党役員会見に関する基本的な方針について

細野豪志代表代行記者会見

2017年2月17日(金)12時44分~13時09分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=JBOuq20QBkQ


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○予算委員会集中審議 「待機児童ゼロ」目標に関する安倍総理の答弁について

【代表代行】
 予算委員会集中審議が、総理も出席し重要な審議が行われています。
 1点非常に気になりましたのは、山尾志桜里委員に対する答弁です。
 「待機児童ゼロ」にするのを平成29年度(末)という政府目標を聞かれて総理は答えられなかった。待機児童問題は今や国民的な関心だし、安倍政権が最も力を入れている政策の一つと思われてきたが、その目標期限すら覚えていなかった。これはほとんど“まやかし”だったということなのではないかと思います。しかも、その目標については断念するというような答弁もありました。
 この問題、(総理は)よく民主党政権時代の話をされるのですが、そういう問題ではなくて、どう前向きに取り組むかということであり、極めて心もとないという印象を持った。
 その問題も含めて、まだまだ予算審議として議論していかなければならないことがたくさんございます。(中央)公聴会については(委員長)職権で日程が強行に決められたが、我々としてはさらなる充実した審議を求めていく姿勢に変わりはありません。


■質疑

○予算委員会審議 「共謀罪」について

【フリーランス・上出記者】
 国会のテレビで山尾さんの(質疑を)全部拝見したが、結局時間切れで、十分言えなかった。「共謀罪」について、総理が長々と自分の持論を展開している。これは非常に目立つ。ちょっとひどいのではないか。これについては何回も言っているとは思うが、どのようにしたらその辺を、きちんとした審議で、自分の主張だけがバーンといくような感じではない、民進党としてはいろいろ対応の仕方はあるかと思うが、何かそのツボについてお感じになっていることがあれば伺いたい。

【代表代行】
 「共謀罪」の部分はあまり聞けなかったのですが、率直に言って金田法務大臣の答弁には相当問題が多い。その中で総理がカバーしようということなのかもしれませんが、この問題については大臣としてしっかり対応いただけるのかどうか、非常に疑問に思います。
 まだ法案を出されていない中でこういう状況ですので、本当に法案を出して通したいということであれば、総理として答弁でカバーするというよりは、そもそものところをお考えいただいたほうがよいのではないかと思います。

○予算委員会審議 「人への投資に力を入れる」総理答弁について

【時事通信・島矢記者】
 予算委員会で午前中、自民党議員の質問に対して総理は「雇用は政治家にとって大きな使命だ。人への投資に力を入れる」と答弁された。この「人への投資」というのは民進党のキャッチフレーズにもなっており、ここ最近、民進党が「こども国債」というのを打ち出したら自民党側は「教育国債」の検討に入るなど、民進党の政策を自民党が取り入れる場面が目立つ。この点について代行はどういうふうにお考えか。

【代表代行】
 いいことだと思います。いいことをやったら、いいことだということでしっかり評価することも重要です。
 あとは、中身でしょう。

○待機児童問題について

【東京新聞・我那覇記者】
 冒頭発言で、「待機児童ゼロ」の目標29年度末、事実上撤回というか断念したということだが、その点について、「まやかし」というお言葉も出たが、断念したという部分についてあらためて受け止めを伺いたい。

【代表代行】
 「まやかしだ」と言ったのは、目標自体を総理がご存じなかった、記憶していなかったということについて言ったコメントです。
 断念したこと自体は、やはりこの問題にどれくらい本気で政府として取り組んでいくのかという、姿勢が問われているのだろうと思います。ですから、予算の確保もそうですし、地域によって相当事情が違いますから、それをどれくらいきめ細かくしっかり政府として見ていくかということもありますが、そこの本気度合いが見えないと思います。

【日本テレビ・黒島記者】
 待機児童問題に関連して伺いたい。「保育園落ちた」から1年たったが、昨年民進党は提言を出されているが、また党内で部会を開くなり、新しい提言をまとめるなり、1年たって何か対案を出すお考えはあるか伺いたい。

