野田佳彦幹事長は18日、山梨県甲府市内で開かれた「輿石東氏の受賞を祝う会」に出席して旭日大綬章の叙勲に祝意を述べるとともに、それに先立ち同県連の役員と懇談し、記者団の取材に応じた。

 祝う会の冒頭では発起人の1人としてあいさつに立ち、民進党・旧民主党はもとより、政府・与党、他党など、そうそうたる顔ぶれが参集したことに「輿石先生のご人徳を強く感じるとともに、『逃げない』『ぶれない』『嘘をつかない』その政治姿勢に共感し、輿石先生を尊敬される方がたくさんいらっしゃるとあらためて強く感じた」と語った。衆参の国会議員としての長い経験と、特に参院の副議長としてリーダーシップを振るわれたことが大変大きな評価につながっての受賞だと思うと、これまでの取り組みと政治姿勢を高く評した。

 民主党代表選挙の最後の演説の際、会場に座る輿石氏と目が合い、「目が合った瞬間に頭に下りてきた言葉がドジョウだった」とするエピソードも紹介した。その2週間ほど前に輿石氏と書家で詩人の相田みつをさんの作品の「どじょうがさ 金魚のまねすることねんだよなあ」という話をしたのを思い出し、「どじょうのように泥臭く、国民のために汗をかきたい」という発言につながったと話した。「固辞をされ続ける輿石さんに党の幹事長をお引き受けいただいた。95代目の内閣総理大臣、そして党の代表だったが、それをまさに粉骨砕身、幹事長として輿石先生にお支えいただいたことを生涯忘れない」と心からの謝意を表明し、今後も引き続き党を指導してほしいと求めた。

ぶらさがり記者会見

 県連との話し合いに関連して衆院選への対応を記者から問われ、「選挙の時期はいつとは言えないが、今年は政治決戦の年であるから、常在戦場で臨んで欲しいと申し上げた。その上で、1人が小選挙区で勝つと、もう1人比例復活をさせる大きな要因になる。2議席分の力になる。1区の中島克仁さんには引き続き小選挙区で勝ち抜いて欲しいとお願いし、2区も昨年の暮れに候補者に小林弘幸さんが決まったが、当選ラインに近づけ、当選ラインを超えるように後押しをし、山梨県で何としても2議席取れるように頑張ってほしいと求めた」と述べた。

 森友学園問題に関する籠池理事長の証人喚問について、与党側が篭池理事長が安倍総理を侮辱する発言をしたのが理由だとしている点について見解を問われ、「参考人質疑や証人喚問は、真実を明らかにするために国会が対象の方をお呼びする。それが原則・鉄則だと思う。総理の名誉に関わることや侮辱をしたことが原因で、民間人を呼びつけるというやり方はあってはならない。そんな前例は作ってはいけないと思う。原則は、真実を究明するための機会にするということに尽きる。(総理を侮辱したから証人喚問するなどと)そんな理由を公然と言うというのは。おごりというか、不見識は厳しく指弾されなければいけない」と与党の姿勢を問題視した。

 証人喚問で民進党はどういう点を中心にただすかとの問いには「民進党は生活者、消費者、納税者、働く者の立ち場に立つと綱領に書いている。国有財産の不当な安い払い下げというのは、納税者の観点からしっかりチェックすべきだろうと考える。なぜそういうことに至ったのかというのが基本中の基本。その関連で、政治との関わりがあったのかを付随して押さえていく」との方針を示した。

 南スーダンの日報に関して、稲田大臣らは特別防衛監察が始まっていることを理由に事実関係に対する具体的な言及を避け続け、時間が経過している点をどう見るかとの問いには、「当事者能力が無い」とまず指摘。「南スーダンで活動している隊員が、法律用語としてでは無く実感として戦闘を意識していた。そのことをきちんと把握しようとしていたかどうか。日報というのはその大事な手がかり。(日報が)あったかなかったかで二転三転するのでは現地のことをきちんと把握していないということに尽きる。それではシビリアンコントロールが効かない。PKOを出す出さないというのは重要な政治判断。その政治判断の基礎となるものができていないことが証明されたので、私は辞任をすべきだと思う。加えて自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣であるから、当然、総理大臣にもその責任は問われなければいけない」と指摘した。

「輿石東氏の受賞を祝う会」で野田幹事長の 祝辞を受ける輿石東氏と妻の淑江さん

「輿石東氏の受賞を祝う会」で野田幹事長の祝辞を受ける輿石東氏と妻の淑江さん