党役員会見に関する基本的な方針について

野田佳彦幹事長記者会見

2017年2月13日(月)15時32分~15時57分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=qJefGz5y-XU


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○北朝鮮の弾道ミサイル発射に厳重抗議

【幹事長】
 12日午前、北朝鮮による、我が国領海・日本海に向けての弾道ミサイルの発射については、これは言語道断の暴挙であり、厳しく抗議をしたいと思います。
 国連安保理においてもしっかりとした対応を望みたいと思いますし、特に日本・アメリカ・韓国の連携と、効果のある制裁を加えるならばどうしても中国の役割が大きいと思いますので、こうした議論をしっかり日本が主導して深めてもらいたいと、強く政府に注文したいと思います。

○日米首脳会談について

【幹事長】
 日米首脳会談については14日、この日米間のみならず外交課題について(衆議院予算委員会において)集中審議を行う予定です。私の印象としましては、まず安全保障の関連では尖閣を日米安保条約5条(米国の対日防衛義務)の適用の確認など、基本的には前進というか安心感をもたらす内容だったと思いますが、経済に関してはやはり警戒感を持たなければいけないなと思っております。
 特に国会では総理はTPPについては「粘り強く」「腰を据えて」「しつこいくらい」アメリカを説得していく、とおっしゃっていたはずでありますが、その割には40分程度の最初の首脳会談では触れていないのではないでしょうか。触れていないにもかかわらず、その共同声明では2国間の経済対話、麻生副総理・財務大臣とペンス副大統領との対話などの、そういう枠組みを簡単に決めていますが、どうしてこういうことになったのか。なぜ2国間のこういう議論を、まさにTPPの話も余りしないままに決めていったのか、不可思議でなりません。この点については、集中審議などを通じてしっかりと審議をしていかなければいけないのではないかなと思います。
 そもそも深い対話があるならば、今回はまず特段厳しい要求が出なかったという「ほっとした」感が漂っているように思いますが、本来こうした2国間の協議を進めていくと、おのずとトランプノミクスとアベノミクスは本質的にぶつかり合うものではないかと私は思っています。日本の金融政策に対して疑念を持っているトランプ政権でありますので。日本の国会ではずっと金融の出口は封じてきましたが、おのずと出口に引っ張られていくという議論にならざるを得ないのかと思います。
 今回、ゴルフなども含めて余りにも間合いを詰め過ぎた分、これからは物が言いにくくなるのではないかという懸念を持ちます。これからの動向をよく注視をしていきたい。


■質疑

○日米首脳会談・日米関係について

【共同通信・橋本記者】
 共同通信がきのう・きょうで行っている世論調査で、日米首脳会談について「評価する」という人が、まだ集計中だが、7割を超えそうだ。幹事長は今いろいろ課題などを指摘されたが、その背景はどのように分析されるか。

【幹事長】
 おそらく、ギクシャクしなかった、厳しい要求が出なかったことで、先ほど言った「ほっとした」という人が多いということではないのかなと思います。

【フリーランス・上出記者】
 「ほっとした」という感じではないかと。今回、ある意味でトランプ・カードをうまく政権が利用して、「大変だ、大変だ」ということが割と大きくなっていて、そういうことがなかったと。野田幹事長もおっしゃっていたが、それをうまく演出したという面が非常に強いのではないか。それにメディアが乗っかって、何となく「安倍首相、頑張った」という、たぶんそれが内閣支持率なども押し上げると思うが、そういう点も含めてその評価と、今後そういうことを踏まえた国会対応をどのようにお考えかお聞きしたい。

【幹事長】
 個人的な信頼関係を築くのはいいことだと思います。その意味では一定の評価を国民がされたのだろうと思います。
 しかし一方で、国際社会は極めて緊張感を持って、どのように距離感を測っていくかというところに心を砕いている時なので、余りにも蜜月関係ばかりが強調されておりましたが、今後厳しい要求が出てくる時にきちっと物が言えるのかどうか。その辺をよくチェックしていかなければいけないのではないかと思いますし、国会はもちろんそういうさまざまな観点からのチェック機能を果たす場でありますので、「ああ、よかったね」という話ではなくて、本当に大事な議論をしたのかどうか、です。
 入国禁止の問題でも他国はいろいろと、抑制した言葉でもきちっと物を言っているわけでありますので、全く「ノーコメント」のまま触れないで、仲よくできたということだけでいいのかどうか。その辺は国会として議論していくべきだろうと思います。

