党役員会見に関する基本的な方針について

江田憲司代表代行記者会見

2017年2月10日(金)14時02分~14時54分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=TKdx5nssuVM


PDF「配布資料」配布資料


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○日米首脳会談について

【代表代行】
 日米首脳会談が行われます。聞くところによりますと、丸2日間、何度も食事をされ、ゴルフにも興じるということですが、これが日本にとって吉と出るのか凶と出るのか。安倍総理がおっしゃるように、首脳同士の信頼関係を確立することで日本の国益が守られるのか、それとも、これだけ破格の待遇をしたのだから無理難題も聞いてくれ、ということで日本の国益が損なわれるのか。ここをしっかりと我々としては見きわめていきたい。
 伝えられるところによりますと、安全保障と経済・通商分野で閣僚レベルの枠組みをつくるということですが、特に経済・通商問題につきましてはぜひ三つの原則・方針をしっかり堅持していただきたいと思います。
 一つ目は、やはり経済・通商問題と安全保障問題はしっかり峻別するという方針。これは危惧されるのは、トランプ大統領は「損得外交」「取引外交」と言われていますので、日本をこれだけ守ってやっているのだから個別の経済・通商問題では譲歩しろ、と言いかねないところもございますから、そういう場合には、従来どおり安全保障問題と経済・通商問題は峻別して、「それはそれ、これはこれ」ということで、しっかり対応していただきたいというのが1点目。
 2点目は、仮にそういう通商問題、言われているような自動車問題、そういったものが取り上げられるのであれば、それを仮に2国間で交渉していくということになるのであれば、やはり双方向でなければならないということです。
 特に自動車については、トランプ大統領もこれまで何度も発言されているような、全く今の日本の自動車産業、米国生産の現状を理解しない発言。ただ、この分野につきましては、それはトランプ大統領に限らず、私も携わらせていただいたクリントン政権時代の自動車交渉でも、大変理不尽な要求を突きつけてきたことも事実でありまして、容易にこういう理不尽な要求が想定される中で、仮にそういうことになれば、ぜひとも日本側の要求も突きつけていただきたいということです。
 具体的には、今アメリカだけが輸入車に、(乗用)車については2.5%、トラックについては25%もの高関税をかけていて、そして先般のTPP合意なるものを見ても、それぞれ25年先・30年先に撤廃するなんていうとんでもない合意になっている。仮に理不尽な要求を自動車分野で突きつけられた場合については、こちらもしっかりと自らの主張、特にアメリカの市場開放をしっかり訴えていただきたいと思います。
 3番目に、やはり必要なのは、2国間交渉になればこれはもう必然的に国力の差が出ます。日米の差が出るのです。こういう時はやはりぜひ第三国、他国の協力・理解も得ていくという戦術が必要です。
 これも日米自動車交渉当時、一番力を得たのが「あすは我が身」の東アジア諸国・ヨーロッパ諸国に理解と協力を求めて、圧倒的な多数で日本に加担してくれた。アメリカが理不尽な数値目標を突きつけてきた、例えば何年何月までにアメリカ車を扱う日本のディーラーの数を増やせとか、日本車をつくる時に米国製部品を使用するコンテンツ率・含有率を何パーセントまで上げろとかいう、とんでもない、市場主義に反するような要求を突きつけた時に、そしてそれをのまなければ、当時「通商法301条」で日本の高級車に100%の関税をかけるという一方的な通告もされた時に、やはり一番力を得たのが「あすは我が身だ」と。要は日本がそういう理不尽な数値目標を受け入れると「あすは我が身」、東アジア・ヨーロッパの国々も同じような要求を受けざるを得ない。そういうところを例えばOECDの場で、これは多数派工作でしたが、当時の橋本通産大臣がそれぞれ多国間交渉の場で各国に理解を求めて、結果的には1対24、OECDの25ヵ国のうち1対24で米国が孤立して、最後はUSTR(アメリカ合衆国通商代表部)のカンター代表がOECDの公式の会議の場にも出てこない、プレスコンファレンスの場にも出てこないというような状況に追い込んだ。これが非常に日本の交渉ポジションを高めたということもございます。
 トランプ大統領が理不尽な要求を突きつけてきた場合には、やはりヨーロッパやアジアの国々と連携して、しっかりそれをはね返すという方針をとっていただきたいと思います。

