衆院本会議で23日午後、安倍総理の施政方針演説など政府4演説に対する代表質問の民進党2番手として大串博志政務調査会長が質問に立った。質問では(1)天下り問題(2)閣僚等の資質(3)民進党の経済政策、人への投資(4)働き方(5)年金(6)中小企業(7)農業・経済連携について、TPP等(8)農業・経済政策について、農協改革(9)共謀罪(10)IR・カジノ(11)東日本大震災からの復興と福島第1原発廃炉費用問題(12)沖縄、辺野古い絶問題・オスプレイ給油再開――等の問題を取り上げた(原稿全文はPDFダウンロード参照)。

 大串政調会長は冒頭、「安倍政権のおごり、緩みが省庁にも波及しているのではないかと思われる問題が発覚した」「悪質極まりないもので、事務次官まで関与していたわけだから『トカゲのしっぽ切り』で済む話ではない」などと指摘。安倍総理に対し、「他省庁では同様の事案はないか、政府全体の信頼をどう取り戻すか、対応を求めた。安倍総理は「徹底した調査を行い、再発防止策を講じる」と述べたうえで、調査結果がまとまり次第明らかにし、方針を示す考えを表明した。

 閣僚等の資質に関しては稲田防衛大臣の靖国神社参拝、自民党福井県連の独自調査結果として公表した高木毅前復興大臣が約30年前に女性の下着を盗んで現行犯逮捕されていたこと――の2点に言及。高木前大臣の件については、大臣在任中、疑惑に関し「そのような事実はない」と繰り返し答弁をしていたのは全てうそだったことになり、黙認するかのような答弁をし、嘘をつき続けた大臣に震災復興という重要任務を任せた安倍総理の任命責任も指摘した。

 「人への投資」を中心とする経済政策に関連しては、「安倍総理の経済運営の下で、すでに4年余りが経過した。安倍総理はアベノミクスの成果を自画自賛しているが、各種世論調査では、実に7割から8割の人が『景気回復を実感できない』と回答し続けている」「円安・株高に誘導しても、企業や国民に根強い将来不安がある限り、設備投資も消費も伸びない。これがアベノミクス失敗の根源。今、必要なことは『将来不安の払拭』と、持続的な経済成長のための『人への投資』」だと述べ、民進党がまとめた「人への投資」を中心とする経済政策を紹介した。

 大串政調会長は、「将来不安を払拭すれば、消費も上向き、家庭を持つことのハードルも下がり、必ずや経済成長につながる。また、知識とイノベーションを生み出す主体である『人』を育て、成長させることこそが、民進党の経済政策である『人への投資』である」と説明し、特に就学前教育から大学までを含めた教育の無償化などをの重要性と大串政調会長は述べ、具体的に就学前教育の無償化、小中学校の給食費等の無償化、子どもたちを区別しない高校無償化、大学学費の大幅減免、無利子奨学金の拡充――等を提案した。

 共謀罪に関しては、安倍政権が今回の法案提出に当たって罪名を共謀罪から「テロ等準備罪」とし、対象を団体から「組織的犯罪集団」に絞り、要件に「実行準備行為」も加えるほか、対象罪種の限定を検討することなどが報じられていることに言及しながら、「そもそも共謀罪は、国際組織犯罪防止条約締結のための国内法整備として必要とされているが、同条約は『自国の国内法の基本原則に従って必要な措置をとる』ことを求めているにすぎず、この点、わが国の刑法体系においては、予備罪・準備罪・ほう助罪・共謀共同正犯などの形で、共謀を犯罪とする措置がすでにとられているため、条約が求める国内法の整備としては、現行法で十分という有力な議論がある」と指摘した。安倍総理は、現行法では不十分で、「3年後に差し迫った東京オリンピック・パラリンピックを開催するためにはテロを含む組織犯罪を未然に防止し、これと戦うための国際協力を可能にするこの条約を締結することは必要不可欠だ」と強調した。

 大串政調会長は、「今政府は『テロ対策だ』というフリをして法案に理解を求めようとしているが、もし本当にテロ対策に限るのであれば、今度は、国際組織犯罪を処罰するという条約の目的と合致しなくなる。テロ対策の重要性は私たちも十分認識するが、『テロ対策』の名前を借りて、一般市民に対する権力の濫用につながりかねない共謀罪を創設しようとするのは不誠実極まりない態度ではないか」と述べ、安倍総理の姿勢を批判した。

PDF「衆院本会議大串博志政調会長代表質問(予定稿)」衆院本会議大串博志政調会長代表質問(予定稿)

代表質問に立つ大串博志政務調査会長

代表質問に立つ大串博志政務調査会長