党役員会見に関する基本的な方針について

安住淳代表代行記者会見

2017年3月29日(水)14時00分~14時21分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=vUIWKJMnoLg


■質疑

■冒頭発言

(なし)


■質疑

○森友学園問題について

【朝日新聞・松井記者】
 きのう自民党の西村総裁特別補佐が、籠池氏について告発も視野に検討ということを表明された。このことについて安住代行としてどのように受け止めているか、お考えをお聞きしたい。

【代表代行】
 議院証言法上、疑いがある場合は告発ということはあるのですが、昭恵夫人(追及)封じのための告発というのはあってはならないと思っています。
 なにか唐突感のある会見だったよね。予算委員会の理事でも何でもない人達が集団で記者会見して。マスコミの取り上げ方もちょっと変ではないですか。

【共同通信・田川記者】
 告発検討に関して、官房長官も協力をするという考えを示しているが、それについてはどうか。

【代表代行】
 議院証言法は議会の問題だから、官房長官の口出す話ではありません。予算委員会の場で、偽証なりがあったというふうに、そういう疑いがあるという時に各党がやる話で、政府が口出す話ではないのではないですか。それを口出ししてくるというのは、逆に何かやましいことがあるのかなと思ってしまいますよ。

【フリーランス・安積記者】
 そもそも国政調査権というのは、国民の「知る権利」に応えるということで憲法で創設された権利だと思うし、それに基づいて証人喚問が行われているわけだが、今回のこの「告発」というのは、この国民の「知る権利」に資するものだとお考えか。

【代表代行】
 一連の流れがあって、それで偽証罪に問われる場合というのは、証人喚問で言ったことと事実が違う場合です。そういう流れに沿って自然な形でやるのだったらいいけれども、この事件を意図的に幕を引くために一方的に、一人だけ来た証人の告発をするというのは、今、国民の皆さんが見たって、一方の当事者である昭恵夫人は(公の場で)何も言っていないわけだから、そういう点では実態の解明というよりも口封じになるおそれがあるので慎重にやったほうがいいのではないですか、ということです。
 我々は、もう議院証言法違反が明らかな場合は、我々の責任でそれは提起します。政治的意図を感じるから嫌だなと言っているのです、私は。
 大体、そもそも官房長官の話ではないでしょう、これ。国会対策委員長なり予算委員会の筆頭の話でしょう。取り上げるマスコミもどうかしているのではないですか。

【朝日新聞・松井記者】
 議院証言法上、(出席委員の)3分の2以上で議決可能ではあるが、ただ、これまでの慣例から言って全会一致が原則だ。にもかかわらず自民党側は、3分の2という数が念頭にあるのかどうかわからないが、自分達で話を進めていこうとしている。こういった与党側の姿勢についてどのように見ているか。

【代表代行】
 いや、あなた方を相手に会見をしていろいろなことは言っているけれども、それは責任者が言っている話ではないからね。国会の中で、「こういうところが議院証言法に照らしておかしい」ということを、ちゃんと予算委員会なり議運でやった上での話だから、プロセスに乗る前から場外で何か言わせようとしても、私が乗る気は全くありません。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 一部のメディアでは、籠池問題と同列に「辻元問題」というような表現もされている。会見するかどうかとか、そういうのもよくわからないが、これも特異な現象だと思うが、安住さんはどうご覧になるか。

【代表代行】
 トランプさんのやっていることと一緒でしょう。それをまともに取り上げている産経新聞もどうかしていると思いますよ。まあ意図的にやっているのだろうから。
 しかし、一定のルールのもとにああいうものはやらないと、全く根も葉もない話や、そういうものをメールで取り上げたことをいいかげんにやったら、我々が2006年の時の「メール事件」「メール事件」と言っていますけれども、今、自民党や産経新聞のやろうとしていることは、意図的に、まさにあのことだと思いますよ。
 他の社は冷静に対応しているとは思うけれども、ネット時代の異様な報道の仕方だよね。でも、これはアメリカの大統領選挙をなにか少し彷彿させるような話で、私は全くまともに取り上げておりません。

