衆院予算委員会で22日分科会が開かれ、第4分科会(文部科学省所管)で質問に立った玉木雄一郎議員は(1)文科省の天下り問題(2)私立小学校建設のための国有地売却問題(3)東京五輪大会の農産物の調達基準、特に農業生産工程管理(GAP)の取得推進――等について政府の見解をただした。

文科省天下り問題

 文科省の調査チームが21日に公表した中間報告では、国家公務員法違反の疑いが指摘されていた28件のうち新たに17件を違反と認定したほか、再就職支援を行っていた人事課OBの嶋貫氏を学長とする大学の設置を申請していたこと、嶋貫氏と人事課職員が退職リストをやり取りするなどの組織的なあっせんの仕組みについて、少なくとも2010年から人事課の担当者間で引き継ぎ書を作成していたことが明らかになっている。

 玉木議員は、この中間報告を「組織的な違法・脱法天下りが明確に、公式に文科省で認定されたもの」と一定の評価をしたうえで、これまで嶋貫氏があっせん行為を「個人的なボランティア」「人助け」としていた前提は崩れたと指摘。あわせて、民進党に対し文科省が1月24日に回答した「嶋貫氏がどのように生計を維持していたかは関与していない」との説明についても虚偽であったことが明らかになったと述べた。

 これに対し松野文科大臣も、「文科省として再就職規制違反に関して、その法規をせん脱する目的でこの体制が作られてきたことは証明されたと考えている」と認め、1月24日の回答については「(嶋貫氏が)再就職業務を活動できる環境づくりに文科省が関与したことが示された」と結果的に虚偽であったと認めた。

 玉木議員は、「膿(うみ)を出し切るという観点で厳しく省内のリーダーシップを発揮してほしい」と要請。違法が認定されている天下り案件のなかに2017年度予算に関わる支出がいくつあるかについても尋ね、「天下りに不当、不正なことがあれば減額しなければいけない対象も入っているかもしれない。速やかに提出を」と、衆院での予算審議終局前に提出するよう強く求めた。

「森友学園」の小学校設置認可問題

 財務省近畿財務局が大阪・豊中の国有地を近隣国有地の約1割の価格で学校法人「森友学園」(大阪市)に売却した問題では特に、同学園が今年4月に新設予定の「瑞穂の國記念小学校」の設置認可の件を取り上げた。玉木議員は、情報公開請求していた2014年12月以後これまでの大阪府私立学校審議会の議事録を確認したところ、同学園の財務体質が脆弱(ぜいじゃく)であることやカリキュラム、同学園が経営している幼稚園の評判について多くの教育関係者から度重なる懸念が示されているとして、「文科省として確認して地方自治法第245条の5に基づく是正要求をすべきではないか」と指摘。同幼稚園の保護者に対して憲法改正への賛同を募るチラシや特定の政党を批判するチラシ、あいさつ文等を配布していることにも触れ、「(特定の政党の支持や反対するための政治教育その他政治活動を禁じる)教育基本法第14条第2項に違反するのではないか」と迫った。

 松野文科大臣は「当該事案は自治事務」「教育内容に関する指導等に関しても第一義的には大阪府によるもの」などと言及を避けたが、同幼稚園の元保護者らから児童虐待にもあたりかねない指導があった話も聞いたという玉木議員が「法令との関係、児童虐待、人権の観点から府に任せるのではなく現状把握をすべきではないか」とただすと、松野文科大臣は「文科省としても大阪府に報告を求めていきたい」と応じた。