衆院本会議で4日午後、「福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案」への質疑が行われ、細野豪志代表代行が質問に立った。

 同改正案は、帰還困難区域内の復興・再生に向けた環境整備、被災事業者の生業の復興・再生を担う組織の体制強化、浜通り地域の新たな産業基盤の構築、福島県産農林水産物等の風評払拭等に必要な措置を講ずるもの。

 細野代表代行は、(1)特定復興拠点のあり方(2)帰還困難区域の将来像(3)汚染者負担原則の修正と国民負担(4)風評被害への対処(5)被災者いじめ――などの問題点について政府に質問した。

 細野代表代行ははじめに、3月11日に行われた東日本大震災の追悼式典での安倍総理の式辞を取り上げ、「10段落で構成された式辞の9つの段落は、昨年と全く同じか前後の言葉を入れ替えただけだ。唯一異なることは『原発事故』という言葉が消えていたことだ。安倍総理と閣僚には、もう一度原発事故を起こした政府の責任を自覚していただきたい」と指摘した。

 特定復興拠点のあり方について細野代表代行は、「特定の地区を復興拠点に認定し、除染やインフラ再建に取り組むというアプローチについては賛同するが、帰還を望む住民の数は減少しており、復興拠点がコミュニティとして機能するには、外から移り住む人が出てくる必要がある」と述べ、どのような復興拠点をつくるつもりなのかを質問した。今村復興担当大臣は、「地元の実情に応じてさまざまな形がある。市町村が計画を検討することから数は現時点では示せないが、どのような拠点づくりをすれば着実かつ効率的に整備が進み、住民の帰還や事業者の立地が進むのかという観点から柔軟に調整していく」と答えた。

細野豪志代表代行が質問

 風評被害への対処について、「法案では、販売等の実態調査を行い、その調査結果に基づく指導や助言を行うとあるが、そういう指導・助言を行うか」と質問したのに対し、今村大臣は、「指導・助言の内容については調査内容や結果等を踏まえて判断する必要があると考えている。関係業界全体に福島県産農林水産物の取り扱いについて要請を行っている。風評払拭に向けた効果的な指導・助言方法を検討していきたい」と答えるにとどまり、具体的な内容は示さなかった。

 被災者いじめ問題について細野代表代行は、「原発事故を原因としたいじめは、社会全体で根絶しなければならない。どのような方法でいじめを根絶するのか」と質問。今村大臣は、「原子力災害で避難している子どもが、避難先でいじめに遭うという事態が発生したことは極めて残念だ。文科省と連携して、被災した子どもの心のケアや教職員に対する研修、保護者等への助言などを行うスクールカウンセラー等の派遣などを行っている」「一般向けに分かりやすい資料を作成し、官民挙げて放射線などに関する理解の促進と情報発信強化に努めていく」と答えた。

 最後に細野代表代行は、「あってはならない原発事故を現実に起こしてしまった政府、国権の最高機関たる国会には、原発事故の被害を直視し、福島の復興を成し遂げる宿命があります。本院に議席を持つわれわれ一人ひとりが、その宿命を全うすべきだ」と述べて質問を終えた。