○南スーダンPKO派遣・日報問題について

【代表代行】
 予算委員会で、やれ「武力衝突」だ、「戦闘行為」だという議論がかまびすしいですが、そもそもこの南スーダン・ジュバへのPKO派遣部隊の日報が「廃棄された」と言われておりながら、実はそうではなかったと。しかも大臣への報告がひと月も遅れたということは、やはり大臣の統治能力のなさ、防衛省という役所を管理する組織管理の能力のなさとともに大変危惧するのは、シビリアンコントロールにも反する。文民統制という意味でも、制服組の中だけでこういうことが行われて、大臣報告がひと月も遅れるなんていうことになれば、まさに今、PKO部隊を派遣しているわけですから、そら恐ろしいと思います。
 ただ、これは私に言わせれば、もう安倍政権の常套手段です。集団的自衛権を認めるような法律を「平和安全法制」と称する。条約は何ら変わっていない、条約で求められている犯罪は“Conspiracy”「共謀罪」になるのですが、それを、提出されると聞く法案の(中での)名前が「テロ等準備罪」にすると。そして、この南スーダンは内戦状態、戦闘状態で砲弾が飛び交っているというのに、それは単なる「衝突」だと言いかえる。これはもう安倍政権の常套手段なのですね。国民は素人だからこうやって名前を変えておけば受け入れてくれるだろうと。要は包装紙をきれいにすれば、中身が毒まんじゅうでも国民は食ってくれるだろうという、安倍政権の本当に国民をバカにした、国会をバカにした態度だと思います。ぜひ、そういう安倍政権の常套手段というか、こういった姑息なやり方を国民の皆さんも見抜いていただきたいと思います。
 その南スーダンですが、私も予算委員会で2月1日にやりましたとおり、これはもう内戦状態です。弾が飛び交っているわけです。7月7日、政府軍と反政府軍が戦闘し、270人以上が亡くなったわけです。その直後に外務省は、日本国民の渡航に対して(危険情報を)レベル3からレベル4に上げた。それまでは渡航しないようにという注意喚起、それがこの戦闘以降、レベル4。要はもう退避してください、今南スーダンにいらっしゃる方は国外に退避してくださいとなっている。
 こういうところに、まさに安倍総理が自ら主導した違憲の安保法制に基づき、その初めての発露としての「駆けつけ警護」。この結果自衛隊が1人でも殺傷する、自衛隊員が1人でも殺傷される事態になれば、あなた、しっかり責任をとって辞める覚悟があるのですね、ということを私が2月1日に詰問したところ、最後は「もちろん、その覚悟はあります」という答弁をいただいた。
 事柄の性格は違いますが、橋本政権で起こったペルー人質事件。あの時はフジモリ大統領が本当にいつ突入するのか、我々は突入を制するのに非常な努力をしたわけですが、そのフジモリ大統領が人質救出のために大使館に突入した時に、日本人に1人でも犠牲者が出れば総理か官房長官辞めようねと、当時の橋本総理・梶山長官が話していたことを私は鮮明に覚えております。
 それくらいの覚悟で、総理大臣は自衛隊の最高司令官ですから。しかも自らが主導した違憲の安保法制、その「駆けつけ警護」によって、これは想定したくもありませんが、犠牲者が出た場合については、当然これは総理大臣、本当に辞めていただかなければいけない。それほどの覚悟でやるような話なのですよ、事柄のいい悪いは別にしまして。
 一国のトップの総理、自衛隊の最高司令官が、ここまで内戦状態の国に、PKO5原則が実質破綻しているというのに派遣した結果、痛ましい結末が訪れるようなことがあるのであれば、それはもう総理大臣がしっかりと責任をとっていただかないといけませんし、この前の総理答弁はその覚悟を明確に示されたと理解しております。

○天下り問題・再発防止策の取りまとめについて(配布資料添付)

