党役員会見に関する基本的な方針について

安住淳代表代行記者会見

2017年1月25日(水)14時00分~14時20分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=QurpVo_fgkc


■質疑

■冒頭発言

(なし)


■質疑

○国際組織犯罪防止条約・「共謀罪」について

【朝日新聞・松井記者】
 「共謀罪」の取り扱いについてお聞きしたい。今、民進党としては、例えば国対でのヒアリング等で、「共謀罪」を本当につくる必要があるのか、それなしでも条約を締結できるのではないかといった声が出ている。一方で、テロ対策として必要だという声も党内の一部にはある。安住代行ご自身としてはどのようにお考えか。

【代表代行】
 FATF(金融活動作業部会)を含めて、本当に国内法の整備が必要かどうか、与党内でも精査しているようですね。最初、(対象犯罪)600の一つも欠かすことができないと言っておきながら、公明党に言われたら300にそれが減るのだから、ちょっと言い方は失礼ですが「バナナの叩き売り」ではないので、過剰な反応をしていて、国民の皆さんから見た時に本当に必要最小限の法体系というよりは、国の側が国民の管理を強める方向にもし行っているとすれば、それに対してはやはり憲法上のさまざまな問題が出てくると思いますので、徹底的な審議をしたいと思います。

【フリーランス・上出記者】
 「共謀罪」については、政府も答弁に困るような、本当に外国でどれぐらいやったかについてはノルウェーとブルガリアしか言えなかったとか、もう結論先にありきで、何とか東京五輪を口実にしてという、そういうのがもう見えてきているが、実際にいろいろな反論があり、一部メディアでは、民進党も昔は「共謀罪」に賛成していたではないかと書いているところもある。こういう反論・批判に対してはどのようにお答えになるか。

【代表代行】
 例えばマネーロンダリングとか、実はそういうことを私も財務大臣の時に多少やったのですが、まだ国内法で不備な部分は確かにあると思うのです。ただ、一方で、適用範囲を必要以上に広げたら国民の基本的な人権を侵害するおそれがあるという、これ、非常に際どい法律なんだと思います。だから政府側も、一部報道によると、600だった対象を公明党に言われたら300にするとか、先ほど言ったでしょう、「バナナの叩き売り」じゃないのだから。ということは、600なければ成り立たないと言っていたのはうそだったということでしょう。そういうことのあいまいさをもっと徹底的に問い詰めていかないと。
 本当に必要なものはやったらいいのです。ただ、これがないとオリンピックが開けないとか、総理、ちょっと言い過ぎではないですか、ちょっと大げさですよね。「共謀罪」がなかったらオリンピックを開けないなんて、聞いたことがない、そんなこと。そういう認識が間違いだと思います。

○文科省の天下りあっせん問題について

【読売新聞・高田記者】
 今も続いているが、通常国会冒頭の補正予算審議の段階から、天下りの集中審議を入れる、入れないということをめぐって、今、かなり現場のほうでやり合っている状況だ。今回、与党は最初から週内での衆議院通過を譲らない強気の姿勢を出しているが、この与党側の姿勢等々を含めて見解を伺いたい。

【代表代行】
 国民の皆さんは文部科学省が何をやっていたのか知りたいのではないですか。だから、ちゃんとそれに対する集中審議をやらないと、文部科学省の権威そのものが国民から疑われるし、その権限を利用して、言ってみれば再就職を思うがままにやっていたとなれば、これは国民に官僚不信を招くわけだから、きちんと国会で、それを守って、ふたをするのではなくて、自民党も総理も国民の前でしっかり議論するという姿勢になってもらいたいなと思っております。

【NHK・花岡記者】
 国会運営の話だが、与党側は、先ほど代行がおっしゃった集中審議については、本予算(審議)が始まってから必要があったらやったらいいのではないかという認識を示している幹部がいる。安住代行としたら、集中審議はなるべく早いほうがいいという認識だと伺ったが、集中審議を補正予算の時に行うべきか、それとも本予算でも構わないのか、そこら辺はどうか。

【代表代行】
 本予算というのは、テーマのいかんにかかわらず、集中は三つか四つ必ずやるわけでしょう。最近は五つ、六つと増えてきたのだけれども。その中の一つのテーマとして「天下り」をやればいいやというのと、今これだけ問題が沸騰している時にやる集中とは別ですよ。本予算の集中でやれなんていうのは、いわば日程をごまかすための言い方をしているだけだから。
 これだけの数の差があるので、日程闘争したって勝ち目はないのだけれども、あまり乱暴な日程で、「はい、トントン、トントン法律を上げましょう。集中なんか要らない。数の力で押し切るんだ」というのだったら、やはり国民にきちっとそのことを、皆さんにも協力をしていただいて、今の安倍さんの政治のやり方がこうだというのであれば、それ自身を問わないといけない。私は、そういうことを国対委員長に言っています。

