村岡敏英ネクスト農林水産大臣は16日午後、徳永エリ・ネクスト農林水産副大臣、篠原孝、佐々木隆博、小山展弘各衆院議員とともに、農林水産省の礒崎陽輔副大臣を訪ね、日本と欧州連合(EU)の経済連携(EPA)交渉における農林水産物に関して、山本有二大臣宛の申し入れ書を手渡した(写真上は、申し入れを行う民進党議員。左から佐々木衆院議員、徳永参院議員、磯崎副大臣、村岡ネクスト農水大臣、小山、篠原両衆院議員)。

 日欧EPA交渉については、年内の大枠合意を目指し緊迫した情勢となっているが、TPPのような守秘義務契約はないにも関わらず、政府からこれまで交渉状況に関する一切の情報開示はなされていない。安倍政権は、TPP協定の発効が困難となる状況下で、その埋め合わせとして突如、日EU・EPA交渉の早期妥結に方針を転換したが、安易に譲歩すれば、農林水産業とりわけ酪農や畜産への深刻な影響は免れないことから、今回、(1)わが国として安易に譲歩を重ね国益が損なわれないようにすること(2)豚肉や乳製品をはじめとする農林水産物の重要品目についてはTPP協定の水準を前提とはせず、必要な水準の国境措置を確保すること(3)国民への十分な情報開示を徹底、幅広い国民的議論を行うよう措置することーー等を申し入れた。

 申し入れを終えた徳永ネクスト農水副大臣は、記者団の取材に対し、「情報が全く出てこない中で、農林水産物の関税に関する交渉については、TPPより高い自由化レベルの交渉が行われているとの見方もあり、農業者の現場の間には不安が広がっている」と指摘し、「政府は日欧EPA交渉に関する情報をできるだけ出すべきだ」と述べた。また、篠原衆院議員は、かねてより民進党が法定化のための法案を提出していた牛と豚の畜産経営安定事業(マルキン)について、ここにきて自民党がTPP協定の発効を待たずに即時施行する内容の議員立法を検討していると報道があったことについて、「先のTPP特別委員会で私たちの議員立法は全く審議もされず棚ざらしになっていたにも関わらず、ここにきて自民党が議員立法の動きをしていることはいかがなものか」と、与党・政府の対応の矛盾点を指摘した。

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