党役員会見に関する基本的な方針について

野田佳彦幹事長記者会見

2017年2月20日(月)15時00分~15時18分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=YtrlIYvIbHc


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○天皇陛下の退位等をめぐり衆参正副議長に民進党の考えを陳述

【幹事長】
 午前中に、衆参の正副議長の前で各党が陛下の退位をめぐる問題等につきまして意見を申し上げる機会がございました。
 先般、各党の申し合わせがありまして、議長・副議長のもとでの議論のほかにも国会での審議を妨げるものではない、という確認をしておりました。その中で、憲法審査会で議論をしようという提案を我が党から衆参で行っておりますが、残念ながら与党のほうが、せっかく今、議長・副議長のもとで静かな議論が行われているので、その妨げになってはいけないということで、なかなか受け入れてもらえない状況が続いております。そこで、あらためまして、議長・副議長に対して私のほうから、国会の審議を妨げるものではない、憲法審査会も含めて妨げるものではないということを確認させてくださいと申し上げさせていただき、「妨げるものではない」と大島衆院議長からご回答をいただきました。「そういう意見があったということを議運委員長にも伝える」ということでございましたので、報告をさせていただきたいと思います。
 それから、今回は各党から個別に意見聴取ということでございましたが、それぞれの党の考え方を、それぞれの党がしっかりとそのご意見を伺い、疑問をぶつけ合うことが、一つの方向性を見出す上では不可欠だと思いますので、全体会議を積極的に設けるようにという要請をさせていただきました。その件については、積極的にというよりも、「適切に設けていく」という趣旨のご回答があったということをお知らせをさせていただきたいと思います。
 その後、長浜博行皇位検討委員長から、私ども民進党の現時点の考え方をご説明させていただいた。

○予算審議 天下り問題等の集中審議を要請

【幹事長】
 衆院予算委員会が行われておりますが、既に「今週末に採決を」などという与党からの話も出ているようでございますが、例えば天下りの問題についてはきっちりと調査をした上で、それをこの予算委員会が開催される間にしっかりとその調査の結果を発表して、それを議論に付してもらわなければいけないと思います。例えば指摘が出ている、天下り先に2183億円も予算が計上されているということです。まさに予算そのものです。この問題にふたをして予算の採決ということは基本的には考えられないと思います。
 加えて、きょうも議論されていますが、南スーダンPKOの自衛隊の日誌の問題とか、あるいは「共謀罪」の問題等々、まだまだ詰めていかなければならない論点がたくさんありますので、しっかりと予算委員会を引き続き開催していくように、そのためには特に天下りの問題などについては集中審議も必要だと思いますので、こういうことを強く要求していきたいと考えております。


■質疑

○天皇陛下の退位をめぐる議論について

【フリーランス・宮崎記者】
 衆議院議長公邸での件に関して。まだ早い話だが、内閣提出法案という形で出てきた場合に、議院運営委員長が衆議院の内閣委員会や参議院の内閣委員会、こういったところで一般の議案という形で審議するということを妨げることはないか。ちょっとイメージが湧きづらいので、お聞きしたい。

【幹事長】
 どういう形で法案の骨格がまとまっていくのかということにもよりますし、議論をする場というのはとても大事だと思いますから、これはよく、この議論の進捗状況を見ながら判断をしていくべきだろうと思います。

【フリーランス・宮崎記者】
 議論の場は、常任委員会ではだめだというお考えか。

【幹事長】
 まだ「だめ」とか「いい」とかいう段階ではないと思います。

【産経新聞・豊田記者】
 冒頭に話があった、憲法審査会も含めた国会での天皇陛下にかかわる問題の議論だが、まだ法案の作成中に例えば憲法審査会などの場で議論するとなった場合、与野党の対立があおられたり激しくなったりということで、「静かな議論」という環境から遠ざかってしまうおそれはないか。

