党役員会見に関する基本的な方針について

細野豪志代表代行記者会見

2017年1月27日(金)14時01分~14時39分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=8PTUssi2yAk


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○補正予算案審議・与党の強引な国会運営について

【代表代行】
 (平成28年度補正予算・衆議院)予算委員会、非常に残念だと思いますのは、(審議初日である)昨日の委員会中に、職権で採決を決めるという、そういう横暴な運営が続いていることであります。
 今回、特に文部科学省の天下りの問題が非常に大きな国民の関心も呼んでいる。「またあの時代に戻ったのではないか」と思わせるような状況です。この問題について集中審議を求め、当然、参考人招致も我々としては必要だと思っている中で、「補正予算審議を終えて、早々に参議院へ回した上で、次は本予算だ」という形で与党が運んでいることに非常に強い危機感を覚えます。昨年の臨時国会の乱暴な運営が、今年に入っても依然として続いているというのが現状ではないかと思います。
 我が党の議員がしっかりとした質問をしていましたが、我々としては非常に不本意な運営ではありますが、それぞれの場面においてしっかりと議論することで国民の皆さんの期待に応えていかなければならないと思っています。

○「天皇陛下の退位」についての予算委員会質疑

【代表代行】
 私も(26日の予算委員会で)質問したので、感想を述べたいと思います。
 まず、陛下のご譲位の問題でありますが、一定の前進があった部分と問題を感じた部分とがございました。
 まず、これまで特別法ということに固執していたその様子が、少し変わってきたというところは前進だったと思います。特に有識者会議の論点整理は恒久化について消極的なトーンに見えましたが、安倍総理から、皇室典範の改正についても考えるという趣旨の答弁がありましたので、ここは一定の前進だと受け取っています。
 一方で、陛下の存在、役割をどのように考えていくかとか、陛下であっても、やはり国民とは違う存在にはなると私も思うのですが、一方で、人としての人権を最大限尊重していくべきだという問いかけを私からしたわけですが、それについてはしっかりした回答はほとんどなかった。つまり、人としての人権というようなことについて、今の安倍政権は理解が十分でないと私は思いました。
 ここは、象徴天皇のあり方ですね。私は、存在していただくことももちろん重要だし、国民のために祈っていただくことも重要だけれども、それと同時に、また国民から見た時にはおそらくそれ以上に、国民に寄り添って行動していただいている陛下の姿というのを我々は非常にありがたいと思ってきたわけです。そういう考え方からするとやはり距離があるかなということを感じています。
 あとは国権の最高機関である国会で、有識者会議の考え方というのはあくまで参考意見にすぎませんので、しっかりと我々の目指す結論に至るように努力をしていくということに尽きるのではないかと思います。
 もう1点。各紙・各社報道していましたが、皇位の継承を考えた時に、旧宮家の復活、さらには養子をとるというようなことについては一つの選択肢、という答弁がありました。
 私は、これをやると本当に国民の気持ちが、親しみが湧く人が陛下になられるのであれば「喜んで我々は陛下を支える」というふうに多くの国民が思うと思うのですが、そうでない方が陛下になるということになった時に、急激に離れるのではないかということを非常に心配しています。ですから、皇位の継承という観点からも、女性宮家というものについては、これはいろいろな可能性があるわけですから、早期につくっておく必要があるということをあらためて感じました。

○「誰にでもチャンスのある教育」についての予算委員会質疑

【代表代行】
 最後に、生活保護家庭の子どもが大学や専門学校に行けないという問題です。
 総理の顔を見ていて感じたのは、非常に苦しい状況にある子ども達の現状というのを、必ずしも総理は十分ご存じなかったのではないかと思います。ですから、総理のお顔を見ていて、何らか動いていく可能性はあるのではないかとも思いました。
 子ども達には何の責任もない。 今、生活保護に関してはかなり激しいバッシングもあります。もちろん、不正受給というようなものは許してはなりませんし、また、生活保護を受けている方には、やむを得ない事情で受けている方もたくさんおられるわけでありますが、できる限り自立をしていただく努力は必要です。ですから、特に子どもを持つ親のそれぞれの状況については、これは多種多様で、責任を感じていただく必要がある方もおられると思います。
 ただ、どういう家庭で育ったとしても、子どもには責任はないわけです。「子どもが18歳になったら、もう働いて稼げ」というのではなくて、数年間、例えば4年間なら4年間、経済的に支えるだけで、月6万円ですから、それこそ4年間だと200万円とか300万円の金額です。それを出し惜しむことによって貧困の連鎖が続き自立を妨げているとすれば、これは非常に問題だと思います。
 ですから、子どもには責任がないということをもう一度考えていただきたい。安倍政権は児童養護施設についてはある程度配慮のある政策をやっている。生活保護家庭の子どもについても、ぜひ前向きなご判断をいただきたいと思っています。特に、総理が施政方針演説で高らかに、どんな家庭に育っても進学できるようにということをおっしゃったわけですから、その言葉どおりにやっていただきたい。


