党役員会見に関する基本的な方針について

江田憲司代表代行記者会見

2017年2月22日(水)14時01分~14時24分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=rQXQCNPu2u8


PDF「配布資料」配布資料


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○天下り問題 前川前文科事務次官への退職金の支給について(配布資料添付)

【代表代行】
 天下り問題で文科省の中間報告なるものが公表されました。新たに17件の違法事案が認定されて計27件。そのうち、さらに2件は前川前事務次官が関与したことも認定された。文科省・文科大臣として、さらなる懲戒処分を検討するということのようですが、今度こそしっかりとした処分を行っていただきたいと思います。
 そういう意味で、お配り(添付資料)したのは、2月1日の私の予算委員会(質疑)でも取り上げた、人事院の懲戒処分基準、これは平成12年3月31日付で人事院事務総長から各省庁に出されている通達です。
 これは(添付資料)予算委員会のパネルで使用したのですが、処分に当たって、「特に組織的に行われていると見られる不祥事に対しては、管理監督者の責任を厳正に問う必要があることに留意されたい」という前文があり、まさに文科省の事例はストレートに該当するわけです。
 加えて、「個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる処分の種類以外とすることもあり得る」ということで、標準例として、この場合は免職や、停職、減給など、いろいろな類型が載っているが、ただ、その中でも次のようなケースに当てはまる場合は、要は(処分を)重くすることができるということが通達に書かれております。例えば、一つは「極めて悪質または結果が極めて重大」であるとか、「管理監督等その職責が特に高い」ことや、「内外に及ぼす影響が特に大」など、これは全てに該当する必要はなく、一つに該当すれば標準例を超えた処分をすることができると書いてある。
 具体的に今回の事例に類似した案件について言えば、「部下職員の非行の隠ぺい黙認」、これで停職・減給というのが標準例ですが、今回の場合は組織的かつ極めて悪質、しかも前事務次官という監督責任者、人事課長という監督責任者ということもあります。そういうものを考慮すれば免職もあり得るような今回の違反事例だと私は思っております。
 にもかかわらず、私が先ほど文科省に問い合わせたところ、2月17日付で前川前事務次官に退職金が支払われたということです。具体的な額については、プライバシーにかかわるということで明かしませんが、この前の私の予算委員会(質疑)で大臣が答弁されたとおり、自己都合による事務次官クラスの退職、モデルケースの場合は5610万円の退職金が支払われる。昨日こういう新たな報告があったその直前に、2月17日に5610万円もの退職金が支給されている。
 新たな懲戒処分を検討すると言っても、今在職している方にはできますが、前川前事務次官のような、もう退職されて退職金も支払った人に対しては、新たな処分ができません。ここも一つの大きな法律の穴なのです。
 ぜひとも、そういうことも踏まえて、我々民進党が今検討している、こういったOBを使った組織的な裏あっせんにもしっかり法律上禁止をかけていく、さらにはこういった法律違反のあっせんについては刑事罰もかけていくという方向で、しっかり抜け道・抜け穴をふさぐ法律案というものを検討してまいりたいと思います。
 さらに、前川前事務次官には、私が予算委員会でも申し上げたとおり、この退職金は税金なので、ここまで国家公務法違反をしている事務次官がこの巨額の退職金をいただくということは許されないことだと思いますので、ぜひ自主的に返納していただきたい。文科大臣も、ぜひ前事務次官には返上を求めていただきたいと思います。


■質疑

○国有地の学校法人への売却問題について

【朝日新聞・松井記者】
 天下りの問題に加えて、今、森友学園についても民進党は積極的に現地調査等をされ、事実が次々と明らかになっているが、森友学園の問題については民進党として今後どのように実態解明と、国会審議でどのような追及をしていくお考えか伺いたい。

【代表代行】
 現地調査も行ったことはご承知のとおりでございます。あすの分科会、さらにはあさっての集中審議の場でも、この問題をしっかり事案究明に向けて政府を問いただしてまいりたいと思います。
 どう考えても、若干報告を受けましたが、いろいろな廃棄物(地下埋設物)を除去する費用として8億円を計上して、それを差し引いた額で売却したとおっしゃるのであれば、その8億円という、しっかりした積算を明らかにしていただきたいし、現地調査、見聞をしたところ、その廃棄物を運び出したという、ダンプカーで結構な台数がかかるらしいですが、そうした形跡も見当たらないということですから、一体どうなっているのか。
 それから、私がさらに疑問に思うのは、まず寄付を集める段階で、「安倍晋三記念小学校」という名目で寄付を集めているということですので、その点の総理のしっかりとした弁明もお聞きしたいと思いますし、奥様が名誉校長を今でも務めているということです。私は政務担当総理秘書官をやっていた立場からも、こういった一学校法人なるものに自らの名前を冠するとか、自らの奥様の名前を冠することに対してのリスクというのは、常日頃しっかり認識した上で許諾する・しないを決めるのです。そういう意味で安倍総理にどういう事情があったのか、そういうこともぜひご説明いただかないと。これは国有地の払い下げですから、国民の財産をこういった廉価で払い下げている。しかもそれに少なくとも外部徴表的に「安倍晋三」という4文字がかかわっていたことも事実でありますから、その辺の説明責任をしっかり果たしていただきたいと思います。

