衆院本会議で28日、民進党提出「介護崩壊防止法案」(「将来にわたる質の高い介護サービスの提供の確保等のための介護保険法等の一部を改正する法律案」「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」の2法案の通称)と政府提出「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」(以下「介護保険法改正案」)の趣旨説明・質疑が行われ、民進党・無所属クラブの中島克仁議員が質疑に立った。

 民進党提出の介護崩壊防止法案は初鹿明博議員が趣旨説明を行った。安倍総理が「介護離職ゼロ」と言っているが、実際に行なっていることは「介護離職ゼロ」とは真逆の方向に向かっているとし、この現状を打破し、介護の崩壊を防止するため、(1)「サービス低下につながる軽度者切りの防止」(2)利用者の生活を守るため「利用者負担の安易な拡大防止」(3)介護従事者が安心して働き続けられるようにするための「処遇改善」(4)事業所が安定的に事業を継続できるようにする「介護報酬のアップ」(5)家族に介護が必要になっても働き続けられるよう「介護休業等の改善」――を5本柱として介護崩壊防止法案を提出した理由を語った。

中島克仁議員

 一方、政府提出の介護保険法改正案は、地域包括ケアシステムを強化するため、(1)市町村介護保険事業計画の記載事項への被保険者の地域における自立した日常生活の支援等に関する施策等の追加(2)当該施策の実施に関する都道府県及び国による支援の強化(3)長期療養が必要な要介護者に対して医療及び介護を一体的に提供する介護医療院の創設(4)一定以上の所得を有する要介護被保険者等の保険給付に係る利用者負担の見直し(5)被用者保険等保険者に係る介護給付費・地域支援事業支援納付金の額の算定に係る総報酬割の導入等――の措置を講ずる必要があるため提出された。

 中島議員は、政府提出の介護保険法改正案について、「本則・付則に係る、合わせて31本の論点の異なる多岐にわたる内容の法改正を一括に束ねた極めて乱暴な法案」と指摘。「ほとんどが政省令に委ねられており、このような事がまかり通ってしまえば、立法府の意思、国民の声が反映されず、制度は維持できたとしても国民の生活は立ち行かなくなる」と痛烈に批判した。中島議員は、安倍政権の施策が今後、介護の基盤を崩壊させるものにならないかという観点から、(1)地域包括ケアシステムの強化(2)介護報酬引き下げ(3)軽度者向けサービス(4)自己負担割合の引き上げ(5)介護職員の処遇改善――に関する質疑を行った。

 民進党からは、井坂信彦議員、阿部知子議員、水戸将史議員が介護崩壊防止法案の答弁を行った。

PDF「衆院本会議中島克仁議員介護崩壊防止法案・介護保険法改正案質疑(予定稿)」衆院本会議中島克仁議員介護崩壊防止法案・介護保険法改正案質疑(予定稿)

PDF「衆院本会議初鹿明博議員介護崩壊防止法案趣旨説明(予定稿)」衆院本会議初鹿明博議員介護崩壊防止法案趣旨説明(予定稿)