■質疑

○天皇陛下の退位をめぐる議論について

【読売新聞・上村記者】
 昨日の予算委員会で、憲法と皇室典範の関係について質問された。政府のほうでは、皇室典範の一部改正であったり附則を置いたりする形で、特例法に委任するような形で退位を認めるということを検討されているようだが、こうした立法の仕方についての評価を伺いたい。

【代表代行】
 立法技術上のさまざまな問題があることは私も理解していまして、そこはいろいろなやり方があってもいいと思います。ただ、憲法2条を見れば「皇室典範」と書いてあるわけですから、皇室典範に明確に高齢譲位の問題について書くのが王道だと思います。その上で、さまざまな具体的な運びというかオペレーションについて、いろいろな法技術的なテクニックみたいなものがあるのだとすれば、そこは柔軟にという余地はあるのではないでしょうか。

【読売新聞・上村記者】
 昨日の代表代行の質問に対する総理の答弁で、皇位の安定継承の問題と退位の問題は切り分けて議論するとおっしゃっていたが、こういう運び方についてはいかがか。

【代表代行】
 並行して議論するということではないでしょうか。なかなかすぐに結論が出る問題ではないことは理解をするのです。ただ、逆に言うと、こういう機会がないと皇位継承の問題は国民的な議論をしにくいですから、しっかり議論して、結論が出るのであれば早いにこしたことはないのではないでしょうか。
 ただ、その結論は、旧宮家の皇籍復帰とか、こういったものではないと。女性宮家をつくることによっていろいろな可能性に備えるということだと私は理解をしています。もう、かなり切迫した状況というのもありますので、猶予はないというのが私の認識です。

【フリーランス・上出記者】
 昨日の細野さんの質問は私も大変共感しながら見ていた。特に、これは異論があるかもれないが、一部のというか、日本会議その他が、男系天皇を絶対にして、それを総理がバックアップしていると。今おっしゃったとおり、国民とは全く遠ざかってしまった(旧)宮家の復活、この辺を本気でやるとしたら、それこそ「女性の活躍」とも矛盾するし、「国民の総意」というのが象徴天皇ということから考えると、科学的にもいろいろな問題があるし、議論の分かれるところを数の力で押し切っていくことは大変危険なことだと思う。具体的にどの辺からこの問題を国民本位に、オープンにして国民と一緒に考えていくことができるのか、細野さんなりの考えをもう少し踏み込んで伺いたい。

【代表代行】
 私は、自民党の皆さんの中で「旧宮家の復活」というようなことを本気で考えている人がそれほどたくさんいるとは思わないのです。一部にはあるでしょう。安倍総理もそういう考え方を持っておられるというのがわかりました。
 これは、それこそ3000年に及ぶ、さらにはその前の日本の歴史ということを考えた時に、陛下の存在とか陛下の活動について、一般の国民が知らなかった時代のやり方としては、それこそ大きく血縁関係であるとか、国民に知られていないところから陛下が来られるということがあってもよかったのかもしれない。しかし今は、陛下が存在することだけに意味があるわけではなくて、存在していただいた上で行動して、国民が「とにかく本当にありがたいことだ」と。これが伝統の継承でもあり、(国民)統合の象徴でもあるという、ここが(象徴)天皇制の相当の本質部分になっているわけです。この時代にあって、国民が知らない方が突然、例えば皇籍復帰して、そこから「今度この方が陛下なんです」と言われた時に、受け入れられるとは到底思えないのです。
 私が理解できないのは、本来、保守派の方々というのは天皇制度を大事にしているはずだし、皇位の継承というのを何よりも重要視しているはずなのだけれども、その方々がこういう議論をすることによって、到底国民は受け入れられないと思うのです。むしろ皇位継承自体を危うくしているという、このパラドクスが非常に気になるのです。ですからあえて、正直、大変聞きにくいことではあったのだけれども、あらためて(予算委員会で)そのことを問いかけて、そうではない、国民の皆さんが受け入れられるような皇位の継承ということについてしっかり議論したいという思いがありまして、ああいう質問をしたということなのです。