○野党連携について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 「安住さんのご参加によって歴史的な大会になった」と共産党は言っている。同時に、野党共闘のキーマンが安住さんであるというのが、名実ともにそういうことになったのだろうと私は思うが、現在、そういう立場で、野党共闘という意味で、党内は安住さんに対して順風なのか、逆風なのか。いろいろ反響があったと思うが、1週間近くたってどんな感じなのか。三つの公約というか、「ある幅」の中でうまくいきそうか。その辺のことを伺いたい。

【代表代行】
 今の一強体制を本当に打ち破るのにそれ以外に方法があるのだったら、合理的な説明をちゃんとしてもらえる、納得するのだったらいいのですが、やはり選挙というのはリアルな話なので、自公の候補者に対してどう戦うかを考えた時は、やはり弱小な野党が集まって知恵を出す以外に道はないと私は思う。それ以外の方法があるのだったら教えてもらえばいい。それ以外の道はなかなかないと私は思うので、今、野党連携路線をやっています。
 ただ、先般も共産党大会でお話はさせていただいたけれども、基本政策の違いがあることはお互い理解して、その上で連携をしっかりやっていきましょうと。
 やはりそういう点では野党第1党の我々の責任は大きくて、政治に緊張感を持ってやるには、野党第1党が少なくとも与党と競り合うぐらいの議席を持って、いつでも政権交代が可能なぐらいの状況にしていかないといけない責任がある。実際には小選挙区というのは1票差でも勝たないといけない選挙でしょう。そういうことを見詰めた時の結論は一つだから、それに対してはほとんど党内的には方向性についてはコンセンサスは得つつあるのではないかなと思う。
 これからは実務的にそういう点では詰めていかないといけないことはたくさんありますが、やはり総選挙が近づけば近づくほど、国民の皆さんに選択をしてもらうもう一つの代表選手を、その選挙区、選挙区でちゃんと出していく。それも本当にまともな戦いになるような候補者をちゃんと出していくことが、やはり今の蓮舫体制が一番国民に求められていることだと思いますので、そういう大局に立った決断をしていきたいと思います。

【フリーランス・上出記者】
 野党共闘について、安住さんのおっしゃっていることは、市民団体などそういうのを求める人達から見たら非常に説得力があるというか、当然のことだと思う。ただ、どうしても連合の関係が出てきて、連合は共産党とは絶対にくみしないのだと。ただ、いろいろなことをうまくやって、政党間の共闘は黙認してくれると。党内でこれから、安住さんが言ったような「1票差でも勝たなければならない」という、この今の雰囲気、先ほどの質問者からも「順風か、逆風か」というのがあったが、率直なところ今後の展開をどう見ておられるか。

【代表代行】
 私は、大きな方向性としてのコンセンサスは得られつつあるのではないかなと思う。いろいろ調査もして、それぞれが一番よくわかっています、自分の選挙区のことだから。できれば民進党単独で政権を目指して、全ての選挙区に立てて、それで自公と本当に真っ向対決をするというのが理想ではあるけれども、やはり現実に今はそういう状況でない以上、できるだけ協力をもらって、いろいろな党と連携していく。できる範囲で、ですよ。そういうことでいわば当選ラインすれすれの人が当選してくれば、将来有望な新人もまた上がってこられる。
 やはり私達の仕事は、今は100弱だけれども、これをいかに150にして、200にして、過半数を取る。つまり数をどう増やすか、なのです。そういうことがまずきちっと戦略的に共有できることが大事なのではないでしょうか。それで戦うことが逆にマイナスだと言うのであれば、マイナスである根拠をちゃんと示して、「だからこういう違う道があるよ」ということであれば、それはしっかり議論したらいいと私は思う。
 現時点では、確かに連合の言うこともわかるのです。これは政党も違うし、主義主張がこれまで違っていたのだから、ということなのですね。ただ、やはり連合もそういう点では、選挙のすみ分けや政党間でのことについては我々の考えと一致をしていただいたので、そういう意味ではこれから先、政策的なところで、私がこの間話した「ある一定の幅」に収れんされていけば、しっかりとした戦う円陣を組むことができるのではないかと思います。
 選択肢を示すことが大事です。安倍さんの政治に対して、もう一つの選択肢をそれぞれの選挙区でちゃんと示すことが我々の責任だということを私は申し上げたいのです。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 安住さんが共産党の大会で、三つの分野(安全保障、エネルギー、社会保障と負担のあり方など)を示した。野党共闘について民進党が初めて主体性のある投げかけをしたという意味では、さすが安住さんは黒光りしているというか、私は非常に評価している。
 ただ、この三つが同じウェートではないと思う。1番目の防衛・安保は、共産党の決議文を読んでもいまだに「安保廃棄」とか「防衛省解消」とか、とてもとてもという感じだ。逆に、エネルギー、消費税とか社会保障というのはそんなに遠くはないと思う。やはりどこかで、連合の神津さんが言うように、「防衛・安保についてはちょっとおかしいんじゃないか」と、はっきり主体性を持って言わないと。結局、主体性がないから何か埋没しているというのが、おそらく民主党支持者の感じではないかと思うが、その三つのウェートづけをどうお考えなのか伺いたい。