【TBS・牧野記者】
 あしたで籠池さんの証人喚問から1週間がたつが、今後どのようにこの問題を攻めていくお考えか。

【代表代行】
 籠池さんも、出なくなりましたよね。
 ただ、証人喚問に来て、ある意味ちゃんと責任のある、リスクのある立場で話した以上、あの話の何かがもしうそであったり偽証であれば、当然、罪に問われるわけだから、そういう立場で来てああいう発言をなさっているわけでしょう。
 その後、新しい事実としては、(籠池氏が総理夫人付宛に要望を伝えた)手紙の中身が、公開はされていないけれども、(共産党の)大門さんがきのう(28日の参議院決算委員会で)出しました。
 時差を置いて、やはり実現しているなと感じるのは普通だと思う。それから言うと、昭恵夫人もそうなのですが、かかわった人達の行動が結果的に、やはり森友の(小学校)開設に向けて大きな役に立ったというのは状況から見て明らかだと思う。
 だけど我々が知りたいのは、昭恵夫人が直接、本当にみずからの言葉で、まだ(公の場で)誰にも話していない、だからそれは我々としてはやはり必要だと思っているし、それなくして収束はできないということだと思うんです。これは昭恵夫人の名誉のためにも、大きな権力に守られていて逃げ切ろうなんていうことを思っている人だとは思わないから、普段どおりきちっといろいろなところに行ってイベントに参加したりいろいろなことをやっていらっしゃる人なのだから、このことも逃げずにきちっとやられたらいいと私は思います。

○野党連携について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 安住さんはやはり野党連携のキーマンで、一時期は共産党を含めて毎週のようにいろいろやっているように聞いたが、党大会以降、ちょっと足が止まったというか、何か水面下に潜ったのか。今解散してくれればこれは非常に願ったような解散かもしれないが、野党連携というのはやはり少し失速しているという感じなのか。

【代表代行】
 皆さんに見えるようにやっているのは、素人の話ですもんね。
 今、やはり国会に集中して徹底的にやらなければいけないから、表立って国会連携が必要だと思います。それで実績をちゃんと上げた上で野党連携はやるべき。
 水面下では、いろいろな意味で、市民連合を加えてですが、一言で言えば政策と選挙ですから。皆さんに途中、料理で言えば素材は何を使ってどういうもので味つけをしているのかは、お伝えする必要はないと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 あえて伺うが、それでも京都1区に民進党が積極的に擁立する意味があるのかとか、なにか情報の出方が変な感じもするが、京都1区などに積極的に立てるお考えというのはあるのか。

【代表代行】
 結果を見てもらえればわかりますから、総選挙までに。

○安保法制施行から1年に当たって

【日本経済新聞・学頭記者】
 安保法制の施行から1年になるが、所感を伺いたい。

【代表代行】
 集団的自衛権行使容認を施行されてから、特段そうした事例があって大きな問題が惹起されたわけではないが、防衛省の予算、そして陸自・海自・空自のアメリカとの訓練を見ていると、それらを想定した訓練にかなりシフトをしていて、またそういうものに対する装備等についても予算が増えつつあるということは、やはりどうしても既成事実化していこうという流れは感じておりますので、危機感を持っております。
 同時に施行されたPKO(協力法改正)については、南スダーンはご存じのとおり、事実上「駆けつけ警護」をできるような状態ではない。つまりPKOの5原則の中で、どうも当事者間の合意とか、完全にそれはかなって派遣はしているのだけれども、「駆けつけ警護」を伴う任務を付与した昨年秋の部隊について早々にこれは撤収するということは、状況認識が非常に甘かった。また、それがわかったので日本の問題というのは出てきたわけですが。だから、無理につくったから、虎の子の自衛隊を無理に派遣するという政府のやり方は間違いだと私は思っています。
 いろいろな意味で、1年たって、検証しないといけない時だと思います。

○敵基地攻撃能力論について

【TBS・牧野記者】
 自民党が敵基地攻撃能力の検討を含んだ提言をきょうまとめる方針だが、そういうことについての受け止めをお願いしたい。

【代表代行】
 それは、戦後やってきた「盾と矛」の役割を変えるという意味なのでしょう。牧野さん、そういう意味なんじゃないの。わかります?「盾と矛」。
 だからそういう点では、自衛隊の持っている抑止的な抑制的な装備品、そうしたものをもし転換するということであれば、これは実は私も防衛副大臣を経験した時に初めて聞いたのですが、やはり相当な年限をかけて自衛隊の訓練や部隊編成をやっていかないと、そう一朝一夕に、簡単に自民党が言うほど現場がそういうものに対応できる力を備えることは無理です。そういう点では、単に提言を出すのは勝手だけれども、これまでの安保条約や日米間でのいろいろな役割分担を大きく逸脱することになりかねないので、もしそれが本当に現実的に政府または自民党の中で、何らかの法案として出てくるようであれば、徹底的に反対したほうがいいと私は思っています。
 そう、言うほど簡単ではないのですよ。例えば航空母艦を持って運用するとなったら、専門家に言わせれば、それに伴う装備を充実させたり、航空母艦というのは何十隻という部隊で動くから、例えばの話ですよ、それに応じた航海をするための隊員の訓練とか、護衛艦やなんかを含めて言うと、20年くらいかけてようやく1艦隊の1航海を動かせるくらいの能力ができるかどうかだと言うのです。
 着艦も、専門的だから全くニュースにはならないけれども、離着艦も非常に難しい技術を要します。上空から見たら、もう航空母艦の離着艦の距離というのは、こんな(短い)ものでしかないですからね。そういうところに本当に自由にランディングできるなんていうのは、相当なレベルでないと。
 そして我が国の自衛隊というのは専守防衛に徹してきて、そういうふうなことでやってきたわけではないのです。あくまでも抑制的で、戦後の道を踏み外さないようにやってきたから、それをもし変えるとなると相当な話ですから。それは逆に言えば、憲法改正しないで事実上憲法改正するようなことにもなりかねないから、相当慎重な議論が必要なのではないかと思いますよ。