【フリーランス・上出記者】
 この10年くらいで見ると、小泉内閣の時には一遍、女性天皇のことが法案化された。そういう経緯もあって、世論調査でも女性天皇に関しては「賛成」のほうが多い。こういう民意をもう少しうまく引き出していくことも必要ではないかと思うが、今、全くそれが無視されてしまっている。これについてはいかがか。

【代表代行】
 小泉政権の時は、私も国会議員をやっていましたので、あの時の議論の経緯は本当に克明に覚えていまして、私も悩んだ覚えがある、「これ、どういうふうに判断したものかな」と。そうしておりましたら秋篠宮ご夫妻に新しいお子さんが生まれるということで、ご懐妊のニュースがあって、そして悠仁親王殿下がお生まれになることによって議論が棚上げになった。
 私が当時迷ったように、国民の中でも、女性天皇がいいのか、はたして男性を続けていくことがいいのかということについては、議論がいろいろあると思うのです。ですから、そこに早急に結論を出すのは無理があるだろうと思うのです。
 ただ、男性天皇という立場に立つ人も、女性天皇を認めてもいいのではないかという立場に立つ人も、多くの国民は、やはり今の天皇家、ファミリーの中から次の天皇陛下が誕生し、そしてその中からその次もつながっていくのだろうという、そういうイメージを持っていると思う。そのことを期待していると思うのです。ですから私は、「国民の総意」という観点から、それ以外の選択肢というのは認めるべきではないと。
 ですから、女性天皇の議論については、国論を二分するのはあまり好ましいことではないと思うので、若干時間をかけて議論するとしても、女性宮家だけは早急につくっておかないと、場合によってはもはや手遅れになりかねないという切迫感を持っているということなのです。

【時事通信・島矢記者】
 女性宮家のことだが、細野代行、民進党は、女性宮家の創設を(退位の議論と)並行して議論するようにと訴えられていると思うが、自民党や、他の野党、共産党や社民党なども、今回は退位の問題に限って議論すべきだと主張している。あくまで民進党としては並行した議論を求めていくお考えなのか。それと、他党に今後どのように働きかけをしていくお考えか伺いたい。

【代表代行】
 女性宮家の問題は緊急性が高いと思いますので、しっかり議論すべきだと思います。
 ただ、そのことに、本当にこの2月、3月という短い期間で結論が出るかどうかというのは、これは何とも断定的なことは言えない面があります。ですから、そこまでは、もうそこで確定しろというところまで言う気はない。ただ、少なくとも議論はしないといかん。
 特に、この皇室の問題というのは四六時中議論するのにあまり即さないテーマです。本当に慎重に議論しなければならないし、当然、言葉も慎重に選ばなければならない。こういう時期でないと、皇位継承の問題について議論をなかなかしにくいという面があります。ですから、少なくとも「議論をした」ということを何らか痕跡に残すなり、次につなげていくなり、いろいろな方法があると思うのですが、そこまではやりたい、やるべきではないか。これは真面目に皇位継承を考えてきた者として、強い思いを私は持っているということを申し上げたいと思います。

【テレビ朝日・延増記者】
 議員立法がいいのか閣法がいいのかという議論があると思うが、細野さんはどのようにお考えか。

【代表代行】
 私は、議員立法という方法も十分あり得ると思います。(予算)委員会で議論していて、若干、安倍政権・安倍総理も、「事の重要性」と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、どこで議論するかということについての認識を改められたのかなという印象はあります。それこそ有識者会議の座長代理が、「もう政府から示されたので特別法でやるんだ」みたいな話が去年はあったわけですが、ここへ来て「国会で議論して決めてもらいたい」というニュアンスに変わってきました。そのこと自体は歓迎したいと私は思います。
 ですから、そういう状況を考えれば、閣法ということにこだわる必要は全くない。やり得るのであれば、議員立法でしっかりと各党派が合意できるようなものができるということは非常に望ましいことだと思います。

【日本テレビ・黒島記者】
 先ほど、議員立法も十分考えるというご発言があったかと思うが、民進党として議員立法、法案を積極的に出していくお考えがあるかどうか伺いたい。