【代表代行】
 最後に、天下りの問題につきまして、ご案内のように私のプロジェクトチーム(ムダ遣い解消プロジェクトチーム)と部門会議の合同で鋭意調査、ヒアリングを進めておりますが、お配りした資料はその時の資料(配布資料添付)で、プラス星印をつけています。
 政府のほうは山本国家公務員制度担当大臣、内閣人事局のほうが、全省庁調査をやっている、やっているとおっしゃるのですが、いつまでに発表するとか期限も明確にしません。それからどういう手法、やり方で調査を進めるのかということも公にしません。なにか相手省庁に手の内を明かすのが嫌なのだというわけのわからない理屈で。どういうやり方で実際に文科省類似のような事例を見つけていくのか全くわからない中で、やはり我々民進党としては、ある程度疑わしき母集団・案件というものに目星をつけて、そこを集中的に調査していくというやり方をとりたいと思っております。
 その中で一つは、2008年以降公開されている再就職案件は1万1000件あります。そのうちの1285件、これは山本大臣の答弁で、1割超の1285件は役所を辞めた当日か翌日に再就職しているのです。要は辞めた日に再就職している、翌日に再就職した例が1285件ありまして、これは在職中の求職活動かあっせんが推定されるわけです。事実かどうかはわかりませんが。したがいまして、この1285件を1件1件調査していく必要があるだろうというのが一つ。
 二つ目に、離職日と再就職日が判で押したように同日になっている事例がございまして、それが、今お配りしている、税関と地方財務局の職員が、平成27年7月1日に退職した60人のうち40人が、退職して2ヵ月後の9月1日に再就職している。同一の横並び再就職をしている。そしてその税関職員が、まさに許認可とか監督対象の貨物運送会社・倉庫会社に天下っている。財務局については、金融検査を所管しているような職員が、信用組合とか地方の金融機関に天下っているということであります。そのうち特に怪しい10人につきまして表にしたのがこのペーパーでございます。
 このうち、税関職員でダイヤマーク(◆)がついている3人については、財務省自身が、これは利害関係企業だと認めた案件です。利害関係企業につきましては、ご承知のように、在職中求職活動をするのは違法です。それから現職の職員があっせんすることも違法ですから、こういうところが一番“クサい”わけです。
 それから地方財務局・支局について言えば、星印(★)がついている職員は、これはカモフラージュしていまして、やはり最後辞めるポストは、本省であれば大臣官房付、財務局であれば「総務部部付」「財務支局局付」というような形なのです。これを財務省に資料を求めましたら、結局、この星印がついている職員はまさに金融検査をやってきた職員なのだけれども、それを離職時、カモフラージュをするためにわざわざ「総務部部付」「局付」にしているということであります。
 そしてこの中で、下の星印の3人で見事な操作が行われている。これは人事局の一覧表1万1000件の中で公表されていますから、このペーパーでは固有名詞も書きましたが、一番上のAさんは東海財務局でやっていた人なのだけれども、退職直前にわざわざ北陸財務局に出向させてカモフラージュして、それで戻して東海財務局総務部部付にしているということなのです。
 中段のEさんも、もともと福岡財務局の人ですが、わざわざ退職直前に中国財務局に飛ばしてカモフラージュして、それで福岡に戻して、福岡所管の金融機関に再就職させている。
 最後の事例、Yさんも、中国財務局の人ですが、退職直前に東海財務局に飛ばして、そこでワンクッション置いて、また中国財務局にして、中国財務局所管のところに再就職している。
 こういう巧妙なやり口なのです。これをして「組織的な役所のあっせん」と言わずして何と言うのでしょうね。こんな人事操作ができるのは人事当局だけでしょう。こういうところを中心に、我々としてはしっかりと調査をしてまいりたいと思います。
 最後に一つ。現役出向という手法がまかり通っています。これは公務員制度改革法で天下りを禁止する前は、本来、幹部の方が民間会社等に現役出向するということはありませんでした。それはなぜかというと、私も若手の人事交流はむしろ賛成です、若手の係長や課長補佐の職員が民間会社に行く、あちこち行って経験を積んで、また民間の気風というか考え方というか、ノウハウを学んで、それを役所に生かしていくというのは非常に大切なことだと思います。しかし、これが部長職とか審議官とか指定職以上のことになってくると、これは天下りが禁止された、それを尻抜けするというか抜け道を通るために、退職させるのではなくて現役出向させる。要は、天下りが禁止された時代には、本来ならばもう「肩たたき」で退職させるような人材だった人を、こうやって天下りが禁止された、あっせんが禁止されたものですから、その抜け道としてわざわざ退職直前に民間企業や関係団体に出向させるという事例がどんどん増えておりまして、これは形を変えた天下りなのです。
 調べてみますと、これが年間ベースで、平成27年では139人。これは審議官・部長クラスの出向です。いわゆる指定職といわれている幹部の出向は、全省庁で平成27年で139人、平成28年で121人も行っている。これは、はっきり言えば本来は「肩たたき」で退職するような、「窓際」と言ったら失礼ですが、こういう方を、天下りできないものですから、現役出向という形で出向させて、そして本省に戻して大臣官房付にして、そして今度は天下りをさせる。先ほど言ったように、大臣官房付にすれば、そこは利害関係がなくなるわけです。ここも今の法律の盲点なのです。
 要は、利害関係企業等に再就職してはいかんというのは、これは求職活動時のポストがその企業と利害関係がある場合に限られていまして、こういうふうに大臣官房付に置かれた時に求職活動を幾らしても、これは適法なのです。これも非常に脱法的な、今の法律の抜け穴なのです。
 今回文科省の事例で明らかになった、現職職員があっせんしたら違法だけれども、OBがやれば違法ではないと。だからこういうOBを活用した違法な組織ぐるみのあっせんができたわけです。これは当時から私も指摘していましたし、要は現職職員のあっせんを禁止しても、必ずOBを使った裏あっせんシステムができる。これはもう当時から指摘されていることでありまして、こういった抜け穴も塞いでいかなければいけませんし、あと当時議論されていたのは、あっせん(を禁じる国家公務員法)違反自体に刑事罰をかけるということも議論されておりましたが、残念ながら第1次安倍政権時代の公務員制度改革で、この抜け穴はずっと維持されたまま来て、それが今回露呈したということであります。
 現職時の求職活動が禁止されている点につきましても、極めて狭い範囲内での利害関係しかなくて、仮に直接な利害関係があるポストに、2代、3代前についていても、それは「もう求職活動をやっていないから適法です」という言い逃れができるようになっております。
 したがいまして、大串政調会長も言ったそうですが、この安倍政権における公務員制度改革以前は、離職後2年間は、在職時から遡って5年以内に利害関係のある営利企業等には再就職してはいかんという規制があった。それを取っ払ったものですから、今みたいな抜け穴だらけのザル法ができたというのが現状であります。
 この点につきましては、来週中にも再発防止策の中間的な取りまとめもして、早急に法律案にして、抜け穴を塞いでいく再発防止策を検討していきたいと思っております。


