民進党政務調査会長 大串博志
ネクスト厚生労働大臣 足立信也

 政府は本日、年金カットの新しい試算を示したが、民進党の要求した昨今の経済前提をふまえたものではなく、不充分である。

 試算は、平成33、34年度の賃金上昇率をリーマンショック時の平成20、21年度の実績に置き換えたに過ぎない。このような試算であれば、法案審議の中で示せたはずである。それをせず、説明責任を果たさなかった政府に対して、改めて抗議する。政府は、少なくとも過去10年の物価と賃金の変動率、長期金利、積み立て金運用利回りを将来の年金改定に反映した試算を出すべきである。

 今回の法改正により、将来世代で賃金が下がり、新ルールが適用された場合には、今よりも将来世代の年金額が下がる可能性があることがより明らかになった。政府の今までの主張と異なるこのような重大な試算結果が、法成立の後に公表されたことに強く抗議する。

 また、試算は将来世代が年金を受け取るようになってからは、新ルールが発動されない前提となっている。新ルールは将来世代にも適用されるものであり、適用される場合の試算を出すべきである。

 新試算では、将来の所得代替率が0.2~2.5%上昇するとしているが、そもそも、将来の基礎年金の所得代替率は、マクロ経済スライドによって3割程度減ると見込まれており、焼け石に水である。この試算により、年金カットの新ルールが、世代間公平の向上や年金の最低保障機能の回復にとって、役に立たないことが改めて確認された。

 民進党は、試算の出し直しを要求するが、これ以上の試算は財政検証以外では無理である旨の返答もあった。次期財政検証までに、公的年金のあり方、基礎年金の役割等、年金制度の抜本改革の議論をさらに進める所存である。

以上