【代表代行】
 民進党単独で、ということですか。

【日本テレビ・黒島記者】
 単独でも、4野党共同でも。

【代表代行】
 そこは野田幹事長が中心的にやっておられるし、あと非常に重要なのは、議長と副議長が、何とかせないかんということで場をつくっていただいていますから、そこを飛び越す形で案を出すことがいい結論になるとは限らない。ですから、そこは全体の進捗度合いを見ながら、党として判断していくということでいいのではないかと思います。

○憲法改正をめぐる議論について

【北海道新聞・金子記者】
 憲法改正について伺いたい。細野代行が代表を務める自誓会の中では「憲法改正案を取りまとめるべきだ」という一部報道もあったが、民進党の中では憲法改正についていろいろなスタンスを持っている議員の方が多々いらっしゃると思う。改憲案を示していくことについて、あらためてどう考えていらっしゃるかということと、党内議論をどう活性化させていくつもりか伺いたい。

【代表代行】
 私も憲法審査会のメンバーですし、党内の会議にもできるだけ出るようにして、私としては「憲法については具体的な案を出していくべきだ」という発言は繰り返してきた。
 民進党全体の姿なのですが、我々、例えば長時間労働規制であるとか、さらには、例えば海外に派遣される自衛官の安全・健康の問題であるとか、いい法案をたくさん出している。しかし一方で、それだけ出しているにもかかわらず、党としては「提案をしている」というよりは「反対ばかりしている政党」と見られている面があります。そこを我々は乗り越えないと、国民からも支持されないし、政権政党ともみなされないと思っているのです。
 憲法についてどのように考えるかというのは、国民的にも相当議論がありますし、切迫性がどの程度あるかということについてもやや評価が分かれますよね。これは党内でもあると思います。ただし、憲法のような基本的な問題について党として軸が定まらないというのは、国民からすると、「提案している、政権与党たる政党」とはなかなかみなされないという面があると思うのです。ですから、そこは党として乗り越えるべきところだと私は思っています。

【北海道新聞・金子記者】
 憲法審査会での議論で、総理は改憲項目の絞り込みを促すような発言を続けている。民進党の中では、例えば党憲法調査会の枝野幸男会長が、憲法7条の「7条解散」の関係で、制約すべきだということを積極的に発言しているが、この「7条解散」の制約というのが民進党としての改憲項目の一つになり得るかということについて、代行はどうお考えか。

【代表代行】
 行政権と立法権との関係の問題ですよね。議院内閣制で、総理は多数派の上に行政を行える形になっているわけですから、そのことを考えれば、日本の場合にはやや解散が軽々しく行われ過ぎている面があります。
 ただ一方で、我々は野党なので、それはできるだけ早く選挙をやってもらったほうがいい。この年始も、「解散がないかな」と思って私、楽しみにしていたのですが、どうも今のところあまりそんな感じはありませんが。ですから、そこは両面あると思います。
 だから一つの考え方としては、これは与党・野党関係なく、どちらが政権を取ったとしても「7条解散」ではなくて、不信任案に関わる場合に限定するというのは一つあると思います。
 ただ、他に、より本質的な問題がある。例えば私が持論としているところで言うならば、緊急事態における国政選挙の先延ばしなどは、3.11を経験しているから、我々が本当に切実に訴えられるところだと思うのです。あとは国と地方の関係ですね。ここも、憲法8章というのは、国と地方の関係という極めて本質的な問題を法律に丸投げをしています。これなんかも具体的にきちっと書けることは書いたほうがいい。そういう本質的な問題があると考えています。

【日本経済新聞・林記者】
 憲法試案の話だが、先ほど細野代行もちらっとおっしゃったが、具体的にどこら辺を書いていくべきだと考えるか。もしあれば、思い描いているスケジュール感、いつまでに取りまとめるかについてもお聞きしたい。

【代表代行】
 中身としては、他にも幾つか私の中では構想はあります。ただ、党内で今、議論している最中ですし、仲間ともいろいろなことを相談し出しているところです。先ほど、一番主要な2点について申し上げましたので、今の時点ではその2点に留めておきたいと思います。
 スケジュールも、そこはいろいろな政治状況もありますし、当然、党内でもいろいろな議論があるでしょうから、そこまで今の時点で枠をはめて議論を進めようと思っているわけではありません。
 ただ、今年は相当、憲法は議論の対象になるでしょう。ですから、その時に我が党としてきちっと考え方がまとまっているのか、まとまっていないのか。2005年に(民主党で)まとめたものがあるのですが、それから10年以上たっています。我が党として、そういうものがあるかないかというのは相当違うので、しっかり議論したいと思います。

