党役員会見に関する基本的な方針について

細野豪志代表代行記者会見

2017年2月8日(水)14時00分~14時20分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=R7VuDZgdjwk


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○「共謀罪」「天下り問題」等について若手議員中心に問題点を指摘

【代表代行】
 (平成29年度総予算審議の)予算委員会が衆議院で佳境を迎えている状況でございます。
 連日、特に文科省の天下りの問題、さらには「共謀罪」の問題、これらの現状における政府の問題点を民進党の主に若手議員が集中的に質している状況です。
 「共謀罪」、金田法務大臣の答弁を聞いておりましても、説明が不十分である。さらには、国会の審議に介入するかのような動きも含めて、相当、今、彼が大臣ということで言うならば難しい状況になってきているのではないかと思っております。
 もう1点、天下りの問題ですが、この問題は民進党の若手の議員が事実を積み上げまして、いい質疑をしていると思います。
 全体として言えることですが、やはり国会の中で質問してきっちり政府の問題点を指摘するのは野党の役割ですので、その野党としての重要な役割をどこの政党が果たしているのかということを客観的に見れば、民進党という、この党の存在意義は非常に大きなものがあると感じています。中でも民進党の若手が、大変な努力をして結果を出していると思います。まだまだ審議は続きますので、まずは衆議院段階で我々として全力を尽くしてやり切るということだろうと思います。

○天皇陛下の退位をめぐる議論について

【代表代行】
 皇室典範の問題について。  ここ数日与党の中で、1代限りで済まそうという方針が示されているという報道があります。何度も申し上げていることですが、この陛下のご譲位の問題、ご高齢になられて譲位をされるというこの問題については、今上陛下の特殊事情ということではありません。さまざま行動し国民に寄り添うという天皇像をこれからも維持するためには高齢譲位が必要だという、こういうことでございますので、民進党としてはこれを恒久的な制度として導入すべきだという立場ですので、そういった与党の動きについては強い違和感を覚えます。
 同時に1点、皆さんにしっかりご説明申し上げたいのは、我々は恒久的な制度で位置づけるべきだという立場ですが、仮に1代限りのものというふうにまずは現段階ではやるという判断をしたとしても、基本的には皇室典範の改正そのものは避けられないというのが私の認識です。
 例えば皇室典範4条です。「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」とあるわけです。これはもう、読み方としてはこうとしか読めないわけです。それを、ご譲位というのを認めるということになると、この例外を設けることになります。法律の立て方としては、特例法・特措法でつくるというやり方はもちろんなくはありませんが、それは極めて技術的な方法であって、本来あるべき姿は4条にしっかり但し書きを書くというのが、1代限りであるとしても、本筋だろうと思います。
 もう1点、皇室典範5条。ここは「皇族」の範囲を定めています。「皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王を皇族とする」。具体的に明示して、皇室の範囲を定めている。そこにはご譲位された後の陛下は入っていません。当然、ご譲位された後の今上陛下が国民になられるなんていうことはあり得ませんから、皇族でいていただかなければなりませんので、5条の改正が必要です。
 ただ、これも極めて技術的な方法として、特措法で定めるという方法は法技術論としてはあり得ます。しかし、これだけの、国民に対しての大変な役割をこれまで担っていただいている今上陛下が例外的な皇族に位置づけられるということは、あってはならんと私は思います。また、個人的な感想を申し上げるならば、そのようなことは極めて恐れ多いことだとも思います。
 したがって、恒久的な制度としてしっかり位置づけるべきというのがもちろん本筋ですが、仮にさまざまな判断のもとでまずは1代限りで、その後議論をしていくということになるのだとしても、皇室典範そのものに全く手を触れずに今回のことをやり過ごすということはあるべきではないと私は考えておりますので、最近の報道などを受けて一言申し上げたいと思います。


■質疑

○天皇陛下の退位をめぐる議論について

【読売新聞・工藤記者】
 退位の関係で1点伺いたい。民進党の皇位検討委員会のまとめでは、退位を認める要件として「陛下の意思」ということを明示しているかと思うが、「陛下の意思」を要件にすると「国政に関する権能を有しない」(憲法4条)という意味で憲法違反に当たるのではないかという指摘が、自民党などから出ている。その辺に関する反論というか、その指摘に対するお考えを伺いたい。

