党役員会見に関する基本的な方針について

細野豪志代表代行記者会見

2017年3月1日(水)14時00分~14時15分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=zfG0BkEOQbw


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○予算審議 森友学園への国有地売却問題について

【代表代行】
 予算委員会の審議が参議院でスタートいたしました。きょうも森友学園の問題をめぐって新たな事実が出てきたなという印象です。
 特に印象に残りましたのは、我が党の藤末健三議員が質問したところ、大阪航空局ではゴミの撤去費の算定の経験はない、という答弁が非常に強く印象に残りました。私も閣僚なども経験していますのでよく承知をしているのですが、土地の算定であるとか、公共事業のいろいろ、例えば土地の買収などについてそれぞれの役所の経験で見ると、経験を有している部署と、ほとんど経験がない部署とがある。おそらく航空局というのはほとんどそういう経験がなかったのだろうと思います。それを非常にずさんな形で手続をして、そして国の財産を毀損しているわけですから、大きな責任があるのではないか。
 やはり根底にあるのは、国民の財産を大事にするという意識だと思います。それが非常に欠けたところでこういう手続がなされた背景に何があるのか、そこは引き続いて徹底的に国会の中で解明していく必要があると感じました。


■質疑

○憲法改正をめぐる議論について

【朝日新聞・関根記者】
 細野さんのグループで議論を進めている憲法改正の関係だが、4月上旬の公表に向けて作業を進めているようだが、現在の進捗と、今後の予定されている日程を伺いたいのと、それからパーティーで「3点セット」などについていろいろ発言されていたが、党内の反応、幹事長とか代表とかも含めて、今のところどんな声が来ているか伺いたい。

【代表代行】
 まず1点目の件につきましては、今、精力的に作業を進め議論している最中です。非常にいい議論ができていると思いますので、一つのグループとして、できればしっかりまとめられるようにやっていきたいと思います。
 スケジュール的には、国会中ですので、それぞれの国会審議と並行しながらということですが、できるだけ早くしっかりまとめたほうがいいと思いますので、ここ2、3週間、しっかり議論するということだと思います。
 それと党内ですが、党としてまとめたものとしては、(民主党がまとめた)2005年の「憲法提言」、これがまとまったものとしては最後のものになる。私としては、その方向性とは一致したもので、さらにそれを「深掘りする」という表現がいいでしょうか、もしくは「具体化する」という表現のほうがいいかもしれません、そういった案を出したいと思っています。
 ですから、方向性が合っておりますので、その上で具体的な提案ということになります。党内でもそのことによって議論が活性化すればいいし、国会でもそのことによって議論が前に進めばいいなと思っております。

【IWJ・ぎぎ記者】
 緊急事態条項の必要性に関しても言及されていたと思うが、2点伺いたい。まず、当条項の必要性について、細野代表代行の具体的な見解を伺いたい。

【代表代行】
 今の憲法には、緊急事態について、さらに広く言うならば危機管理そのものについてと言うことができると思いますが、それについての言及が全くない。戦後70年たって、我が国を取り巻く環境も大きく変わりましたし、国民の意識も相当変わったと思います。ですから、それについて議論をしないとか、何も書かないというのは適切ではないと私は思いますので、今その議論をしています。
 現段階ですが、かなり精査をしているのですが、例えば自民党が言っているような国民の権利を制限する部分、これについては、今のところですが、新たな憲法改正は必要ないのではないかと考えています。具体的には憲法22条・29条、「居住移転・職業選択の自由」と「財産権」ですが、それぞれの条文の中には「公共の福祉」による制約が書かれています。こういう条文がある以上は、憲法の改正はなくしても法律で私権を制限できるというのが私どもの理解です。東日本大震災という極めてシビアな、原発事故も含めた経験を私は官邸の中でしていますので、どういった私権の制限が必要なのかということについては承知をしています。その多くは、この22条と29条にかかわるところですので、それは法律によってやり得るという理解です。
 一方で、例えば言論の自由であるとか、さまざまな精神的な自由については、(自民党憲法草案の)22条・29条にあるような形の制約はあるべきではないと私は思います。ですから、そこも含めて全体に制約をかけるような自民党案というのは、立憲主義の観点から言っても非常によくないというのが私の理解です。
 一方で、緊急事態において、常に国会が機能して、予算を通したり法律を通したりすることは必要だろう。具体的に申し上げると、3.11の時に参議院や衆議院が任期(満了)の直前であったら、我が国は大混乱でした。憲法上、選挙の先延ばしはできませんので。そういう事態において、それこそ常に法律や予算を通すことができ、必要な時には政府をチェックするという意味では、やはり立法機関が常に機能する形を考えたほうがいいだろうと思う。その意味で、選挙を先延ばしするということを立法府自身が判断する改正は、これは必要だというのが私の理解です。ここはおそらく憲法の不備だろうと思います。
 ですから、緊急事態条項については今のところ、まだ議論が尽きてはいませんが、その部分での提案をぜひしたいと思っています。