【フリーランス・田中記者】
 昨日、民進党の調査団のヒアリングに同行し、現地の役人の話を聞いてきた。私は何度も現場周辺で聞き込みをやっているが、これはどう考えても、近畿財務局も航空局も、つまり財務省も国土交通省も、役人達は明らかにうそをついているし、しかも8億円という大それたことを彼らが自主的にやれるはずがない。8億円も簡単に、国有財産を、チェックもせずに。これはどう考えても、彼らがそんなことをやるはずがない。きのう福島伸享さん達が、「政治家の関与はなかったか」と聞いたら、「ない」とは言ったが、次に「秘書の関与も含めて、ないのか」と聞いたら、ある役人はものすごい脂汗を出していた。官僚出身の代表代行からご覧になって、これはどう思われるか。

【代表代行】
 その辺は実際に見られたご感想でしょうから、何とも私の立場からは申し上げられませんが、政治家、国会議員、地方議員、あるいはその秘書も含めて、真相究明、背景にあるものをしっかりと究明していかなければいかんというのは、民進党の責務だと思っておりますので、審議をしっかり見守っていただきたいと思います。とにかく真相究明をしていきたいと思います。

○原発・エネルギー政策のアップグレードについて

【時事通信・上田記者】
 民進党のエネルギー政策について伺いたい。「原発30年ゼロ」にまとまりつつあるということと、党大会でそれを打ち出すことについて、江田先生のご所見を伺いたい。

【代表代行】
 「30年ゼロ」は具体的に俎上に載っておりませんので、党内議論を進めていきたいと思います。
 各界・各層のいろいろな意見をお聞きした上で集約していく作業になるのだろうと思います。
 ただ、その上で、今時点ではっきり申し上げられることは、まず原発再稼働、これが非常に国民の関心が高い。ある世論調査でも、相変わらず6割前後の人が再稼働「反対」だと。「賛成」の人はもう3割を割っているという状況の中で、この再稼働についてはしっかり民進党としてもう見解を出している。民主党と維新の党が合流する時に、要は安全基準の適合性だけではなく、プラス、国がしっかり責任を持つ避難計画が策定されていること、プラス、「核のゴミ」の最終処分場の選定プロセスが開始されることが前提であると、明確に書いてあります。
 この基準に照らして言えば、今、民進党の立場を問われれば、原発再稼働は反対ですから。今議論しているような以前の問題として、民進党の政策として反対ですから。今、避難計画は自治体任せで、一切国は関与していない。これ1点だけとってみても、反対なんです。
 それをぜひメディアの方にも認識していただいた上で、じゃあこの「30年代ゼロ」という今までの方針、この方針がいいのか悪いのか。それから、いま一つ現実性・具体性というものを付与する必要はないのか。やはり責任政党として、「30年代ゼロ」にせよ、「30年ゼロ」にせよ、もっと前倒しのゼロにせよ、政権をとった時にしっかりと実現可能性のある具体的な工程表を示さなければ、その役割が果たせないだろうという問題意識のもとで、この問題は議論している。
 今、予断を持って「何年までにゼロ」にするということを決めているわけではございませんので、しっかりと党内意見をお聞きしていきたいと思いますし、最大の支持母体の連合の皆さんのご意見もしっかりお聞きしながら結論を出していくべき問題だろうと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 江田先生は資源エネルギー庁にもおられたので伺いたいが、今の東芝の現状をどうご覧になるか。やはり3.11以降の規制強化、コストの増大で、とても民間では持ちこたえられないような状況になってしまったと、そういう文脈で民進党もエネルギー政策を見直す機運というのがあるのだと思う。3.11から6年目になるが、東芝の現状を含めて、どんなふうにご覧になっているか。資源エネルギー庁時代とだいぶ物の見方は変わったと思うが。