【幹事長】
 その意味するところは、やらないほうがいいということですか。

【産経新聞・豊田記者】
 そういうわけでは必ずしもないが、懸念はあるのではないかと。

【幹事長】
 それはどこの委員会も、議論することは大事だと思います。「静かな議論」をそれぞれ心がけることが大事であって、どこかの場所で議論してはいけないということではないと思います。
 特に天皇にかかわることは憲法の第1章に設けられて、第1条から第8条まであるのです。まさに憲法の中の根幹にかかわるところです。その根幹にかかわることを現実問題としてどうするかという議論が起こっている時に、その議論をする場で「しちゃいけない」論というのはおかしな話であって、それ(憲法審査会)はやはりしかるべき一つの場所だと思いますから、議論をしたいという人達がいるならば、そこできちっと議論を。特に円卓形式のやり方というのは、むしろそういう議論をする上では決してマイナスではないと私は思います。逆にそういう議論を妨げてはいけない。
 政争の具にしてはいけないと思いますよ、だけど議論はやはり、「主権の存する日本国民の総意に基く」象徴天皇であるわけですから、その声を代弁する国会議員がさまざまな場所で議論するということを決して妨げてはいけないと私は思います。

【テレビ朝日・村上記者】
 陛下に関するこの考え方というのは各会派によって異なると思うが、今後、どのような場で、どのような形で意見をすり合わせていくのが好ましいとお考えか。

【幹事長】
 基本は、こういう大事な議論ですので、明治以来皇室典範はありますが、それの字句修正というのが若干戦後行われたことはあります。役所の名前が変わるとか。それ以外の根幹の話はずっとなされたことはない。それだけに、しばらく経験したことのないことが起こっているわけですから、そういう大事な議論をする上では、やはりきちっと議事録の残る形で各党が意見を開陳し、それに対して疑問をぶつけ合いながら一つの方向を見出していくという、やはり公開性というのは基本的には大事だと思います。
 その議論というのは歴史の評価にたえるものでなくてはいけないし、今、現実、この象徴天皇制のあり方に関心を持っている国民のためにも、議事録が適時公開されるという中での議論をまず行っていくことが基本だと思います。そのことを、今回も議長・副議長の前でもあらためて要請をさせていただきました。

【テレビ朝日・村上記者】
 各党間での協議があるやなしやといった報道もされているが、あくまでも議長のもとで静かに話し合うことがふさわしいとお考えか。

【幹事長】
 議事録が残る形での議論が一番望ましいと思います。ただ、それをサポートしなければいけない場面はもちろんあるかもしれませんが、基本は今申し上げたとおりです。

【朝日新聞・松井記者】
 議長・副議長のもとでの各党会派の全体会合だが、それである程度皆さん意見を出し合って疑問点等を解消した後でなければ、各党の個別の協議はあまりやるべきではないと、そういう前後関係のイメージか。

【幹事長】
 特にはっきりしたイメージは持っていませんが、何よりもまずはオープンな議論をしっかりやっていくことが基本だということです。ただ、この通常国会中には成案を得て、法案としてまとまって、それを、少なくとも退位にかかわる問題については結論を出さなければいけないわけですから、そのスケジュール感の中でどういうことをやっていくかだと思います。

【朝日新聞・松井記者】
 きょう正副議長のもとで、野田幹事長初め皆さん方が民進党としての考えを主張されたわけだが、これを踏まえて、党内でも今後また意見集約とか、他党と向き合うための心合わせが必要になってくるかと思うが、党内での議論の進め方についてはどのようにお考えか。

【幹事長】
 党内でも、引き続き問題意識を共有していただくために、専門家のヒアリングなども随時やっていきたいと思います。やはりこの問題についてはできるだけ皆が議論に参加し、問題意識を共有して、結論を出すためにそれぞれに努力していくことが大事ではないかと思います。

○ミサイル防衛について

【日本テレビ・原記者】
 北朝鮮のミサイル発射を受けて、敵基地攻撃論が国会論戦のテーマになったり、与党内からはミサイル防衛の強化論も出ているが、こうした状況をどうご覧になっているか。