【代表代行】
 昨年末に経済政策(「民進党の経済政策」)としてもまとめまして、やはり子育て・教育というのが日本の社会の今最も重要な部分であり、またそれが経済政策としても合理的だという提案を出しました。ですから、昨年提案をして、さらにそれを深めるということについては、去年1年間やったと言っても言い過ぎではないと思います。
 今回の総理の答弁を受けて、党として新たにやれることがあれば、それは積極的に考えていきたいと思います。

○教育の無償化について

【日本経済新聞・林記者】
 教育無償化について伺いたい。「人への投資」を掲げる民進党は無償化にも力を入れていると思うが、日本維新や自民党の一部は、それを改憲項目の一つに掲げている。細野代行は、教育無償化の改憲の必要性についてはどうお考えか。

【代表代行】
 私も非常に関心のある分野ですので、今の憲法が制定された当時の状況について少し調べてみた。
 憲法26条というのは、人権規定の中でも非常に具体的に書いてある珍しい条文です。いわゆる権利について書かれているわけではなくて、義務教育の無償化について具体的に記述(「義務教育は、これを無償とする」)があるのです。
 その背景には、戦前・戦中、日本の場合は子どもも例えば丁稚奉公があったり、教育が十分受けられない環境にあった、そういう家庭であるとか地域というのはあちこちにあったということですので、相当力を入れてやる、そういうメッセージという意味合いもあった。しかも中学校までですから。今はもう当然ですが、当時は小学校を出たら働くということもあった時代です。ですから、政府としてもそこにしっかりお金を投じていくということだったし、さらには国民の中でもそれを受容していくという、非常に大きな判断があったのだろうと思います。
 そういったことを考えた時に、もう70年以上たっているのですが、我が国の状況がまた大きく変わった中で、こうした分野に力を入れていかなければならないタイミングに来ているのだろうと思います。
 書き方はいろいろ工夫が必要だと思います。例えば、就学前教育は無償にしたほうがいいと私は思いますので、それについてさまざま書く可能性もあると思います。
 一方で高等教育については、これは高校を出て働くという人もいますし、やはり工業高校を出て、もしくは高専を出て立派に働いている若者というのは本当に私もたくさん知っていますから、当然そういう人達の選択というのも尊重していかなければならない。つまり大事なことは、高等教育に関しては、家庭の経済的環境にかかわらず学ぶことができるという、そういう前提だけはつくらなければならないということだろうと思います。
 そういった項目について、今の環境というのは非常に重要な局面に来ていると私は思うので、そういったことについて憲法に書き込むという選択肢は十分あり得ると思います。その上で、憲法の中身をさらに具体化していく、もしくは憲法に書き切れない部分について法律でやっていくというのも当然重要なことだと思いますので、我が党が法案(「学校等の授業料の無償化等推進法案」(仮称))を出すというのは、そういった意味でも大きな意味があると思います。

○憲法改正をめぐる議論について

【NHK・相沢記者】
 きのうの細野さんのグループの会合で、憲法改正に関する見解を取りまとめることになったようだが、今想定されている項目と、今これを議論する狙いを伺いたい。

【代表代行】
 項目については私なりに構想は既にあるのです。これまで議論もかなり重ねてきていますので、あるのですが、今の時点で特定するのは少し控えようかなと思います。
 一つ二つだけ例を挙げますと、教育などは十分項目に入り得るし、あとはいわゆる緊急事態、その時に国権の最高機関たる国会をどう機能させるかというのは私の最大の関心事です。ですから、そのあたりは項目には入り得るかなと思います。
 あと狙いですが、これから憲法の議論が本格化してくることは、もう間違いないと思うのです。時代が変わってきて、やはり憲法で変えていかなければならない部分があるのも事実だろうと思います。その中で、野党第1党が国の基本政策たる憲法についての明確な考え方を提示できないというのは、議会のあり方としてはどうなのかと私は思っています。
 中身としてはやはり安倍政権とはスタンスの異なる、立憲主義的な立場からしっかりと、野党の側から提案をしていくということに大きな意味があるのではないかと考えています。つまり、政府の権限をどんどん広げていって国民を支配するという考え方ではなくて、国民の側がしっかりと政府をコントロールできるという観点からの改正というのは、十分考え得るわけですから、できればそういったものをつくっていきたいと思っています。