■質疑

○天下り問題・再発防止策の取りまとめについて

【時事通信・岸本記者】
 天下りの禁止法案に関してだが、民主党時代は2年をさらに5年にするということを検討されていて、今回の法案もそう検討されているようだが、代行としてのお考えはいかがか。

【代表代行】
 我々の調査もまだ進行中ですし、全部早急にまとめるというのはちょっと無理があるので、とりあえず緊急・臨時的にその抜け穴を塞ぐ方策は何かということを最初に検討したいと思うのです。
 民主党時代に提案していた、遡って5年間の在職ポストとの利害関係があるところには離職後5年間は行ってはいけないというのも一つの方策だと思いますが、それはある意味で抜け穴防止というより抜本的な天下り禁止に踏み込むということですから、そこは次のステップとして検討に値する方策なので、我々としても検討していきたいと思いますが、とりあえずは今の中で臨時応急的に早急にやらなければいかんことはまとめなければいかんと思っているのです。
 我々としても調査を独自にやっていますから、そういう調査結果を踏まえて、そういう本格的な再発防止策というのはまた検討していきたい。
 そういう2段構えで行きたいと思います。

【時事通信・岸本記者】
 ということは、以前あった2年の禁止というのをまずやって、抜け穴を塞いでから、それからさらに強化をしていくという考え方か。

【代表代行】
 いや、まさに今回は、一番ストレートに言うと、現職のあっせんは違法だけどれも、OBが介在すれば違法ではないというところがまさに指摘されたわけです。再就職等監視委員会の報告書を見てもおわかりのように、OBを道具として使って、実際は現職があっせんしたと同一視できるような事案については、これは明白な法律違反だということが再就職等監視委員会で認定されていますから、とりあえずはその辺から検討していきたいと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 通常国会のMVPは河野太郎さんではないかと思っているくらいだが、河野さんは与党議員としてはムダ撲の元祖でもある。河野さんの評価と、例えば天下りの穴塞ぎなどは、民進党の提案で超党派でやることもあり得ると思うが、特に天下りの問題でそういう動きを仕掛けるような考えがあるのか伺いたい。
天下りの問題については、超党派というか、与野党で法律改正とか。河野さんなどはまさにこれについてはグッと進んでいるわけで、別に自民党全体ではなくても。それが民進党の「提案型」のあり方だと思ったが、河野さんの評価と、天下りのその辺のを伺いたい。