○「誰にでもチャンスのある教育」について

【東京新聞・我那覇記者】
 代行の昨日の質問に関して。生活保護を予算委員会で取り上げていて、なかなか珍しいかなという気がするが、やはり切実な思いを抱いている若い人達がいるかと思うが、今後この問題に対してどういうふうに取り組んでいかれるお考えかお聞きしたい。

【代表代行】
 この問題は、あまり党派にかかわらず、与野党に呼びかけていきたいと思っています。  あらためて当事者に聞きますと、これは昨日の委員会でも言ったのですが、高校生が大学を受験する時の受験料を確保しただけで生活保護費が減らされるというのは、これは若者の希望を奪います。専門学校も同様です。
 今の時代、やはり高校を卒業する中で、もう既に何をやるかということについて、職業観も含めて確立している子も、中にはいるのですが、それはなかなか難しい。ですから、その先も含めて、社会が若者を支えるという典型的な部分だと思いますので、できれば党派を超えてやりたいと思います。
 既にいろいろな人が私に問い合わせをしてきたりもしていますので、与党にも呼びかけて、総理があれだけ前向きなことをおっしゃったわけですから、それを中身のあるものにしていくという意味で何とか結果を出していきたいなと思っています。

○日本型ベーシックインカム構想について

【読売新聞・上村記者】
 蓮舫代表が代表質問でベーシックインカムに言及されていたが、中長期政策担当の代表代行として、このベーシックインカムへの考え方と、今後の党内の議論について伺いたい。

【代表代行】
 ベーシックインカムの議論というのは世界的にも一つの流れにはなっていますし、党内でも、これから議論していくという意味ではいいテーマだと思います。
 なかなか難しい問題です。年金であるとか生活保護であるとか、既存の社会保障制度も含めてトータルに議論しなければならないので、ハードルは高いです。ただ、これから働き方も随分変わってきます。AI(人口知能)も出てくるという中において、みんなが安定的に、普通にやれば所得が得られるという時代ではたぶんなくなると思うのです。そういう中で、国全体としてはしっかりと所得を確保し、経済を回していきながら、国民すべてが生活できる環境をつくるという意味では、ベーシックインカムの議論は非常に興味深いものだと思います。
 主に私がやっていた(政策アップグレード)研究会、あの場所よりは、どちらかというと税調で主に議論していましたので、その議論は私も説明を受けていますので承知をしていますが、さらに一歩進めてやっていくのはいいことだと思います。

○野党連携について

【フリーランス・上出記者】
 共闘について。今週の役員の方達の会見で、最低限、選挙になった場合は勝ち負けになってくるということで、特に安住代表代行あたりは、1票差でも勝ちは勝ち、負けは負けということで力を入れていくということをおっしゃっていた。細野さんもその点は変わりはないか。

【代表代行】
 繰り返し会見で申し上げているのですが、私なりにこの問題に対する思いはあります。ただし、幹事長を中心に、相当ご苦労されながら調整されていますので、私がここで個人的な意見を言うよりは、党全体としてどうするかという判断に委ねたいと思っています。

○原発・エネルギー政策について

【NHK・田窪記者】
 今日、党のエネルギー環境調査会の玄葉光一郎会長が「原発ゼロ基本法案」を策定するという発表をされた。原発の条件付き再稼働を容認する今の方針も議論の対象にして、それで「2030年代原発ゼロ」の工程についても前倒しができるのではないかということだが、民進党としては、連合の中に電力総連もあって、今後の議論が進むのかという懸念もある。その辺、今後どのように議論を進めていく考えか伺いたい。

【代表代行】
 玄葉会長とは私も少し話をしました。今、精力的に議論をしているということですので、法案の作成も含めて、我が党としてさらに一歩進める案ができるのは非常にいいことではないかと思います。私もかつて、この問題ではど真ん中で関わったという経緯がありますので、積極的に貢献をしていきたいと思っています。
 ご支援をいただいている団体との関係というのは、いろいろな団体がありますから、しっかりそういう団体とも協議を重ねながら結論を出していくということでいいのではないでしょうか。
 ただ、政党は政党で、しっかり政策をまとめていかなければならないところがありますので、そこは我が党としてどう考えるかというのを、いろいろな方々の意見も聞きながらしっかり決めていけばいいということだと思います。

