の理解は得られない。自由貿易を支えるために中小企業の人材育成、教育など人への投資が必要だ。日本は、教育にお金を使わない国になった。前提が整っていないのだ。今の強いものが勝つという自由経済では、誰もついていかない」と説いた。

 さらに、「ヨーロッパやEUでは、しっかり国民の生命、財産、健康を守っている。TPPで日本が有利になる分野があることを否定はしない。しかし自由貿易体制の怖い面も、しっかり認識してほしい。トランプ氏と会談した結果を安倍総理が持ち帰ったら、さらに審議をしたい」と述べた。

小川勝也議員

小川勝也議員