【代表代行】
 河野さんについては、大臣の時に、もっと権限を持っておられる時にしっかりやっていただきたかったですね。今おっしゃるのであれば、なんで大臣、閣内にいる時にこういう問題提起をしてやられなかったのかと。原発問題も含めて、という思いはあります。
 それとも関連して、何やら自民党の行革本部でやられているみたいだけれども、結局、自民党という政党は、安倍政権の安倍一強・独裁の中で、執行部も含めて、そういう意見が取り入れられないのでしょう。ですから、あまりそこと連携しても意味がないので。我々は別にそこと連携してやらなくても、有為な若手、官僚出身の政治家をそろえていますから、今の予算委員会の論戦を見ていただいても、そういう意味でのしっかりとした立派な人材が、この天下り問題につきましても問いただしております。
 それから現実問題、「目安箱」を設けた意味があったなと思っているのは、ここではつまびらかにできませんが、何件か文科省類似の案件というのが来ていますから、これをちょっと水面下でしっかりと調査を進めていきたいと思います。
 たぶん皆さんの関心は、もう文科省の深掘りよりも、こういうことが他省庁でも本当に蔓延しているのではないかと。要は文科省の事例は、報道でも読みましたが、文科省の役人に言わせてみれば、「なんで我々だけが責められるんだ。こんなことはほかだってやっているではないか」というのが引用されていましたが、まさに私もそのとおりだと思っているのです。ですから、私のPT(ムダ遣い解消プロジェクトチーム)では、このほか省庁案件を結構集中的にやって、こういう現職職員によるあっせんが禁止された抜け道を使って、OBを使って、組織的にあっせんするシステムというのは他の省庁にもでき上がっていると私は思っているので、そのしっぽをつかんで、しっかりと調査を進めていきたいと思います。

○日米首脳会談について

【読売新聞・重松記者】
 日米首脳会談についてだが、世界各国がトランプさんの政策に対して懸念を示す中で、先ほどおっしゃったゴルフなども含めて信頼関係を構築するのに力を入れるということだが、帰国後の国会論戦においてはどのような立ち位置や切り口で会談の結果を引き出していきたいとお考えか。

【代表代行】
 先ほど申し上げたとおり、この日米首脳会談の結果をしっかりと見きわめた上で、国会での立ち位置はしっかり決めていきたいと思います。
 メイ英首相がトランプ大統領と会談して帰国してみたら「トランプのトイプードルだ」と批判されたようなことに、安倍総理も仮になるのであれば、我々としては厳しく追及していかなければいかん。だから安倍さんも「トランプのポチ」と言われないように私も祈っておりますが、それは全てこの日米首脳会談でどういう合意がされるのかにかかっていますから。だから、先ほど申し上げたように、こういった破格の待遇・厚遇を受けることが吉と出るのか凶と出るのか。それが本当に安倍総理の言うように信頼関係が確立されたから、日本の国益に沿って言いたいことも言って、トランプ大統領も納得してくれました、というならばいいですが、私が懸念しているのは逆で、これだけの破格の厚遇をしたのだからと。別荘まで招待してメシも何度も食わせてやってトランプ大統領のゴルフ場でゴルフもさせてやったんだから、これくらいのことはのめよ、と言われて帰ってくるのか。どっちかですよね。それをしっかり見きわめた上で、来週の火曜日(14日)、集中審議でも問いただしていきたいと思います。

【テレビ朝日・白川記者】
 今回、トランプさんが安倍総理をかなり破格の厚遇をするということだが、安倍総理側も一応お土産を持っていかれて、前回は金のゴルフクラブだったが、今回は金のペンと書類入れということだ。そのことについてまずどう思うかということと、首脳外交におけるお土産、実際のお土産というものについてはどうお考えかお聞きしたい。

【代表代行】
 私の記憶が確かであれば、首脳同士が会談する時にお土産を持っていくという慣例はあります。ただ、アメリカの法制上、たしか何ドル以下という規制があったと思います。それ以上になると賄賂性を帯びるということで。
 当時、私は政務秘書官でお土産担当だったのです、実は。(笑い)そこはものすごく気をつけて、例えば橋本龍太郎総理の場合は、これは何だと言われるかもしれないけれども、あの方はカメラマン、要は写真を撮るのが大好きなので、いろいろな風景の写真を、例えばエベレストの山とかチベットの風景とかを撮ったような写真をパネルにして、それで贈っていた。その程度のお土産ですよ。
 それが、今聞くと金のペン?ちょっとこれはアメリカ的にどうなのですか。私の当時の記憶は、アメリカの大統領はものすごく厳しくて、あまり高価なものはもらってはいかんという規制があったはずなのですが。僕はそれを気をつけてやっていたつもりなのですが、今はなくなったのですかね。
 まあ、どんどんトランプ化していますよね、安倍さんも。