○トランプ政権下における日米同盟関係について

【TBS・永沼記者】
 一昨日の答弁で、日本維新が「トランプ大統領が日本にこれまで以上の防衛力の負担を求めてきた時に、真剣な検討を行うべきではないか」と尋ねたことに対して、総理が「我が国としても防衛力を強化して、果たし得る役割の拡大を図ってまいります」と答弁された。マティス国防長官が来日され、トランプ政権と安倍政権の関係の中において、外交・防衛に関してどのような動きがあるのかわからないが、一連のこの運びに関して、代行としての考えを伺いたい。

【代表代行】
 日本の防衛力を常に強化するというのは、特に我が国の周辺の状況を考えれば当然のことではないかと思います。
 それは単に予算をかければいいというだけの話ではなくて、しっかりとさまざまな情報をどう集めていくのか、さらにはそれをどう活かしていくのかということも含めて、総合的な安全保障を強化するのは当然のことだと思います。
 あとは日米同盟ということで言うと、やはり確認したほうがいいのは、日米安保5条(米国の対日防衛義務)の問題については確認したほうがいいと思います。日米安保の役割というのは拡大してきていますので、60年前、70年前とはもう状況は大きく変わってはきていますが、根幹の部分の本質は揺るがないものがあると私は思っています。それは、日本の領土を日本と米国が共同で守っていくと。そういうことが担保されるがゆえに、日本は米軍に対しては最大限協力する。こういう枠組みになっているはずです。そういう意味で言うならば、これまでオバマ政権のもとで確認されてきた「尖閣への5条の適用」というのは早急に確認をしたほうがいいと思います。
 トランプ政権の最大の懸念は、いろいろあるのですが、これまで安全保障というのはある意味で経済とは分けて議論されてきた問題なのですが、そこも含めてディール(取引)の対象にするというような雰囲気がやはりありますよね。そこは我が国としてはまさに譲れない一線なわけだから、できるだけ早期に確認して、その土台の上にいろいろな他の問題について交渉していくということがあるべき姿ではないかと思います。

○文科省の天下り問題について

【フリーランス・上出記者】
 天下りの問題について。もともと、民主党政権時代に「天下りをなくそう」ということで、なくなったはずなのが、また復活してきたということかと思うが、単にあっせんをする、しないではなく、天下りそのものをやはり厳しくやっていくために、国会でも出ているが、細野さんはどのようにお考えになるか。やはり民意とは相当かけ離れている。(辞任した事務次官は)今回8000万円も退職金をもらっている。その辺について所見を伺いたい。

【代表代行】
 これは私も閣僚をやっていましたから身に覚えがあるのですが、そこはどれくらい政務の人間がしっかりと目を光らせるかによる。我々の時は、幹部が誰が退職するかくらいは大臣をやっていればわかりますから、そういうおかしな動きがあった場合については、これはおそらくわかったと思います。ですから、今の自民党政権に戻ってもう4年ちょっとたっていますが、やはりそういう意識が欠落していたことが、この結果に結びついたことはあると思います。
 制度上の問題もあるかもしれません。あの法案が通った当時というのは、私、内閣委員会で理事をやったりしていまして、かなりフルにかかわっていました。我が党が出した法案もある、「天下り根絶」という形で。我が党の案とは違うものが通って、現状こうなっていると。ですから制度上の欠陥も含めて、どこに問題があったかというのは、チェックをしたほうがいいと思います。
 ただ、残念ながら今はまだその随分前の段階で、何が起こったのかということについて真相究明をするには当事者に来ていただくしかないのに、それすら実現できていませんので、そこは与党の皆さんにもう一度考えていただきたいなと思います。

○東京都千代田区長選挙・小池都政について

【朝日新聞・関根記者】
 千代田区長選挙が行われるが、こちらは基本、都連任せで、都連は「自主投票」という方針のようだが、この選挙、民主党としての関わり方、どういう形が望ましいか。
 また、小池知事との関係を、民進党としては都議選も踏まえてどう考えるか、あらためて伺いたい。

【代表代行】
 千代田区長選挙については、都連の判断としては現段階では「自主投票」と承知をしています。ただ、実際に現場でそれぞれの皆さんが動いている、判断をしている状況について見ておりますと、現職の支援に回っている人が非常に多いと思います。
 小池都政、さまざまなことにチャレンジし都政を変えていこうという部分については、まだ全てが明らかなわけではないし、方向性としてややあいまいなところはあると思いますが、例えば「子育て」や「教育を充実しよう」ということで一つ一つメッセージを出しているところなどを見ると、賛成できるところはあるということではないでしょうか。