民進党の野田佳彦幹事長は20日、鳥取県入りし、発災から1カ月が経過した鳥取県中部地震で大きな被害を受けた倉吉市内の被災地各所を視察した。林昭男副知事から地震に伴う国への緊急要望を受けるとともに、党鳥取2区総支部長の湯原俊二氏と面談し、被災住民の生の声や復旧に向けた課題について意見交換した。

 倉吉市を代表する多目的ホールである県立倉吉未来中心ではホールやアトリウムの被災状況、観光名所で重要伝統的建造物保存地区内の「白壁倶楽部」では漆喰壁の崩落状況、学校給食センターでは天井落下や調理器具損壊、JA鳥取中央倉吉梨選果場では設備損壊――等、各被災現場で関係者から被害状況や復旧に向けた取り組みについて説明を聞いた。

林副知事から要望を受ける野田幹事長

林副知事から要望を受ける野田幹事長

 林副知事からは、観光産業等への風評被害対策、農業被害への支援、歴史的建造物等の修繕等に係る支援、災害査定の円滑な執行と被災施設の復旧に係る財政支援、復旧・復興に係る財政支援、迅速な応急危険度判定及び「り災証明書」の早期交付に向けた支援体制、被災者生活再建支援制度等に係る柔軟な対応等を柱とする「鳥取県中部地震に伴う国への緊急要望」について説明を受けた。

 湯原総支部長からは「阪神淡路大震災や東日本大震災とはレベル的に異なるものだが、被災地では高齢化が進んでいるので、壊れた屋根を自分で直せないとか、視察していただいた梨選果施設でも、これから何年梨を作れるか分からない中でどうやってやっていくのか。当事者にとって自腹の負担は大きく、ご尽力願いたい」と復旧に向けた支援要請を受けた。

湯原総支部長との意見交換

湯原総支部長との意見交換

 野田幹事長は湯原氏に対して「被災地域を回ってみて、報道や党に入る報告とは違う。ブルーシートで覆われた屋根を多くの地域で見かけた。鳥取の未来を展望する施設、歴史と伝統ある建造物、子どもたちの食事を作る給食センター、名産の梨の選果場を見たが、いまだに各所に傷跡が残っていることがよく分かった。鳥取県からも要請を受けたので、野党ではあるが、予算付けを含めてしっかり支援していく」と述べた。

 一連の視察日程を終えた野田幹事長は記者団の取材に応じた。鳥取県来訪の目的について、湯原総支部長の応援と選挙対策上の引き締めを狙ってのことかと問われ、「今指摘されたこともあるが、被災地を自分の目で見ることも大きな目的だった」と答えた。党本部として何ができるかも問われて「いろんなところで深刻な被害が出ているのを目の当たりにした。これから寒くなるので生活再建を急がなければならない。予算措置を含めて後押しできることはしっかりやっていきたい」などと語った。

白壁土蔵群で被災住民を激励する野田幹事長

白壁土蔵群で被災住民を激励する野田幹事長