○天皇陛下の退位をめぐる議論について

【読売新聞・上村記者】
 天皇陛下の譲位の問題で2点伺いたい。野田佳彦幹事長と高村自民党副総裁の会談が持たれるという話もあるが、この件に関して水面下での各党間の交渉みたいなものの是非ということと、そうなると妥協という話になってくるかと思うが、それに対する民進党の考えをお聞きしたい。

【代表代行】
 政治家同士がさまざまなやりとりを、表に出ない形でするということはあってもいいと思います。ただ、それは信頼関係に基づいてやるべき話であって、この数日、こう何か会うんだというようなことがどんどん外に出るというようなことは、そもそも信頼関係というその土台自体がつくれない。ですから、そこは与党の皆さんの側に考えていただいたほうがいいと思います。
 中身ですが、これは何度も皆さんに言っていることですが、やはりこの問題に関しては陛下の思いというのをしっかり我々は受け止めて忖度した上で、制度改正すべきだと思うのです。一般の国政の課題と違いますから。
 「国政に関する権能を有しない」といっても、陛下の人生そのものであり、ご家族の問題であり、最もこのことに心を砕いてこられたのは陛下ですから。そのことを考えた場合に、もう疲れたから辞めたいとおっしゃっているわけではなくて、高齢になると象徴天皇としての機能を果たし得ないので、制度として、ということをおっしゃっているのは明確ですから、その思いを受け止めるということを考えれば、特措法で1代限りという選択はないと私は思います。さらに言うならば、皇室典範をしっかり改正していくというのも、これも前提になると思います。
 ですから、私、皇位検討委員会でも再三指摘をしてきましたし、野田幹事長とも話をしておりますが、我が党の立場というのは揺るぎないものがありますので、それをしっかりと必要な時には与党の側にも伝えていくし、政権の側にも伝えていく。それが今、一番重要ではないかと思っています。

【時事通信・島矢記者】
 自民党は陛下の退位の問題について、特例法で対応する場合でも皇室典範の中に、本則か附則に根拠規定を設けるということを検討しているようだが、この点につて代行はどうお考えか。

【代表代行】
 この問題は、中途半端な妥協で何か物事を決めるという筋の問題ではない。国会の開会自体は陛下にお出ましいただいて開会するわけですし、そもそも大臣の認証も陛下による、ということです。ですから、言うなれば、国家の基本そのものが全て陛下の国事行為によって成り立っていると言っても過言ではないわけです。その根拠になり得る陛下の皇位の継承の問題ですから、そういう本質的な問題であるということを忘れてはいかんと思います。
 いろいろな話が飛び交ってはいますが、皇室典範4条(「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」)、5条(「皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王を皇族とする」)、ここをしっかりと書きかえていくことが本来の姿だと私は考えています。

【時事通信・島矢記者】
 皇位継承に向けて、現在、与野党がさまざま案を出しているが、今後どういうふうにこれを合意形成していく必要があるとお考えか。

【代表代行】
 そこは今、幹事長が大変なご苦労をされていますので、具体的なプロセスまで私が言及するのは控えようと思います。
 1点だけ懸念を申し上げると、憲法審査会もそうなのですが、与党の側は表で議論することを今非常に避けている傾向があります。静かな環境で議論するというのはいいことだと私も思います。ただ、それは議論しないことではなくて、しっかりとお互いの考え方を議論の中で戦わせるというか、交わらせるというか、その中で合意を目指していくというのが当然あるべき姿だと思うのです。
 特にこういう時でないと、「国民の総意に基く」と言いながら、天皇の問題について議論する機会はあまりないですから。国民の理解をこれからもしっかりと求めていくという観点からも、表で議論できるというのは重要なことだと思います。
 ですから、議長のもとでのさまざまな議論が、何がどういう形でなされたのかということについて、できる限り記録として残ることも重要でしょうし、あとは予算委でも私やりましたが、憲法審査会でもそういった議論をしていく必要はあると思います。言うならば皇室典範というのは憲法に準ずる位置づけになっているわけです、憲法上。法律ではあるけれども、法律名が憲法に書かれているという、極めて特殊な位置づけの法律です。憲法改正の議論はするけれども、その議論はやらないというのは、いかにもバランスを欠いていると思います。

