参院TPP特別委員会の総括質疑が14日に行われ、民進党・新緑風会の2番手として江崎孝議員が質問に立ち、衆院でのTPP強行採決問題、遺伝子組み換え生産品に関する規定、遺伝子組み換えで作られた魚の流通問題、モダンバイオテクノロジー生産品、遺伝子組み換え生産品の表示基準、米大統領選前のクリントン氏とだけの会談等について安倍総理の見解をただした。

 9日に大勢判明した米大統領選の結果、中国包囲網とも言われるTPPに反対しているトランプ氏が当選を確実にしたにもかかわらず、安倍政権・与党が翌10日にTPP承認案・関連法案を衆院で強行的に可決させたことは、米中関係や米ロ関係の変化の可能性を予見していないと安倍政権の国際情勢認識を追及した。これに対して安倍総理は、採決は国会が決めることなどと答弁し、自らの責任を回避する姿勢に終始した。こうした総理の政治姿勢について江崎議員は「間が悪く、世界の流れに逆行している」と強く批判した。

 安倍総理が自由貿易で潤ってきたわが国はTPPを推進しなければならないと主張していることに関連して「TPPが進めていこうとする自由貿易と国民が一般に考える自由貿易という概念の間には大きな齟齬(そご)がある」と指摘した。1956年度~73年度の日本の経済成長率の平均が9.1%、74年度~90年度で4.2%、NAFTA等の自由貿易協定導入期を含む91年度~2015年度で0.9%だったことを示し、「安倍総理が強調する90年代以降の自由貿易体制は日本の経済成長にプラスになっていない」と問題視した。

 1990年代以前の自由貿易体制では関税をはじめ国内産業を保護する規制を維持しながらも確実な経済成長を遂げてきたのに対して、1990年代以降は「新自由主義、グローバリゼーションという意味での規制緩和を中心とする自由貿易協定が広がってきた。これは自由貿易という美辞麗句の仮面を被った新自由主義、グローバリズムで貧困と格差を世界に蔓延させた」と総理の主張する自由貿易の問題点を指摘し、「それを自由貿易と総理が主張するなら、私は真っ向から反論する」と江崎議員は、TPPに対する明確な反対の姿勢を示した。

江崎議員