○南スーダンへのPKO派遣について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 江田さんの質問に、総理はたしか、自衛隊員が亡くなったら総辞職覚悟だとおっしゃったのではなかったかと思うが。

【代表代行】
 総辞職というか、辞職する覚悟だと。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 それは大変な言葉を引き出したと私は思っているが、その前段で、先ほどおっしゃった、橋本さん、梶山さんの時は、亡くなった時はどちらか一人が辞めたらいいというようなことをおっしゃったと。それはまさに秘書官の時の経験だが、どんなふうにおっしゃったのか、もう少し具体的に伺いたい。2人とも亡くなっておられるので。政治家のその覚悟ですね。

【代表代行】
 鮮明に覚えているのは、執務室で私も陪席しているところに、橋本総理・梶山官房長官が、ペルー人質事件の対応について協議した時に、まさにフジモリ大統領は本当に突入を早期にしたがっていたので、もし仮にそれが止められなくなって邦人に犠牲が出るようなことがあれば、「総理か自分が辞めるべきだね」という話をされていました。それで総理も「そのとおりだ」と。
 これは、事柄が違う、総理大臣の責任という意味では、安倍総理のほうがはるかに重い。それはペルーの日本大使館にトゥパク・アマルというテロリストが突入したことも、防御が甘かったという批判はあるかもしれないけれども、ペルーという外国でそういうことが起こり、しかもフジモリ大統領が自分の権限で突入した結果の犠牲と、今回のような安倍さんがまさにあれだけの国民の反対がある中で違憲の安保法制を強行して、その結果初めて現実になった案件でしょう、「駆けつけ警護」という。こういう内戦状態で、PKO5原則が実際上破綻している中で、そういう中で幾らそれが「衝突」だと言い募ったところで、南スーダンの実態は言葉ではごまかせませんから。
 ですから何度も言いますが、そんなことは私も全く想定したくないけれども、私は覚悟を問うたわけです。そこまで決断をしてやられているのだったら、それは総理大臣の権限でしょう。それは認めざるを得ない。しかしその結果、戦後初めて自衛隊員が殺傷されたり、自衛隊員が外国人を殺傷するような事態になった時は、それはやはりそれだけの覚悟を持って最高司令官は命令を出したのでしょうね、ということを問いたかった。まさに安倍総理に直接的な責任がある問題ですから、この「駆けつけ警護」は。想定したくはありませんが、その結果犠牲者が出たということになれば、それは当然辞職に値するだろうという思いでした。それは総理からは、もちろんその覚悟ですと。いや、それはもうそう答えるしかないと思いますよ。そんな覚悟もなく派遣したなんて言えませんから。私は覚悟を問うた。
 これはそれほどの重大な問題なんですよ、認識されていますか、ということを問いたかったわけで、その結果、総理は当然認識されています。私の質問も、安倍総理ならば当然認識されていますよね、という問い方をしたと思います。安倍総理はそのぐらいの気概・覚悟があると思います。

【NHK・花岡記者】
 先ほど江田代行から、PKO5原則がもう崩壊しているという話があった。先日、国連の特別顧問が、南スーダンでジェノサイドがいつ起きてもおかしくない状況になっているというような報告もされている。代行は、今PKO5原則が崩れている以上、早期に撤退すべきだとお考えか。