【代表代行】
 私も20代のころは原発政策に直接かかわっておりましたから、その反省も込めて言えば、東芝の案件、個別具体的な案件は、やはり事案の詳細を見ないといけませんが、報じられているように福島の事故以降、安全基準が強化された結果、ウェスティングハウスが買収したと言われる企業のコストが61億ドルですか、日本円にして6000億円以上のコスト高になった結果、こういった東芝の経理に影響していることは事実なのでしょう。
 原発事業は、東芝にかかわらず、東電のいろいろな動きを見ていても、分社化とか他電力会社と共同して原発事業を担おうという動きが出ているようですので、それを裏返して言えば、電力会社といえども一民間企業が背負える事業なのかということも、やはり今後の検討課題だと私は思います。
 原発事業というのが結果的に、福島の事故で、廃炉やいろいろな費用を合わせて21兆円レベルまで達しているという試算がこの前、出ましたが、そういう事故が起こった時に、そこまでの費用がかさんでいくような事業を、電力会社、大企業といえども一会社が背負っていけるのかどうかということは、当然検討課題だと私は思います。

○教育の無償化について

【北海道新聞・金子記者】
 教育無償化について伺いたい。民進党は教育無償化の法案(学校等の授業料の無償化等推進法案)の検討をされているが、一方で日本維新の会などは、憲法改正で教育無償化を書き込むべきだという主張をされていて、自民党の内部にもそういう検討をしている声も聞こえてくる。教育無償化について、法案で対処すべきか憲法改正で対処すべきかということについて、江田代行の所見を伺いたい。

【代表代行】
 この教育無償化があるから憲法改正をしようという発想には、くみしません。憲法改正をしなくても教育無償化はできる。憲法改正なんて言っていたら、いつまでたってもできないでしょう。
 法理論上、教育無償化が憲法改正でしかできないということであれば、憲法改正の具体的な検討対象の俎上に載せていく必要があると思いますが、そうでない以上、教育の無償化、「人への投資」は我々は喫緊の課題だと思っているので、民進党としては法律でしっかりと教育無償化の方向を出して、しかも大事なことは、5兆円と言われている財源を民進党としてしっかり示していくということだろうと思います。

○天下り問題について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 天下りだが、3.11の事故の時に経産省の幹部、松永さんを含めて誰一人、退職金がどうなったという話はなかったし、松永さんに至っては即、損保会社の顧問かなにかに行っていた。過去ずっとあるが、たしか国会で、昔は退職金を返すような文化があったようなことを江田さんはおっしゃっていたと思うが、役人って昔の人は自ら返上したり、そういう文化があった。やはり吏道がすたれたということなのかどうか。森友学園もそういうことかと個人的には思っている。そういう規律がおかしくなっていると。その辺はどうご覧になるか、役人をやっておられた江田さんに伺いたい。

【代表代行】
 私は大蔵接待スキャンダルの嵐の渦中におりましたが、誰とは言いませんが、その中の何人かの方は退職金を返上されています。あの時は、いろいろまだ申し上げにくいこともいっぱいあって、ただ、将来次官を確実視されていた、嘱望されたような幹部が、続々自主的に辞表を出した。その背景にはいろいろなことがあったので、それは申し上げられませんが、そのうちの何人かの方は、私の記憶では退職金は返上されていると思います。
 私は官僚出身ですから、官僚バッシングのためにこんなことを言っているのではなくて、やはり官僚組織がこれから生き長らえていくためにも、国民の信頼を再び得ていくためにも、官僚自らが自浄作用を働かせねばいかんということを申し上げている。それは予算委員会でも申し上げたつもりです。政治家に言われるまでもなく、ましてやマスコミの方々に指摘されるまでもなく、こういった不祥事を起こした時はまず自浄作用を働かせるべきだというのが、官僚出身としての私の意見です。そういうことになかなか応えていただけないような状況については、非常に残念なことだなと思っています。
 ましてや事務次官という、官僚組織のトップを極めた人ですから、本来は範を垂れなければいかんわけです。そういう方が国家公務員法違反をしたとなれば、私は常に自分がその立場でできないことは言うつもりはないのです、だから私がその立場だったら(退職金を)返上します。少なくともそのぐらいの矜持はあるつもりです。
 前川さんも、私は個人的に知っていますが、彼は誰に聞いても非常に仕事ができる、それからやはり省内の人望も厚かった事務次官です。そういう方として私もおつき合いをしてきたつもりです。だからこそ、こういう厳しいことを申し上げているのです。少しでも矜持が残っておられるのであれば、国民の税金ですから、しかも法律違反を4件されたというのが今時点での明確な事実ですから、それを踏まえてぜひ自浄作用を自らの判断で果たしていただきたいという、私の思いです。