【代表代行】
 その部分についてはさまざまな配慮が必要だと思います。すなわち天皇陛下がさまざまな政治的なことについてご発言されるということについては、これはやはり控えていただかなければならない部分があると思いますし、今上陛下もそこについては最大限の配慮をしながらこれまでその役割を担っていただいていると承知をしています。
 ただ、事ご譲位をされるかどうかということ、この問題に関して言うならば、陛下の人生そのものであるということになる。ご自身が、例えば体力的な面も含めてどうかという、このことについてのご意思を確認することは、私は人として、それを否定するというのはいかがなものかと思います。
 言うまでもなく、陛下も人間です。陛下というお立場ゆえに人権が相当制約されている。しかし、例えばご自身のお体に関することであるとか、ご一家のあり方について一言も物を言うなと、それについては忖度しなくていいと考えることのほうがよっぽど不自然だと私は思います。

【東京新聞・我那覇記者】
 冒頭発言では、やはり典範改正が筋だという代行の強いお気持ちはわかる一方で、「仮に」という話が続いたので伺いたいが、一定程度容認するようなお考えはあるのかどうかお尋ねしたい。

【代表代行】
 私の考えは明確です。陛下が8月8日にご発言された、それはご自身がお疲れになったので休ませてほしいということをおっしゃっているのではなくて、国民に寄り添うという陛下の役割を考えれば、ご高齢になられた場合についてはやはり限界がある、制度としてと、そういうご趣旨だと私は理解をしています。したがって、恒久的な制度として皇室典範の改正で位置づけるべきだというのが私の基本的な考えです。
 加えて、やはり憲法2条(「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」)というのは重い条文です。ですから仮に特措法だけでやった場合については、これは憲法違反の疑いが生じる可能性がより高まる。そのことは皇位の安定ということを考えてもあるべきものではないと考えていますので、皇室典範の改正によるべきだということも含めて、それ(特措法のみで済ませること)を私が認めているということではありません。
 ただ、私が今あえてそのことを申し上げたのは、少なくとも典範改正ということについてはやらない限り、もちろん違憲の疑いというところについても非常に問題が生じるし、そもそも例外的にやるという考えに立つとしても極めて不自然な形になるということを申し上げたくて、あえて踏み込んで発言した。

【産経新聞・豊田記者】
 退位に関連して、今週金曜日に、皇位継承等に関する全議員懇談会が予定されている。これまでの党内議論では皇位検討委員会が中心となっていたと思うが、全議員懇談会という形であらためて議論する意義や狙いについて伺いたい。

【代表代行】
 民進党としての考え方は、皇位検討委員会で相当議論を煮詰めてやってきました。専門家との議論も重ねてきました。また、常任幹事会でその考え方を諮っております。常任幹事会というのは、NC(次の内閣)にも上位する我が党の意思決定機関ですから、そういった意味では手続的な問題はないと理解しています。
 ただ、この問題は国家の基本にかかわる極めて重要な問題ですし、最終的に法案として出てくるとなった場合については、政策の判断という意味でNCも当然かかわることになる。ですから、その段階も視野に入れるならば、やはり早い段階で全議員についてしっかりと意見を聞いた上でさまざまな判断をしていくことが重要だろうと、金曜日に設定されたということです。
 並行して皇位検討委員会についても動かしていくべきだと私は思っておりまして、私も出させていただいておりますので、またそこもしっかりとやることによって、総合的に我が党としてどういう決着を目指していくのかということについては、そろそろ考えていかなければならない時期が来ていると思います。

【産経新聞・豊田記者】
 代行ご自身、先月の予算委員会で譲位について総理に直接質問に立たれていたが、とても慎重にやられているなという印象を受けた。野田佳彦幹事長も常々「政争の具にしないということは、議論しないという意味ではない」とおっしゃっているが、その両立はなかなか難しいのではないかと思う。このバランスをどのようにとっていこうとお考えか。