【朝日新聞・松井記者】
 敵基地攻撃能力だが、もしやるという方向性に舵を切るとしても、そもそも20年くらいかけて、相当時間がかかる重大な問題だ。そういった長い年月を見据えてこの議論をすべきだといった意図を自民党が持って言ってきているとするならば、民進党としてはその議論にはどのように向き合っていくお考えか。

【代表代行】
 「自衛隊」という名前を名乗っている以上、それは無理だと思いますよ。
 もちろん全部無理だとは申しませんが、しかし、それは言ってみれば、私の認識では、憲法改正して「国軍」になって、そして安保条約のかなりの部分を見直すことで初めてそういうことは可能になる話なので、相当ハードルが高いのではないかなと思います。
 ですから、専守防衛に徹してきた今までの流れを根本から変えていく話なので、私は反対です

○「共謀罪」法案について

【NHK・花岡記者】
 「共謀罪」、「テロ等準備罪」の法案審議について。きょう与党の2幹2国で、自民党は6日に審議入りしたいという考えを示したが、公明党のほうは刑法改正のほうが先だということで、折り合わなかった。与党の中でもこの法案の審議入りをめぐっては足並みがそろっていない状況だが、この点についてどういうふうにお考えか。

【代表代行】
 それくらい、「共謀罪」については懸念材料が多いわけでしょう。
 それと、民法改正も含めて、刑法というのはたぶん強姦罪(などの性犯罪の厳罰化)の改正を含むものだと思いますが、公明党が言うように、これは国民的、社会のニーズというか、ありようから言えば、刑法改正というのは非常に急がないといけないし、また民法改正に至っては百数十年ぶりの改正になるので。法制審が終わって法案提出からもう1年以上、ある意味寝かせたままでいるわけでしょう。我々も「やれ」「やれ」と言っている。
 そういう意味では、よく話し合って、順番を間違えないで、国民のニーズに合った順番でやるということで言えば、私と公明党の考え方は同じです。

○民進党結党1年を振り返って

【朝日新聞・松井記者】
 民進党を結党してから1年を越えたが、この1年を振り返って、安住代行としてこれまでに感じた課題と、今後どこをどういうふうに改善していったらいいか、お考えをお聞きしたい。

【代表代行】
 野党は、率直に言って超氷河期から氷河期になったくらいで、相当厳しい環境にあると思います。ただ、2012年の総選挙で大惨敗しまして56議席に終わった我が党が、300を有する政党に次ぐ第2党なんて言ったって全く迫力もないし、また、選挙制度を考えますと、バラバラに小選挙区を戦っても歯が立つわけがない。そういう点では非常に厳しい環境ではあるのだけれども、一つのステップとして、維新の党の半分の方々と一緒になれて、参議院は踏みとどまれたと私は思っています。
 今、100弱の勢力になって、国会等で、この籠池問題も含めて衆参で戦っていられるのは、やはり野党の中では圧倒的な野党第1党をつくれたからではないかなと思うのですね。
 まだまだ自民党に対抗するということから言えば、支持率を見ても決して氷河期を脱したわけではない。しかし過去の歴史を、私も20年のうち16年野党、それはもう、どん底に落ちた時も十分ありますからね。しかし「メール事件」のわずか3年後にはもう政権を取っているわけで、小泉ブームの4年後にはもう取っているわけです。そういう点では、皆さんはいつも目の前のことばっかり考えているけれども、私も20年くらいの年期がたってくると、もう少し幅を持って見られるようにはなってきているので。
 それから言うと、参議院選挙が終わって、野党連携と、そして候補者を統一していこうという機運がほぼでき上がりつつあると。こういう中で、1人区である小選挙区を自公候補と一対一で戦う態勢さえ整えておけば、この選挙制度は何が起きるかわからないし、たぶん「自民党、勝たせ過ぎたな」と思っている方もかなりいらっしゃるから、そういう意味ではまず我々はいろいろあっても、受け皿としての圧倒的野党第1党のポジションをしっかり固めて反転攻勢の機会を待てば、ことしの桜ではないけれども、少し寒いから遅れているけれども、そのうち桜が咲くこともあると思っています。