党役員会見に関する基本的な方針について

細野豪志代表代行記者会見

2017年3月31日(金)14時01分~14時25分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=FcUsUn4v3FU


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○避難指示解除・福島復興に向けた取り組みについて

【代表代行】
 本日(3月31日)の午前0時に、浪江町などの3町村、そしてあす(4月1日)午前0時に富岡町で、避難指示解除になるということでございます。6年以上の時間が経過していますので、非常に長きにわたって避難されている皆さんには大変なご苦労をおかけしてまいりました。私も直接かかわってきた政治家の一人ですので、本当にご苦労をおかけしたことについてはお詫びをしなければならないとも思っております。その中で、被災者の皆さんも大変なご努力をされ、そして関係者の除染やインフラ復旧に対するさまざまな取り組みが一つの成果となって、ようやくお帰りいただける状況になったということであります。
 ただ、現実には、帰るという希望を持っていらっしゃる方、それほど数が多いわけではありません。したがって、コミュニティの高齢化であるとか過疎化であるとか、こういった問題というのはこれからしっかりと取り組んでいかなければならない課題だと思っております。
 また、来週には福島復興特措法(改正案)の質疑も始まります。私も質問に立つ予定をしておりますが、その中では帰還困難区域の中に特定の復興拠点をつくって、そこを除染し、インフラ整備をして、ご帰還いただくというようなことも法案の中に書いてあります。方向性は私も評価をしたいと思うのですが、現実的にこれをやっていくのは、今回の4町村と比較をしてもさらに厳しいと思うのです。ですから、どう政府としてそこをやり切る覚悟なのか。そこは来週以降の質疑の中でしっかりと確認する必要があるなと思っております。
 基本的には、福島の復興ということに関して言うと、党派ということよりは、福島に寄り添うという気持ちのほうが重要だと私は思いますので、私自身も最大限努力をしていきたいと思っております。


■質疑

○4町村の避難指示解除について

【朝日新聞・関根記者】
 冒頭の関連だが、避難解除される町村も含めて、福島第1原発は廃炉(が決定)されて特定施設(特別な管理を必要とする「特定原子力施設」)になっているが、その施設に対する避難計画が未整備のまま、今回の帰還と避難解除の決定がされたという点があるが、この点、住民の安全とか安心という部分に照らしてみて、政府の対応をどう評価しているか。

【代表代行】
 第1原発につきましては、例えば通常の原発におけるような発電をするということになると当然臨界ということになるわけですが、そういう状態にあるであるとか、もしくは6年前に水素爆発を起こしたわけですが、そういう事態が再び起こるであるとか、そういったことはないという状況です。すなわち、もちろん廃炉に向けての作業は極めて慎重にやっていかなければならないと思っておりますが、急に何か避難が必要になるような事態というのが想定されるということではないと思います。
 そういう状況ですから、戻っていただけるところについてはできるだけしっかりと取り組むということについては、これは必要なことではないかと思います。
 それとは別途、例えば事態というのはそれはもういろいろなことを考えていかなければなりませんので、そういった備えというのは並行して必要ではないかと思います。

○「共謀罪」法案の審議について

【共同通信・市川記者】
 「共謀罪」について伺いたい。自民党は「共謀罪」法案の今国会での成立を目指して4月6日にも審議入りすることを目指している。先に国会に提出された刑法改正案などではなく、「共謀罪」の審議を先行させようとすることについて、どうお感じになっているかお聞きしたい。

【代表代行】
 今回出されている刑法の改正案は、性犯罪について定めた非常に重要な法案ですので、当然、法案の性質から言っても、また、既に提出されているという経緯から言っても、そちらの審議が優先されるべきだと思います。
 また、金田大臣の「共謀罪」に関する答弁はこれまでも相当問題になってきましたから、本当に今の体制で「共謀罪」をやるのかどうか。
 与党の中でも方針が両党の間で違うということのようですから、そこはやはり政府・与党の中で少し考え直していただいたほうがいいと思います。

【共同通信・市川記者】
 民進党は、成案を得てから答弁すると金田大臣が先送りした40の質問項目を、きのうまとめて法務部会で示されていた。これを今後どのように活用して、「共謀罪」法案の矛盾を追及していくか、お考えがあればお聞きしたい。

【代表代行】
 法案審議には入っていませんが、法務委員会には他の法案もかかっていますし、当然一般質疑もありますから、そういったところでまず法案審議に入る前の前段で、既に閣議決定されているわけですから、質問するというのは当然あっていいと思います。