【IWJ・ぎぎ記者】
 今おっしゃったように懸念される点もいろいろあると思うが、枝野幸男前幹事長が、自民党の出している緊急事態条項の内容は、あれは戒厳令であって、「緊急事態だ」と時の政府が宣言してしまえば権力者が何でも自由にできる、ナチスがワイマール憲法のもとで権力を握ったやり方と同じであり、おぞましい案である、とおっしゃっている。また、岡田克也前代表も、立憲主義を理解していない安倍総理のもとでの改憲の論議に応じることに危機感を示されていた。今、改憲勢力の議席数が圧倒的な状況において、細野代表代行はそもそも緊急事態条項の議論に応じることについて懸念はないか。

【代表代行】
 枝野(民進党憲法調査会長)さんがおっしゃっていることについては、私も全く共通認識です。  その中で、今の憲法で危機的な状況に対応できない部分があれば、それに対応するのは、政党にかかわらず政治家の責任だと思います。3.11の直後に国政選挙があったら、投票権行使できただろうか。大混乱の中に選挙をすることになるか、もしくは国政選挙をしないということになると、国会が存在しないという権力の空白状態が生じる。それを望んでいる国民はいないと思います。
 ですから、必要なことについてはしっかり提案する政党として、民進党がやはり存在することの意味は非常に大きいと考えます。

【読売新聞・上村記者】
 代行が掲げている憲法改正の三つの項目の、教育無償化の部分だが、現段階でまだ教育の無償化と憲法の関係というのは党としては機関決定されていないと思うが、執行部の中では野田佳彦幹事長初め他の2人の代行らから否定的な発言が会見などでも出ている。無償化に向けた法案も、今、政調で準備をしているということで、こういった党内の状況をどうご覧になっているか。

【代表代行】
 機関決定をしていないという意味では、改正条文については全て機関決定していませんから、全てそういうことになります。逆に言うと、2005年からもう12年たっているのですが、その間、具体的にしっかりと党内で議論して集約をしたものはない。ですから、そこは民進党という新しい政党になった、前に進めていくべき時期が来ているというのが私の理解です。そこをしっかり提案して、議論が活性化すればいいのではないかと思います。

【読売新聞・上村記者】
 執行部のほかの方々からも否定的なメッセージが出ているということと、代行ご自身がこれを発信することによる党内の影響をご自身でどう考えておられるか伺いたい。

【代表代行】
 2005年の「憲法提言」は、憲法に対して国民的な議論を提起していくという趣旨の中身になっている。私は、その方針に沿って提案をするつもりですので、それを党内で受け止めていただきたいと思います。

【TBS・牧野記者】
 そういった代表代行のお考えを、否定的な考えを示されている党の幹部の方に説明し、理解を求めていくというお考えか。

【代表代行】
 それは必要だと思います。そもそも「否定的」というふうには私は捉えていませんが。

【IWJ・ぎぎ記者】
 ちょっと気になるのが、岡田前代表が、立憲主義を理解しない安倍総理のもとで、ということを会見でもかなり強調されていたことを覚えているが、細野代表代行は、安倍総理が立憲主義を理解しているか、していないか、どういうふうにお考えか。

【代表代行】
 自民党案については、立憲主義的に大いに問題があると思います。
 ただ、やはり我々が留意しなければならないのは、憲法を議論する場は国会です。国会議員として、そこはしっかりと向き合っていく必要がある。岡田前代表もそのことは当然十分理解をした上で、さまざまな懸念をどう払拭するかという意味でご発言されたものと思います。

○原発・エネルギー政策のアップグレードについて

【IWJ・ぎぎ記者】
 蓮舫代表が「2030年・原発ゼロ」の党大会での表明を断念したと報じられているが、執行部からどんな意見が出たのか。また、細野代表代行のお考えをお聞きしたい。

【代表代行】
 今、エネルギーに関しての議論が進んでいることは承知していますし、役員会でもしばしば話題になっています。ただ、今まさに議論している最中ですし、代表も含めて、今相当そこに力を注いでやっておられるので、直接の担当者ではありませんので、今の時点で「こうだ」ということについてのコメントは控えたいと思います。

○国際組織犯罪防止条約・「共謀罪」について

【北海道新聞・金子記者】
 「共謀罪」に関して伺いたい。3月10日の閣議決定という話もある中で、本日、自民党と公明党の二幹二国では3月10日にこだわらないという話も出ている。どうも与党内でも、現在政府で検討されている案について異論があることが背景にあると思うが、このことについて代行の考えを伺いたい。

【代表代行】
 金田法務大臣の答弁がかなり苦しい。そこは与党内で相当慎重に考えていただいたほうがいいと思います。