【幹事長】
 (北朝鮮による)先般の新型ミサイルの発射がありましたから、ミサイル開発も急ピッチで進めているという印象をやはり強く持たざるを得ません。という意味においては、ミサイルに対する防衛の強化ということは、これは大事なことだと思います。
 一方で、敵基地攻撃論となると、これは飛躍があり過ぎるのではないかと思います。ミサイル防衛強化というレベルのところを超えて、他国への影響、あるいは専守防衛という原則などから、いろいろとこれは慎重に考えなければいけないテーマであって、一足飛びにそこまで持っていくというのは、これは幾らなんでも飛躍があり過ぎると思います。

○予算(案)の審議について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 先週の予算委員会は見応えがあった。福島伸享先生とか、よく踏み込んで、勇気があると私は率直に思った。その一方で、予算委で幾ら頑張っても党が足元から崩れていく感じがします、とおっしゃる先生もいて、またバラバラという感じがある。執行部としてはそういう危機感というか、今こそ野田さんの「レンコン力」が問われていると思うが、どうご覧になっているか伺いたい。

【幹事長】
 予算委員会での質疑について評価をしていただいたことには感謝を申し上げたいと思います。
 テレビで放映される時も評価にたえるものでなくてはいけないと思いますし、いわゆる中継が入っていない時などもしっかりいい質問をしておりましたので、そういうものが日常活動を通じてきちっと、一部の委員が頑張っているのではなくて、その問題意識がそれぞれの地元でも伝わるように、我々が日常活動を一生懸命やっていくことが大事だと思いますし、追及だけでなくて提案もちゃんとやっていることも含めて、みんなで力を合わせていかなければいけないと思います。
 もちろん私の「レンコン力」も問われますが、党として総力を挙げて党勢拡大に努めていかなければいけないだろうと思います。

【フリーランス・宮崎記者】
 予算の審議日程に関して伺いたい。明日の中央公聴会、水曜日・木曜日の分科会まで全て決まった。当然、金曜日以降は採決ができる状態になっている。過去、自民党衆参単独過半数は33年間あったが、その間2月中に(予算案が)衆議院を通過したことは1度もない。3月1日と2日、30日規定を使えない状態では2、3回あったが。2月中に通過することが確実な状況で、参議院不要論ということになってくるのではないかと思う。蓮舫代表、参議院議員が初めて野党第1党の党首になった中で、こういった非常に残念な形になったことをどのようにお考えか。

【幹事長】
 まだ「残念な形」になっているとは思いません。集中審議も要求しています。これは2回要求しているはずでありますし、日程感では、ペースとしては、過去の歴史を今話されたとおりかもしれませんが、問題は質疑時間なども総合的に考えて判断すべきだろうと思いますし、先ほど言ったように、天下りの問題も含めてまだまだ論点があると思いますので、粘り強く徹底審議を求めていきたいと思います。

○教育の無償化について

【NHK・山枡記者】
 自民党が教育財源の議論を始めている。まだ1回目だが、幹事長はどうご覧になっているかということと、教育無償化をテーマに憲法改正をするという、そのテーマセッティングに関してどう考えるかということをお聞きしたい。

【幹事長】
 教育の無償化については、私どももパッケージで政策案をまとめておりますし、財源についてもかなり議論をこれまで深掘りをしてきているところであります。こういう議論が、いろいろな党が問題意識を共有できるようになってきたことは一つのいい流れだと基本的には思います。その意味では建設的な議論が、財源も含めて、できるようになる環境が整ってきたと思います
 ただ、教育の無償化については、我々の政権の時にも一部、高校授業料無償化等を手がけましたが、憲法改正をしなくても進めようと思えばかなり進められると思いますので、憲法改正のために、その議論をするためのハードルを低くするためにという議論とは、きちっと区別していかなければいけないのではないかと思います。