○天皇退位後の呼称をめぐる議論について

【フリーランス・上出記者】
 天皇退位の関連で、それぞれの呼び方、今の天皇の場合は「上皇」、皇后は「上皇后」。「皇太子」は、本来、皇室典範でいったら皇太子は必ず直径の天皇の子どもとなっているが、秋篠宮さんを「皇太弟」にするという意見と、特例法ができれば「皇太子」でいいのだと、そういう議論がある。民進党は引き続き女性宮家の問題などで関心がおありかと思うが、どうも議論を見ると、「皇太弟」というのが本来適当なのを「皇太子」にしようということは、要するに秋篠宮さんのお子さんのことを考えて、男系天皇のそういう秩序を守ろうという人達の意図が出ているなという感じがしないでもない。ちょっと微妙な問題であるかもしれないが、もしご所見があれば伺いたい。

【代表代行】
 「上皇」、そして「上皇后」という表現については、一つそういう考え方はあるだろうと思います。比較的わかりやすいとも思いますし、そう感じています。もちろん国会質疑の対象ですから、出てきた段階でしっかりと検討する必要があると思いますが。
 一方で「皇太弟」なり「皇太子」という部分は、これはやや複雑な問題が同時にあると思います。やはり次の陛下になられる方というのは、それは当然さまざまな準備というのが必要ですので、スタッフも充実するということは必要でしょう。
 一方で、女性宮家の議論がある中で、男系女性天皇も含めて、女性宮家、女性天皇、そして女系と、いろいろな議論がそれぞれ個別にあるわけです。そこは、そういった問題にも直結をしてくる問題ですので、「上皇」「上皇后」ということと比較をすると、やや慎重な議論が必要だと思います。

【フリーランス・上出記者】
 これからの問題だとは思うが、細野さんご自身として、今の段階で「こうあるべきではないか」というのは何かあるか。

【代表代行】
 そこは非常に難しい問題だと思います。ですから私が今一番悩んでいるのもそこです。ちょっと軽々しく申し上げられることではないのでコメントは控えたいと思います。

【フリーランス・上出記者】
 天皇の退位に関して、象徴天皇ということで「国民の総意」ということが結局一番大事なキーワードだと思うが、それと比べると、また「国民の総意」ということで国民の意見も聞くという問題なのかどうかは私もわからないが、この辺についてはどういうスタンスでこれに向き合っていくかということについてはいかがか。

【代表代行】
 もちろんご譲位の問題は、「国民の総意」に基づかなければならないと思います。それと同時に、まさに皇位の継承そのものでもありますから、どういう名前を使用するかということそのものが。そこもやはり「国民の総意」ということが非常に重要な問題だと思います。

○天下り問題について

【毎日新聞・樋口記者】
 文科省の天下りの問題について2点。
 1点目は、昨日、蓮舫代表は松野大臣に関して、その任に値するか疑問に思うとおっしゃり、非常に厳しい姿勢を示されたが、今回の処分の内容等々、十分なものだったとお考えかどうか伺いたい。
 もう1点は、与党側が、野党側が求めている予算委員会での集中審議に応じていない状況だが、このことについていかがお考えか。

【代表代行】
 (文科省の調査結果が)出てきたのはきのう(3月31日)ですので、私も概略は把握していますが、相当膨大な中身になっていますから、精査をする必要があるだろうと思います。
 当然、そういった精査をする中で、極めて重大な問題ですから、予算委員会での集中審議は必要だと思います。ですから、この問題も含めて、政府・与党が質疑から逃げているというのは非常に問題だと思います。

○憲法改正をめぐる議論について

【産経新聞・豊田記者】
 憲法について伺いたい。憲法改正項目の絞り込みに関する議論がなかなか進まないことに対して党内で不満の声も聞かれるが、代表代行の現状認識や、絞り込みに関する考えをお聞きしたい。

【代表代行】
 憲法審査会での議論というのがテーマごとに行われているというのは一定の前進だと思います。先日も、「緊急事態」のさまざまな議論、特に選挙のあり方、民意の問い方についてかなり突っ込んだ議論が行われたのはよかったと思いますし、今度は地方分権について行われるということですので、そこも非常に重要な議論だと思います。
 与野党がそれぞれ、そういう場所でお互いの見解を述べ合うことによって、少しずつですがコンセンサスというものが見えてくる可能性は少なくとも出てきていると思います。私が4月に現実的な改正案ということで出そうと思いますのも、そういう議論に資する形になればいいなと思って出させていただきますので。
 やはりここまで来ていますので、現実的にどの部分が緊急性、必要性が高いのか。さらには、各党・各会派が合意をする可能性が高いのはどこなのか。そういった形でのコンセンサスが得られてくれば望ましいのではないかと思います。

