蓮舫代表は30日昼、参院予算委員会での2016年度第3次補正予算に関する総括質疑を終えて記者団の取材に応じた。

 質疑の感想を問われ、「長時間労働規制法案を私たちはすでに出しているが、衆院の審議で総理は(民進党の法案の)上限は何時間かということを随分私たちに言われた。その部分について政府が考える上限が何時間かについて一斉に報道された。繁忙期で100時間、あるいは2カ月連続80時間。過労死ラインをほぼ認める方向で検討しているのかとの確認に対して全くお答えにならなかった。私たちの法案の中身を否定するのであれば、まずは政府が責任をもって数字を明示するべきであるし、法案をいつまでに出すと明言すべき。その部分では(安倍政権の)働き方改革は看板に偽りありで、本気度が感じられなかった」「一日一日、法案作業、あるいは国会での審議が遅れれば、今現在長時間労働で悩んでおられる方たち、あるいは、愛する者を過労死で亡くしてしまった方たちの非常につらい思いに応えられなくなる。だからこそ私たちは早く法案を出してくださいと言っているのだが、それに対して誠実にいつまでという答弁が出ない安倍内閣の姿勢は、やはりやりたくないのではないかと疑ってしまう」と語った。

 家庭や結婚と憲法に関する質問に対して安倍総理が「憲法は憲法審査会で」などと答弁し、具体的な議論がかみ合わなかったことについては、「基本的に国会で答えない姿勢が目立つ。国会は政府の下請け機関ではないので、24条のあり方、それは自民党の憲法草案に関わらず一般論としての議論はするべきだと私は思う」と指摘。「特にこの政権になってからは待機児童の問題、介護離職ゼロの問題、女性がどうやったら息苦しさを覚えずに活躍できるのかといった問題がなかなか進まない。その根底に家族観の違いがあるのであればこの根本のところから議論をしないとさまざまな政策の議論は深まらないと思っ(て質問し)たが、残念ながら総理はまったく答えてくれなかった」と語った。

 安倍内閣になってから特殊法人や独立行政法人に事務次官や官僚の天下りや再就職が目立つとの蓮舫代表の指摘に対し、安倍総理が「事業の継続性がある」などと説明したことには「まったく納得できなかった」と指摘。「事業の継続性が官僚や事務次官でなければなぜ担保できないのか。それはこれまで私たちが官の植民地化、官の肥大化、税金の公務員とОBへの還流は絶対にあってはならないので、だから民間のトップを充てて、民間的手法で経営改善、税金の無駄遣いの抑制を行ってきた。それをまた先祖返りをしたにすぎないので、現政権の行革に対する鈍感さは今日の質問のなかでは正直あきれた」と切り捨てた。

 また、安倍総理の答弁姿勢に関連して「率直に申し上げて、残念だった。国会というのは議論をする場所であって、政府の考え方をただし、私たちの考え方を聞いてもらう。そして何が最適かの答えを出していくところだと思う。長時間労働でも、憲法の家族観でも、あるいは天下り、行革でも総理は極めて自分たちに都合のいいことしか主張せずに前向きな答弁はなかったのは非常に残念」だと述べた。