民進、共産、自由、社民の野党4党は2日午後、牛・豚マルキン事業を速やかに法制化する内容の議員立法「畜産物の価格安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案」を共同で衆院に提出した。

 牛・豚マルキン事業は、肉用牛・肉豚の標準的な販売価格が標準的な生産費を下回った場合に、その差額を補てんするために交付金を交付する事業(過去に輸入枠拡大や輸入自由化に対する緊急対策として実施されてきた経緯などから現在も「マルキン」と称される)。現在、農林水産省の予算事業として、安全・安心な国産牛肉・豚肉の安定供給に大きな役割を果たしているが、法律の裏付けがなく、恒久的・安定的な事業とするためには、法制化が不可欠とされてきた。

 これについて政府は昨年、TPP協定の発効日から法的措置とする法案を成立させた。しかし米国・トランプ大統領の誕生により、TPP協定の発効が絶望的な状況となるなか、TPP協定発効が前提となっている政府案については、野党のみならず与党内からさえ疑問の声が上がっていた。

 今回の議員立法は、TPP協定の発効を待たずに速やかにマルキンを法制化する内容のもの。筆頭提出者となった民進党の岸本周平衆院議員は、提出後の記者会見で「マルキン事業の法制化は農家から強い要望があり、一日も早く実現することが必要だ。政府は、TPP協定の発効日から行うことが適当と答弁しているが、いつになるか分からないTPP協定の発効を待っているわけにはいかない」と、議員立法の必要性を強調した。

PDF「畜産物の価格安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案概要」畜産物の価格安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案概要

PDF「畜産物の価格安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案要綱」畜産物の価格安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案要綱

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