【テレビ東京・山本記者】
 TPPに総理がこだわっていたところから、今回、2国間交渉についても可能性がかなり出てきた印象を受けた。2国間交渉に進む場合に、TPPにも増して条件を譲歩したりする危険性についても指摘されているが、2国間交渉に進むに当たって幹事長として危惧している点などがあったら伺いたい。

【幹事長】
 世界1の経済大国と3番目の大国がウイン・ウインの関係を目指していろいろ対話することは問題はないのですが、2国間に絞って幾つかのテーマを議論せざるを得ないというほど日米間に課題があるのかどうか、なのですね。
 必要に応じていろいろ意見交換することは大事だと思います。だから個人的な信頼関係は築くべきだと思いますが、例えば金融の問題とか投資の問題とか、幾つかのテーマで、今あえて議論しなければいけないという構造なのかどうか、なのです。
 あえてその2国間の道をつくってしまったということはいろいろと厳しい、今TPPのお話がありましたが、TPPでも国益という観点からするとかなり問題があったと我々は思いますが、そこがスタートラインとなる2国間の協議になるおそれがありますので、これは要注意ではないかと思います。

【時事通信・岸本記者】
 首相がトランプ大統領の年内訪日を調整したことに関して、自民党の下村幹事長代行が、「たぶん訪日前に解散はないだろう」「訪日は秋ぐらいになるだろう」という見通しを示した。これに対する受け止めを伺いたい。

【幹事長】
 いや、何の受け止めもありません。去年もベラベラ解散をしゃべっていました、臨時国会のころ。不必要に解散を語り過ぎると思います。無責任だと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 前総理としてのご見識として伺いたいが、「間合いを詰め過ぎた」のではないかとおっしゃったが、ご自身だったら慎重に、ここまで間合いを詰めないか。それから、他のG7に比べて、いわゆる入国管理令などについては「ノーコメント」だったわけだが、その点についてはご自身の見識としてはどうなのか。この2点を伺いたい。

【幹事長】
 やはり突出して蜜月の関係になっていくという形は、詰め過ぎではないのか。日米関係は最も大事な2国間関係でありますし、日本の外交・安全保障の基軸だと思います。しかし、ドイツもイギリスも、自由や民主主義であるとか人権であるという基本的な価値観を共有できるかどうかを今探っている途中ですよね。そこの議論を今回ちゃんとやったのかどうかもわからない中で、余りにも間合いを詰め過ぎるということは、詰めたことによるリスクがこれから出てくるのではないかと思います。
 間違いなく信頼関係は必要だと思いますが、そういうさまざまな議論を、見解を異にすることも含めてやりながら信頼関係を築くというのが基本的なステップだと思いますから、その辺の議論を差っ引いて、やらないまま省略をして、一挙に距離が縮まってしまったことに対して、逆に懸念を持たざるを得ないなと思います。

【フリーランス・上出記者】
 日米関係だが、アメリカのメディアを見ていると、インターネットも含めてほとんど日米関係のことが出ていなくて、その関連で出た入国禁止の安倍首相の「ノーコメント」という言葉、そういうところが強調されていて、日本でやっているのとだいぶ様子が違う。内政問題とは言えないような大事な問題だと思うが、あらためて、この会談を受けてこの問題についてご見解を伺いたい。

【幹事長】
 日米関係は大事ですが、抑制をしてでも、あるいはもっと洗練された言葉でも、日本としてのコメントはきちっとすべきではないかと私は思います。「物言わぬ日本」「何でも言うとおり聞いてくれる日本」と思われかねません。アメリカの人達は、あるいは国際社会は、『ドラえもん』は見たことがないかもしれませんが、メルケル首相とかメイ首相とかの、「しずかちゃん」は毅然として物を言っている。日本は「スネ夫」になるか、「のび太」になるか。「のび太くん」は、ビビりながらも物を言うことはあります。今回、完全に「スネ夫くん」になったと思われるのではないでしょうか。