【代表代行】
 そこは検討課題だと思います。正確に言うと、「駆けつけ警護」を付与した部隊が12月から活動しているわけなので、民進党の立場というのは、少なくともこういう状況の中での「駆けつけ警護」には反対ということは明確にしていますが、PKOにもいろいろな種類の行動、活動がありますから、その中で、どういう事態か私ももう少し詳細を精査しなければいけませんが、危険性のない業務の中で貢献できることがあればまだ引き継ぐ可能性はあると思います。
 しかしPKO5原則というのは厳然としてあって、「停戦合意が成立していること」というのがあるわけです。政府の言うように、国または国に準ずるものとの戦いではないんだと、反政府軍なんていうものはゲリラ軍だから、これは「戦闘」ではなくて「衝突」なんだと幾ら言い募ったところで、実際問題、実態は違うんじゃないですかと。
 それから、わからないところは、稲田防衛大臣が南スーダンに行かれた時の報告書も黒塗りだらけ。だから野党、我々にはわからないのです。おまけに、こういう日報が廃棄されたみたいな話があって。だから、わからないんです。
 だけど、最終的にはこれは総理大臣が決断して派遣されたことですから、当然それだけの覚悟を持ってやられたことだと思います。野党というのは、大体こういう時は本当に情報ギャップがあって、責任あることは今のお答えはできませんが、基本的な考え方はそういうことです。

○天皇陛下の退位をめぐる議論について

【朝日新聞・松井記者】
 今朝、民進党の、天皇陛下の退位に関する意見交換会が全議員を対象にしてあった。その中で、皇室典範を改正して恒久的な制度とすべきだという意見が多数を占め、一方で特例法を容認してもいいのではないかという声もごく一部出た。その結果について、代行としてどのように受け止めているか。

【代表代行】
 党内でいろいろな議論があることは、当たり前のことです。ですからしっかり熟議を尽くし、衆参議長のもとの各党協議会の場でも議論を尽くしていくということが大事だと思います。
 最後は、やはりこういう問題は与野党とも合意のもとでやっていただかないと、何度も言いますように、国民全体の象徴たる天皇の地位を決めるわけですから、そこは今予断を持って私がどうこう言うつもりは全くございません。

【読売新聞・重松記者】
 自民と公明が特例法でまとめ、典範に根拠規定を置くことも検討している。一方、民進党は、今朝の会議でも皇室典範の改正が多数を占める。この状況の中で、民進党として今後、自公側が呼びかけを模索している民進党と自公の協議を含めて、どう着地点を見出すことが望ましいとお考えか。

【代表代行】
  先ほど申し上げたように、私が予断を持って今言うことは差し控えたいと思います。

【読売新聞・重松記者】
 憲法4条と、「陛下のご意思」の関係について。党の論点整理の中では、陛下が「国政に関する権能を有しない」とする憲法4条について、陛下自身の退位の「その意思を全く無視するのは、妥当性を欠く」と論点整理されている。ただ、この見解に対して一部では、陛下が退位の意思を示して実際に退位できるようにすると憲法違反だという指摘がある。これにはどう反論されるか。

【代表代行】
 憲法解釈については、集団的自衛権の問題でもそうだったように両説あると思います、それは。
 だけど我々としては、要は天皇陛下の言うとおりにそれをするということになれば、それは憲法違反の可能性も高まりますが、しかしそうではなくて、あくまでも国会や政府が主体的に決める。天皇陛下のお気持ちを尊重しながら、主体的に国会や政府が決めていくということは何ら憲法違反ではないと思っています。

○原発・エネルギー政策について

【朝日新聞・松井記者】
 原発政策について、3月の党大会で確たるものを打ち出したいと蓮舫代表はおっしゃっている。ただ、党内で一部、その動きに異論も出ていて、昨日、野田佳彦幹事長のところに異論を唱える方々が意見を言いに行っていた。そういった動きも踏まえて、原発政策、党としてどうあるべきかお聞きしたい。

【代表代行】
 原発につきましては、ご指摘のとおり3月の党大会の時にもっとわかりやすく、歯切れよく、我が党の原発政策を示そうということで、玄葉光一郎衆議院議員をヘッドにエネルギー環境調査会をずっと続けているわけです。
 この問題については自民党の中にも反原発の人がいるし、民進党の中にも原発推進の方もいるというのは事実ですが、いずれにせよ原発問題というのは民進党としては安倍自民党との明確な対立軸なので、今時点の民進党の公式な見解でも「2030年代原発ゼロ」と、再稼働は原子力規制委員会の基準適合だけではなくて、国が責任を持つ実効性のある避難計画の策定と最終処分場についての(選定)プロセスが開始されていることというのは、明確に基本的政策合意に書いてある。しかし、これがなかなか国民に伝わっていないということで、もっと歯切れよく、わかりやすく言えるように、今、検討を進めていただいているという中で、どういう結論に落ち着くかは、乞うご期待ということです。