【代表代行】
 ここは国会の権威も問われるし、国会議員一人ひとりが非常に厳しく問われている局面だと思うのです。自民党の議員の皆さんとも個人的にお話しできる機会があればできるだけ申し上げているのですが、本当に自民党の議員の皆さんが真剣にこの問題をお考えになった上で、1代限りのほうがいいとお思いになっているのだろうか、皇室典範改正しないほうがいいとお考えになっているのだろうかというと、はなはだ怪しいと私は思います。
 先ほど申し上げたように、「皇族」の中で陛下を極めて例外的な地位に置くということも含めて、その意味するところを真剣に考えるべきです。
 石破さんが「皇室典範改正でやるべきだ」と明確に言われましたが、しっかり考えている方、もしくは考えようとしている方の中では本当はそういう意見は多いと思います。ですから自民党の中で仮にそういう意見がきちっと出てこないのだとすれば、それは党としては極めて不健全です。そしてそれが今、多数派を握っているわけですから、国会としては非常に問題のある結論に至る可能性もあると思います。
 ですから、私があえてこうした発言をしたのも、国会の権威のあり方に非常に重要な影響を及ぼし得ると思いましたので、一言申し上げる必要があるだろうということで発言をした。

○参議院選挙制度改革・「一票の格差」について

【読売新聞・工藤記者】
 きょう政治改革推進本部があるが、「一票の格差」が今参院で3倍を超えるということでかなり大きな問題かと思うが、本格化するこの議論に党としてどう臨んでいくか伺いたい。

【代表代行】
 直前の動きをフォローしていないので、私がお答えするのが適しているかどうかちょっと怪しいですが、去年の段階で参議院で、我が党としては、公明党の皆さんともいろいろな協議をしながら、考え方を出した経緯がある。ただ、残念ながら多数派に押される形で、当面の制度改正は非常に小手先のことで終わってしまったという経緯があります。
 この問題、本来は選挙制度にかかわりますので、党派を超えて合意を目指していくべきなのです。ですから、自民党の皆さんがそういう考え方に転換をしていただく必要があると思います。その時に我が党としてはどういう立ち位置で行くのかということについて、再度確認をすることを今やっているというふうに承知をしていますので、まずはきちっと党内の議論を詰めて、そして与野党交渉に臨むということではないかと思います。

○日米首脳会談・日米関係について

【共同通信・田窪記者】
 安倍総理が9日から13日までアメリカを訪問してトランプ大統領と会談する。ゴルフも予定されていて、27ホールをプレーされると。
 賛否両論渦巻いているが、細野代表代行はどのように見られているか。

【代表代行】
 日米の関係を考えれば、外交というのは、個人的な信頼関係も含めてしっかりとやっていただくことが国益だと考えています。したがって、その方法として何がいいのかということは、これは総理としてしっかりとお考えいただくということではないでしょうか。
 ただ、友好関係を築くであるとか、個人的な人間関係を築くということと、我が国として言うべきことについてはしっかり言っていくということはやはり両立しなければなりません。
 ですから、さまざまな、入国規制の問題などは世界的にも非常に懸念を呼んでいますので、そういう中で我が国がシリアの難民についての受け入れを表明したのは非常によかったと思います。そういったことも含めて、総理がトランプ大統領に対してしっかりと日本として言うべきことを言ってこられるかどうか、そっちのほうを注目して見たいと思います。
 その他にもさまざま、例えば地球温暖化の問題であるとか、当然、保護主義ということについてもあります。そういったことについても議論しなければならない課題は多岐にわたりますので、そこでどういう交渉をされるのかということのほうに私は注目していきたいと思います。

○野党連携について

【朝日新聞・関根記者】
 4野党、共産党・自由党・社民党と、あと市民連合の皆さんと政策の協議を続けているが、いわゆる共通政策というか共通公約というか一致した政策というか、表現はわからないが、そういうことを共産党も含めて民進党が進めていくことに対しての細野代表代行の考えを伺いたい。

【代表代行】
 野党間のさまざまな協力関係については、幹事長・政調会長のところで、大変なご苦労をされながらやられていますので、そのことについてはもうお任せしようと思います。私がコメントする立場にはない。大変なご苦労をされていますので、そう思います。
 一言だけ申し上げるならば、それとは少し離れたところで申し上げるならば、民進党として掲げるべき政策がブレることがあってはならんと思います。それは憲法もしかり、安全保障もしかり。我が党は政権を目指す政党ですから、自らが政権を持った時に何をするべきなのか、国の基本の憲法についてどう考えるのか、そういったことについて他の野党との関係が影響するようなことがあっては決してならないと思います。