【フリーランス・上出記者】
 もし野田さんが首相だったら、どのような言い方なら、うまく切り抜けられると言うと変だが、最低限日本の大切な意思を表明できると。具体的なアイデアがあったら伺いたい。

【幹事長】
 やはり理を尽くして言わないといけないと思うのですが、例えば7ヵ国に絞った一時的な入国禁止ですね、シリアを含めて。ただ、それは本当に効果があるかどうかなのです、問題は。例えば9.11の時はサウジアラビアとかUAEとかの人達で、あの7ヵ国の人達は入っていません。加えて、その後の米国におけるいろいろなテロがありますが、米国籍を持っている人達が起こしていることであって、移民・難民ではないのです。テロへの対策は必要ですが、手段と目的が違っているのではないですか、と。これは表現が難しいですが、日本刀で魚をさばくような話であって、手段と目的が違っていませんか、ということを婉曲に申し上げるということが大事ではないでしょうか。
 その意味では、「テロ等準備罪」とか言って、テロ対策と言いながら目的は「共謀罪」、と言っている人とよく似ていると思いますが、やはり手段と目的が違うということを、きちっと理を尽くして申し上げるべきではないかなと思います。

○天皇陛下の退位をめぐる議論について

【読売新聞・藤原記者】
 天皇陛下の退位に関して、党が年末にまとめた論点整理の中で、退位の要件の一つとして、「天皇の意思」ということを入れているかと思うが、天皇は「国政に関する権能を有しない」という憲法上の規定と整合性がとれるのかという指摘が一部ある。この点についてはどういう整理になっているか。

【幹事長】
 その議論で言うと、特例法を設けることだって、天皇のご意思があるから特例法になるのではないですか。同じ議論ではないでしょうか。
 ですから、象徴天皇というお務めを果たされている方はお一方なのですから、そのご意思を確認するというのは大事な要素だと、逆に思います。

【読売新聞・藤原記者】
 自民党の高村副総裁が、自民党も考えの方向性をまとめているが、民進党と隔たりがあるということで、民進党と話し合いをしたいという意向を示している。自民党もしくは公明党も入れた与党側と、話し合いの打診があれば応じるかどうかについてはどのようにお考えか。

【幹事長】
 いや、報道で聞いているだけで、具体的にはまだ何の要請もありませんから答えようもないのですが、来週の月曜日に党としての見解を議長・副議長のもとでお話しすることになっておりますので、まずは自分達の考え方をこの公式の場でしっかりと主張させていただきたいと思います。
 その後、自民党のみならず各党と意見交換する場があるならば、それは我々の意見もきちっと申し上げるし、各党がどういうお考えなのかについては真摯に耳を傾けていきたいと思います。

【朝日新聞・松井記者】
 きょう自民党が、自民党としての退位に関する考え方をまとめる。基本的に特例法で1代限りという方向だ。その中には、典範の附則に根拠規定を置いて特例法で進めるという選択肢も検討しているとのことだが、そういった手法について民進党としてはどのように受け止めているか。

【幹事長】
 どうしてそういう考え方になるのかは説明を聞かないとわかりませんから、中途半端な情報でコメントするのは控えたいと思いますが、我々は特例法ではなくてあくまで典範改正を通じて、陛下の生前の退位については実現できるようにしたいということであります。

【日本経済新聞・根本記者】
 二つ前の質問に対する幹事長のご回答で確認だが、党の見解を来週月曜日・20日に議長・副議長にお話しするということで、その後の各党との協議というのは否定されなかったということだと思うが、来週月曜日までに他の党と協議することについては否定的ということでとらえてよろしいか。

【幹事長】
 否定も何も、具体的なオファーがないですから。我々から持ちかけているということもありませんので。

○南スーダンPKO治安情勢・日報問題について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 南スーダンの「駆けつけ警護」、これは我が国初めてのことだが、その日報が焼却されていたのが出てきたり、その後の対応を見て、シビリアン・コントロールを含めて、こういう防衛大臣で本当に大丈夫なのか。自衛隊は今厳しい環境にあるが、もしもご自身が総理の立場だったら、こういう防衛大臣でいいのかということをどうお考えになるか。前総理の立場としてお聞きしたい。

