参院本会議で10日午前、政府提出の2017年度税制改正に関する地方税法等の改正案の質疑が行われ、民進党・新緑風会を代表して森本真治議員が登壇し質問した。

 地方税法等改正案には、個人住民税の配偶者控除の見直しや、エコカー減税見直し等車体課税の見直し、超高層マンションの固定資産税・不動産取得税の見直し等が盛り込まれている。地方交付税法改正案は地方の一般財源の総額を確保するとともに、財源不足額を国と地方が折半して補てんするルールを3年間延長するなどの内容。

 森本議員は、(1)森友学園への国有地売却問題(2)地方公務員の臨時・非常勤職員の処遇改善と安定的な雇用確保の必要性(3)地方財政対策(4)2017年度税収見通しと地方財政の展望(5)特例的な財源確保策(6)持続可能な地方行財政基盤の確立(7)民間委託等による経費削減に基づき単位費用を引き下げる「トップランナー方式」(8)車体課税の見直し――の8項目を取り上げ、高市総務大臣の見解をただした。

 法案に対する質問の前に森本議員は、豊中市では、森友学園への国有地格安払い下げが問題になる一方、学校給食センター建設用に国から7億7千万円で購入した土地にアスベストを含んだ大量のがれきが埋まっていることが判明したため、その撤去費用14億3千万円を同市の新年度予算に計上していることに言及。一方、森友学園の土地は対策を実施する前に評価額から8億円もの対策費を差し引いて売却していることから、財務省はダブルスタンダードを取っていると指摘。「財務省に対して、公平な手続きを進めるよう是正を求めるべき。森友学園が行う小学校建設工事に伴う産廃処理が適正に行われているか、総務省としても豊中市と連携を密にし、監視を強化する必要がある」と求めたが、高市総務大臣は、「国有財産の売却については所管省で説明責任が果たされるものと考えている」「産廃処理については関係法令を所管する環境省で適切な対応がなされるものと考えている」と無責任な答弁だった。

 森本議員は、2017年度の地方財政は、交付税特別会計での前年度からの繰越金が見込めなくなり、財源不足額が6兆9710億円と、10年度以来7年ぶりに拡大に転じているなか、持続可能で健全な地方財政対策が講じられていないと指摘。概算要求に当たり総務省が事項要求した法定率の引き上げが見送られた理由を尋ねたが、高市大臣からは明確な答弁が得られなかった。

 地方財政の中期的な展望についての質問にも高市大臣は「地方財政の健全化の観点から大きな課題」としながらも、アベノミクスの取り組み推進による税収確保に期待を寄せるのみであり、森本議員は、持続可能な地方行財政基盤の確立に向け、大胆な税源移譲や地方交付税の法定率の引上げも含めた対応は、もはや待ったなし」だと述べた。

 森本議員は車体課税について、「不条理で過重な税制を解消し、ユーザーの負担を確実に軽減するため、自動車取得税の廃止などを含む車体課税の抜本見直しを行うべきだったが、与党はそうした改革を行わないどころか、今月末に期限切れを迎える自動車取得税のエコカー減税の適用期限を延期するに当たり対象を縮小する方向性を打ち出した」と指摘。自動車産業は、関連産業を含めて全就業人口の約1割である500万人超の雇用を生み出していることにも触れ、改正に当たって自動車需要の落ち込みや日本経済に悪影響をもたらす懸念についての認識をただしたが、高市大臣は「燃費性能がより優れた自動車の普及を促進する観点から対象範囲の見直しを行うとともに、その実施に当たっては段階的に基準を引き上げるとしている。足元の自動車の影響を考慮したものとなっている」などと強弁した。

PDF「参議院議員森本真治議員質問原稿(予定稿)」参議院議員森本真治議員質問原稿(予定稿)