○本会議における伊達参議院議長の不規則発言について

【日本テレビ・黒島記者】
 15日の参議院本会議で伊達参議院議長が、新幹線の整備について不規則発言をしていたが、それについての代表代行の受け止めをお聞きしたい。

【代表代行】
 ちらっとニュースで見たのですが、参議院の審議なので直接見ていないものですから。申しわけありません。

○原発・エネルギー政策のアップグレードについて

【朝日新聞・関根記者】
 昨日から平場で原発・エネルギー政策の議論が始まっている。玄葉光一郎さんのところ(エネルギー環境調査会)でやっているので直接のコメントはないのかもしれないが、このタイミングであらためてこの問題を党として議論していることの意義とか、あるいは細野さんのこの問題に対する基本的な考え方、スタンス、どういうところを重視しているのか、可能な範囲でお聞きしたい。

【代表代行】
 一つは、(東日本大震災・福島第一原発事故から)間もなく6年たちますから。自民党政権になって、半ば原発政策がもとに戻ってしまったような状況になっていますから、このあたりでしっかり議論しておくというのは党としては必要なことだと思います。
 あとは、今まさに議論が行われているので、こうした議論はできるだけ多くの皆さんに参加をしていただいて、まさに結論ありきではなくて、しっかりとみんなで議論して積み上げていくことが重要だろうと思います。
 6年というのは確かに一つの区切りではあるけれども、これからも続けていく議論ですから、それを今しっかりとやっていくということではないかと思います。

【朝日新聞・関根記者】
 蓮舫代表は、3月の党大会が区切りでもあるし一定の方向性を示したいと。その後は、調査会で引き続き議論して、解散までにしっかりとした成案を示したいと。そういう2段階論みたいな話のようだが、党大会で何がしか打ち出していくべきだというのは、細野さんも含めて執行部の皆さんにある程度共有されている考え方か。

【代表代行】
 執行役員会でも何度かこの話は出ましたので、執行役員会としては代表の思いを受け止めてやっていくということです。

【フリーランス・上出記者】
 原発問題は大変難しいと思うが、国民の今の意向としては、いろいろなアンケートでも半分以上は原発反対、抵抗があるという。そういう中で、どこまで議論をオープンにしてやっていけるのかということと、いろいろな問題がぎくしゃくしている部分だけが報道されやすいが、それも含めて今後あるべき議論、なかなか小泉元首相のようにズバッと「反対」ということにはいかないと思うが、民意とどう近づけていくかというあたり、どのようにお考えか。

【代表代行】
 「原発ゼロ」を目指してプロセスを積み上げていくことが重要だと思うのです。
 いずれにしても、日本に原子力発電所が依然として50近くあるという現実がありますから、使用済み燃料のいろいろな貯蔵も含めて、ある日それが(いきなり)ゼロになるということはない。ですから、そういう原発の安全の問題というのは、稼働しようがしまいが、これからも考えていかなければならない。
 そういう意味では、この問題はあるところでスパっと「終わり」というわけにはいかない問題ですので、民進党としては粘り強く、どうゼロに向かってプロセスを積み上げていくかということを、国民との対話を通じてやっていくということではないかと思います。

○日本型ベーシックインカム構想・税制改革法案について

【読売新聞・上村記者】
 きょう、民進党が衆議院にベーシックインカム関連の法案(「格差是正及び経済成長のために講ずべき給付付き税額控除の導入その他の税制上の措置に関する法律案」)を出したが、最終的な制度設計、今どういったものを描いているのかということと、このベーシックインカムに対する意気込みを伺いたい。

【代表代行】
 ベーシックインカムは、相当今、AIなども含めてこれから大きく働き方が変わってくる中で、国民がしっかりと生活を成り立たせるという意味では時代が大きく変わっているので、議論としては今まさにやらなければならないテーマだと思います。
 主に税調のほうから、積み上げで考え方として出てきていますので、まずはベーシックインカムについての第一歩ということではないかと思いますが、さらにこれを深めていく必要があると考えています。