【TBS・牧野記者】
 原発の政策だが、「2030年代原発稼働ゼロ」というのが今の方針だと思うが、それを「2030年」に前倒ししようという方向で議論が進んでいるようだが、そのことについてはどのようにお考えか。

【代表代行】
 正直、私は聞いていません。報道されているような「原発ゼロ基本法案」も「2030年までに原発ゼロ」も聞いていませんし、執行役員会で議論になったこともまだありません。ですから今、エネルギー環境調査会のほうで種々議論されている中での話だと受け止めています。
 ただ、これは3月の党大会で出すとすれば、しっかり党内手続を丁寧に進めていかなければいかんということです。まだ今は、あとひと月くらいありますから、とにかくこういう大きな政策を決める時には、やはりしっかり熟議をやらないと。関係者・団体の方ともしっかり意見交換をしなければ、何をどう決めるに当たっても「エイヤッ!」では決められないので、しっかりとプロセスを踏むということが大事なので。ただ、最後は政治決断をする。蓮舫代表が政治決断をするという、こういうプロセスが大事だと思います。今そういうプロセスの過程だと思います。

○次期衆議院選挙の候補者擁立作業について

【共同通信・下山記者】
 次期衆院選のことで1件伺いたい。解散風が一旦吹きやんだというか、落ち着いた感じがあって、実際のところ民進党でも候補者の擁立の動きが停滞というか、一旦止まっているように思う。あと60くらい民進党としての空白区があると思うが、代行として、時期にとらわれずに空白区の解消を急ぐべきと考えるのか、それとも他の野党3党との候補者調整の協議のいかんによっては、しばらく民進党としての候補者擁立を若干スピードダウンさせてもいいとお考えか。

【代表代行】
 直接の担当者である幹事長・選対委員長に限らず、我々役員も含めて精力的に、早期にやっていかないといかんと思っています。

○参議院選挙制度改革について

【時事通信・岸本記者】
 きょう参院改革協議会が開かれた。民進党としては20県を10区に合区するという案などを中心に提案していくようだが、「一票の格差」について代表の所感を伺いたい。

【代表代行】
 これは岡田克也前代表がトップを務める政治改革推進本部の議論をフォローしていただければわかるのですが、一応、今まで出てきた、今ご指摘の案も含め、あと二つ、三つくらいの案の中から、我が党としては収れんさせていくことになっています。まだまだこれは議論がスタートしたばかりなので、これもよく、議員の身分にかかわる話ですし、参議院の皆さんの話でもあるから、そこでやはりしっかり議論を進めていっていただきたいと思います。
 基本的な方針は、発表した文書のとおりです。

○連合との関係について

【読売新聞・重松記者】
 基幹労連の調査で、自民党支持が民進党支持を上回るという調査結果が出ている。これまでの支持基盤がやや揺らいでいるようにも見受けられるが、この調査結果についての受け止め、分析を伺いたい。

【代表代行】
 農協もやってみればいいのではないですか。農協の組合員の皆さんに、どの党を支持するか。従来は自民党の確固とした支持基盤だったわけでしょう。
 私が申し上げたいのは、手前みそだけれども、なぜ私が無所属で自民党・民主党に小選挙区で勝ってきたかというのを考えてもらえればわかるのです。私の選挙区というのは、鉄道会社が野っ原を切り開いて区画整理して造った新しい町です。幾ら会社のトップが社員に「だれそれを、何党を応援しろ」と言ったって、社員はそれに従わないですよ。業界団体、労組もそうです。業界団体だって労組だって、ボスが「この党に入れろ、支持するんだ」と言ったって、傘下の組合員や社員は入れませんから。それが現状なので、特に驚くに値しないと僕は思っているのです。基幹労連だけではなくて、他の労組にもそういう傾向があるところもあるし、一方で言うと、今まで自民党の支持基盤の強かった業界団体の中でも民進党のほうが上になるようなところもあるし、それはもう時代の趨勢だと私は思います。
 だから大事なことは、政党ですから、支持基盤とは別組織なのですから、政党がしっかり国民に向いて政策をしっかり打ち出すということがやっぱり大事なので、その中で支持基盤の皆様の意見は尊重していかなければいかんということはそのとおりですが、もう上が支持すれば下が全部それに足並みそろえて動く時代ではないですから。だから、本当に我々公党たる政党は、自民党であれ民進党であれ、国民を見てしっかりと政策を打ち出すと。そうしないと、もう政権交代なんてできませんよ、民進党は。