【代表代行】
 総選挙の時期がいつになるかによると思いますが、共産党の主張は主張として尊重しますが、今ご指摘のように、私達は相入れない部分はあります。
 問題は、大変恐縮だけれども、野党第1党の我々が政権構想を示すことに賛同していただけるかどうかなんです。だって、これは数から、全国的な展開から、過去の経緯から、いろいろなことを考えたって、民進党がついていくとか、民進党が付属的な立場での政権はあり得ない。野党第1党が、これから我々が示す安全保障やエネルギー政策の中で、考え方は違うのだけれども、理解をしてもらう、容認してもらう幅がどうかということを私は申し上げているのです。
 そういう点では、安保法制の時に、参議院選挙でもそうなのですが、安保法制には反対だけれども、現行の自衛隊が存続することに対して共産党は完全否定はしなかったのですね。そういう点から言うと、確かに文面での決議は決議としてありますが、野党連携する際の、今ご指摘があったほどの障害ではないと私は思うんです。十分に「ある一定の幅」にはおさまる、つまり、理解してもらうところまでは行き着けるのではないかと思っています。主体的にやるのは我が党ですから。

【フリーランス・上出記者】
 全般的な話だが、現実に野党共闘をこれから進めていく上でいろいろな障害とか攻撃があると思う。安住さんとしては一番現実的で大切にしなければならないものというのは、「1票差でも勝つ」と言っておられたが、もう少し踏み込んで何かあったら。共産党もだいぶ理解を示してくれるのではないかという見通しをされていたが、これから発展させていくために気になること、「これだけは」という大切なこと、もしかしたらバラけてしまう要因として見えているものは何かお聞きしたい。

【代表代行】
 小選挙区制度の仕組みをわかればわかるほど、野党はやはり1対1の対決に持ち込んでいかなければ勝負にならないと思う。
 なおかつ、安倍さんの目指している方向と、ある意味で穏健保守・リベラル勢力が目指す方向というのは明らかに違うから、違いを鮮明に出して、国民の皆さんに選択してもらう器をつくるということで、あえて言えば個人個人の人格の問題ではないのです。そこをきちっと理解していれば、必ずこの話はうまくいくと私は思っています。
 だから、私がどうのこうのとか、代表がどうのこうのとか、志位さんがどうのこうのとか、個人の問題ではなくて、これは野党第1党を中心として、やはり安倍一強政治の政治体制そのものも壊していかないといけないと思う人達が連携して総選挙に挑める構図をつくっていく。そのことを主導的に民進党がやるということが大事なので、そういう点から言えば、大方収れんはされてきたなと。
 これから具体的にいろいろな障害はあるけれども、その大局観を見失わない限りは、いつ選挙があっても十分対応できると思っています。

○国会論戦のあり方について

【朝日新聞・松井記者】
 安倍総理の施政方針演説での、例えば「プラカード」発言など、安倍総理の演説内容そのものの真意を問う声が上がっている。一方で、議会改革をするために大島衆院議長が年末に各会派に要請した改革事項の回答が出された状況でも、あまり前進が見られないというか、全く状況はよくなっているようには見えない。今のこの国会の状況をどのように見ていらっしゃるか。

【代表代行】
 数が多いから、おごっているのでしょう。
 国会というのは戦いの場所だから。剣を交えて戦うのではなくて、言論で戦うのだけれども、国会が開会した後は激しい言葉でお互いの対立点を先鋭化させるのも議会政治にとっては必要だから、多少のことはやむを得ないと私は思うけれども、ただ、一国の総理の品格としてどうなのかなと思うことは多々あります。そういうことを性懲りもなく言うということは、やはり数があるからなのです。
 そのおごりを正すためにも、やはり野党第1党なり、共産党でも自由党でも社民党でも、議席を増やして与野党に緊張感をつくらなければだめだということです。