○失業率について

【フリーランス・安積記者】
 失業率について伺いたい。22年ぶりに2.8%になったという発表があった。かつて経済学では3%が自然失業率と言われており、それを下回る数字だが、この数字についてはどうお考えか。

【代表代行】
 端的に申し上げて、もう相当、完全雇用に近いということだと思います。つまり、職を求める人については何らかの職があるという状況にはなっているのだろうと思います。
 ですから日本の人口が減少し、高齢化が進んでくる中で、労働力不足が極めて深刻になってきたということで受け止めています。

○一部報道に対する抗議文とその反論について

【産経新聞・豊田記者】
 弊社のことで恐縮だが、柿沢未途役員室長名で、弊社の政治部長宛に抗議文があり、きょう付の朝刊で「恫喝と圧力に屈しない」と題した反論を掲載した。もしご覧になっていたら、その内容に関する感想や、こういったことが起きていることについての所感をお聞きしたい。

【代表代行】
 すみません、けさネット上でちらっとは見たのですが。まだ読めていなくて。読んでおけばよかったのですが。

○米トランプ政権の環境政策・安全保障政策について

【フリーランス・上出記者】
 日米関係、トランプ政権についてお聞きしたい。次々にびっくりするような、とてもアメリカとは思えないような政策が出てくる。最近では二つ。地球温暖化について。それから、これは具体的にはなっていないが、国防費を同盟各国はGDPの2%にせよというようなことを言って、日本の場合は1%原則と言われていたが、これはいずれ敵基地攻撃能力を増強するとかいうものとつながって、我々から見た場合にはちょっと問題があるという防衛力の増強の仕方につながりかねない。安倍内閣としては、いくら同盟国といっても、親分・子分ではないはずなんで、何でも唯々諾々と従うのではなくて、きちんと物を言うべきことは言うという観点から、何かおっしゃりたいことはないか。

【代表代行】
 温暖化であるとか、環境ですよね。ここは相当大きな変化がアメリカで起こっていますので、率直に言って心配しています。パリ協定も含めて、アメリカの影響力は極めて大きいですから、そういった政策からぐっと距離を置くということが国際的にマイナスになる可能性が非常に出てきていると思います。ですから、本来であれば日本政府としてそこは米側にしっかり懸念を伝える必要がある、そういう状況になってきているのではないかと思います。
 それと比較すると、安全保障の問題は政権を取ってからは、今のところトランプ政権はあまり過激なことは言っていない。恐らくその背景には、特にアジアにおいては北朝鮮の問題を含めて深刻な事態があるということだと思いますが。ですからトランプ政権の安全保障政策が日本の安全保障政策に非常に大きな影響を及ぼして変革を迫る、という状況ではないと思います。日本は日本で、北朝鮮の問題にどうしっかりと向き合っていくかということは、これは日本として考えなければならないと捉えています。

○政党間関係における東京都議会と国会の「ねじれ」について

【フリーランス・安積記者】
 都議選に関連して伺いたい。公明党が、「都民ファーストの会」というか小池さんと連携し、このたび新しいポスターが、小池さんと山口さんと候補の3面ということになり、かなり中央と「ねじれ」がある状態になるのではないかと思うが、こういうことについてはどうお考えか。すなわち自公の連立がこれで完全に崩れるとは思わないが、例えば偽証罪について自民党と公明党とちょっと温度差があるということもある。このあたりのお考えというか、印象を伺いたい。

【代表代行】
 都議会というのは、自治体の議会ではあるのですが、一方で極めて影響力の大きい、他の自治体とはやはり性質も異なる、首都の議会という位置づけがある。
 うちの地元などを見ていても、地方においては自民党と公明党の関係はさまざまです。ただ、主要な部分についてはやはり共同歩調をとってきたということを考えれば、与党としてその矛盾をこれからどう解決していかれるのかな、というふうに思います。
 すなわち、最も影響力の大きい東京都議会で立場が違うという政党が、国政では与党として綿密に連携していくということが本当にできるのかどうか。都議会議員選挙で戦うということも含めて、そこは注視をしていく必要があると思います。

【フリーランス・安積記者】
 都議会はすごくねじれているが、共産党のほうも、自分達は与党だというような発言をしている。これもまた「ねじれ」が生じると思う。(共産党が予算案に)賛成して、発言としては与党と。政策協定はしていないと思うが。そこもねじれている。これについてはどうお考えか。

【代表代行】
 それだけ、今の時点では小池都政というのが都民に受け入れられているということの表れなのでしょうね。(本年度予算案の)全会一致(可決)というのが40年ぶり。そういうことの表れなのではないかと思います。
 ですから共産党自身の独自の動きというよりは、そういう世論の動向を反映した動きなのかなと思います。