民進党沖縄・九州ブロック地方自治体議フォーラムは29、30日の2日間の日程で、熊本市内で70人を超える参加者のもと総会・研修会を開催した。 

 同フォーラム総会・研修会に先立って行われた連絡協議会(会長・渡辺創宮崎県議)の総会では、次年度のブロック代表世話人に渡辺創氏を再任し、次回の開催地を長崎県にすることを決定した。

 渡辺氏はあいさつの中で 「今回の研修では昨年4月に発生し甚大な被害をもたらした熊本地震の教訓を各地でどう活かして行くかを一つのテーマにし、さまざまな視点からの研修課題を熊本県連の皆さまに構築して頂いた。この研修を通じ、熊本の復興の現状を仲間の皆さんに見て頂きたい」と述べた。 

■第1日目 研修会1

鎌田聡党熊本県連代表

鎌田聡党熊本県連代表

 研修会1では鎌田聡党熊本県連代表(熊本県議)より昨年、熊本県を震度7の地震が襲った時には発災直後から支援物資の運搬や義援金などの協力、そして今なお熊本県内の自治体に全国から300人を超える職員の皆さんを派遣して頂き、その支援のもとで現在も復興が進められていることに対し御礼の言葉があり、「発災直後には県の人口の1割にあたる約18万人が避難所に身を寄せる生活を送り、避難所に入れなく、車や軒先での生活を余儀なくされた人も多くおられた。また、昨日まで4200回を越える余震が今なお続いており、まだまだ不安な状況は続いている状況であるが、どのようにしてこれらの恩返しをすべきかと考えた時に、被災を経験した地域として、この災害を教訓とし、各地で既に策定されている避難計画、防災計画、避難所運営などの課題をお伝えする事が、恩返しの一つであると考えている。この研修を実りあるものとして頂きたい」と述べた。 

大串博志政調会長

大串博志政調会長

 講師として招かれた大串博志政調会長は、「民進党の政策課題」と題し講演した。その中で森友学園問題に関して、自身が財務省の職員であり国有財産の管理を担当していた経験もある事を踏まえ、「国有財産の売却や貸付を行うには適正な対価でなければならないと財政法9条の中で定められており、このようなケースは通常でも慎重かつ丁寧に進められるはずである。さらに、国有財産の売却収入は税外収入として予算に直結するものであるがゆえに、8億円を値引きした積算根拠を示す書類が無いと言うことは考えられない」と批判した。その他、民進党の看板政策である「人への投資」について解くとともに、いわゆる「共謀罪」法案、南スーダンPKO、天下り問題等に関する議論のポイントを説明した。

■第1日目 研修会2

有浦隆熊本県危機管理防災企画監

有浦隆熊本県危機管理防災企画監

 研修会2では「熊本地震・オペレーションからの教訓」と題し、熊本県危機管理防災企画監の有浦隆氏が講演した。有浦氏は元自衛隊員であり、これまで、日航御巣鷹山、長崎普賢岳、阪神淡路大震災、東日本大震災等災害派遣に対応してきた人物。「防災の本質は『予防』にあり、『行政は住民を災いなき地におき、災いの前に逃す。住民は疑わしきを察し、災いの前に逃れる』。これが崩れた時に人名が奪われる」との持論を述べた。

 多くの課題中の一つで、国のプッシュ型支援(国が被災自治体の要請を待つことなく物資を輸送する方式)については、「被災者に安心感を与え、大変有効ではあるが、被災地では避難所まで運搬する手段、人手、保管場所不足などの問題が発生し混乱をきたす一因ともなる。また、行政の罹災証明証の発行や建物被害認定調査については市町村の職員に経験やノウハウが無いため、他県、他市からの応援職員と職員教育で何とか軌道にのるものの、やり方がそれぞれ相違するために、後日混乱をきたした」等、問題点を提示した。

■第1日目 研修会3 

村上博熊本市議

村上博熊本市議

 研修会3では「熊本地震における災害弱者の現実」と題して村上博熊本市議会議員が講演した。村上氏は幼少の頃に脊髄性小児麻痺を発症し、以来松葉杖、車椅子の生活を送り、その中で、障がい者の人たちがどのように避難したのか、実体験を元に講演した。被災時には地域の避難所に障がい者が避難をするという事は非常に難しい状況であり、それは福祉避難所も同様であり、ほとんどの人が危険でもあるが自宅避難となった。

 その中で熊本学園大学のインクルーシブ避難所の取り組みは障がい者、高齢者への合理的配慮として広いホールが開放され、先生や学生が自主的に手伝いをしてくれることで、避難者の大きな支えとなった。災害弱者と呼ばれる人たちの中には自分自身のことで他者の介助が必要になることが心苦しいと感じ、避難することをためらうことがあり、このような現状も認識した上でそれぞれの地域での避難計画を見直す契機となる講演であった。

■第2日目 熊本城の復旧現場視察

熊本城視察

熊本城視察

 2日目は熊本のシンボルである熊本城の復旧現場の視察を行った。熊本城の被害は石垣、地盤、重要文化財建造物、復元建造物、管理施設などを合わせ被害額はおよそ634億円と推定される。これらの復旧に取り組む期間は概ね20年とし計画。復旧に際しては以下の基本的な考えを示されていた。




  1.   復興のシンボルである天守閣の早期復旧を目指す
  2.  文化的価値を損なわない丁寧な復旧を進める
  3.   復旧過程の段階的公開を行い、観光資源としての早期再生を図る
  4.  耐震化などの安全対策に向けて最新技術も取り入れた復旧手法の検討を行う
  5.  「100年先の礎づくり」として未来の復元整備へ繋がる復旧を目指す。


 現場視察を通じ被害の大きさと、緻密な復元作業の一端を確認し、今後もさまざまな形での支援を行うことが必要と参加者が感じた視察であった。