【幹事長】
 そもそも最初の、日誌が廃棄されていたといった事態を起こしたこと、それからようやく発見してからのその報告も大臣に上がるのが極めて遅かったことなどを含めて、本当に防衛省、そして自衛隊を掌握しているのかどうかというところにまず大きな疑問があります。
 加えて、出てきた日報で「戦闘」という言葉が書き表されているわけです。それを、憲法上の解釈の問題であるとか、PKO5原則に照らして戦闘ではなかったような表現をして、国会の答弁だけ乗り切ろうとしているところに、私は大臣としての資質に大いに疑問を持ちます。
 少なくとも、法律用語は別として、現場の隊員は治安情勢が悪化している中で重火器を持って、そして砲撃が行われている中で、「戦闘」と意識をしていることは間違いないわけですから、その戦闘下にあるという隊員が置かれている状況に対してどう思い、どう対応するかが国会で問われているのに、そのことに真正面に答えないというのは、現場の隊員のことを本当に考えているのかと、私は強く怒りを覚えます。

○原発・エネルギー政策について

【読売新聞・藤原記者】
 原発政策の関連で伺いたい。先週、幹事長のところに連合の組織内議員の方を代表して、小林正夫参議院議員らが申し入れに来たかと思う。中身は、検討を丁寧に進めてほしいという内容だったと聞いているが、この申し入れに対してはどのように対応されたか、もしくはこれからされるか、お考えを伺いたい。

【幹事長】
 連合議員団の世話人会ということで、共同世話人の古本伸一郎衆議院議員と小林正夫参議院議員、事務局長の難波奨二参議院議員、3人が代表して来られまして、原発・エネルギー政策について、今、エネルギー環境調査会で議論していますが、これについては丁寧に慎重に議論してほしいと。結論ありきではなくて丁寧な議論をということでございましたので、言うまでもなく丁寧な議論をしていきたいということを申し上げさせていただきました。

○連合との関係について

【産経新聞・豊田記者】
 基幹労連が昨年行った調査で、組合員の支持政党が民進党よりも自民党のほうが多いという結果が出たということが最近明らかになった。調査時期は古いのでちょっと難しいかもしれないが、支持団体による民進党離れととられるかと思うが、幹事長自身は背景にどういうことがあるとお考えになるか。

【幹事長】
 たぶん他の産別でも同じような傾向があると思います。組合の方だからといって民進党に直結していないというところはあると思いますので、応援をしていただいている団体にしっかり浸透するように、数字については反省をしていかなければいけないと思いますが、基幹労連の調査はたぶん4月くらいのものですね。参議院選挙後には民進党の支持率が高くなっているはずです。だからきちっと運動をしていけば支持も増えるということですので、そのことを教訓としたいと思います。

○東京都議会議員選挙について

【時事通信・島矢記者】
 東京都議会議員選挙のことで伺いたい。2人の都議選の公認予定者の離党届の扱いだが、きょう東京都連の常任幹事会では結論が出ず、今後党本部と相談していくということになったが、どのように対応されるお考えか。

【幹事長】
 都連からまだお話を聞いていませんので。相談をしたいということならば、よく相談を受けたいと思います。

○千葉県知事選挙・千葉市長選挙について

【千葉日報・石井記者】
 週末の千葉県連大会で、3月の知事選、それと5月の千葉市長選、それぞれ現職の候補者にお会いになったと思うが、それぞれのご印象と、党本部としてどのようなかかわり方を考えているか、あらためてお聞きしたい。

【幹事長】
 知事選挙は自主投票と県連で決めていると思います。
 千葉市長選挙は今、推薦する方向で、応援する方向で調整しています。それは(千葉県連)大会でも、千葉市議会の方からもご要請がありました。それに尽きると思いますし、党本部としてどうということではありません。あくまで県連なり総支部なりの対応を尊重していきたいと思います。