蓮舫代表は19日午後、定例の記者会見を国会内で開き、(1)20日から始まる第193通常国会(2)文部科学省の天下りあっせん問題(3)米国のトランプ新政権の誕生――等について発言した。

 20日開会する第193通常国会に臨むに当たって、「国民の皆さんの声をしっかり代弁できる国会論戦にしたい」と表明。「私どもの認識は、現内閣の経済政策は必ずしも順調ではないと思っている。特に地方ではその結果が顕著だということが、地方を回っているとよく分かる。働き方改革以前に仕事がない、再就職ができない。雇用そのものが失われている地方の惨たんたる状況を目の当たりにするなか、国家公務員だけが権限や財源を持っている所管省庁からその対象のところにあっせんで天下りすることは到底理解が得られるものではない。本日、党として各省庁に対し同じような天下りあっせんの事例がないか報告するよう依頼しているので、早々に報告を出してもらい、現状を分析したうえで必要があれば代表質問では総理の考えを問わせていただく」「政府が間違ったことを行っているのであればそれは正す。しっかりと行政監視の役割を果たす。あるいは国民が幸せにならない法案を強行しようとするのであればそれに対ししっかりと反対の姿勢を示しながら、間違っているということを訴えていく」と力を込めた。

 文科省が国家公務員法に違反して同省前局長の再就職を組織的にあっせんしていた疑いがあるとして、政府の再就職等監視委員会が調査している問題については、「早急に調査内容、結果についての書類、資料等を公開してもらいたい」「安倍内閣からは行革の言葉が全く聞かれなくなったと思っていたら、われわれが戦ってきたことがこうして水面下で元に戻っているような残念な事態になっていないか。国会でもしっかりと政府の声を聞きたい」と指摘。同省の事務方トップの前川事務次官が引責辞任の意向を固めているとの報道もあるなか、「当然国会で説明する責任があるので早々に説明していただきたい。このあっせんが下村前文科大臣の時期であれば当然説明の責任はある。幹部の人事については官邸直轄であり、総理や官房長官も他人事のように答えるのではなく自らしっかりと改革をする説明責任はある」と述べ、国会での大きなテーマになるとの考えを示した。

 加えて、監視委の調査に対し虚偽の答弁をしていたとの報道もあるとして、「法律に違反した上にうそをつくというのはあまりにも悪質だ。こういうことが本当にあったのか、文科省だけの問題なのかを含めて国民の厳しい眼差しに答え説明する責任が政府にはある。私たちは野党として行政監視をする役割があると思っている」と述べた。

 集団的自衛権の行使を認めた2014年7月の閣議決定に関連し内閣法制局が国会審議に備えて作成した想定問答について、総務省の情報公開・個人情報保護審査会が情報公開法などで定める「行政文書」当たるとして開示すべきだと答申したことを受け、法制局はこれまで拒否していたものを一転し開示した。このことを取り上げた蓮舫代表は、「情報開示自体は歓迎するが、どうして国会の要求は拒否しているのに、情報公開・個人情報保護審査会の求めには応じるのか。法制局長官は国会でしっかり説明する必要がある」と指摘した。

 20日に予定されるトランプ次期米大統領の就任式を前に、「就任式でどのようなスピーチをするのか細やかに注視していきたい」と発言。トランプ次期大統領の、当選以降この間のメディアや特定企業に対しての乱暴な物言いやSNSを使った発言を問題視し、「今後こうした手法が自由や民主主義、法の下の平等という日米が共有していた価値観の下で行っていくことができるのかどうかも確認したい」と述べた。