党役員会見に関する基本的な方針について

蓮舫代表記者会見

2017年4月6日(木)15時00分~15時24分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZU3MWOw6s7Q


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○「共謀罪」法案審議入り 「共謀罪」対策本部を設置

【代表】
 きょう(6日)、野党が反対する中で、与党が衆議院本会議を議運委員長の職権で強行いたしました。今や安倍内閣のお家芸ですが、数の力を背景に、自分のやりたいことは何が何でもやっていくという、国会のルールを無視したこの手法に対して強く抗議をしたいと思っています。
 私達は、この国会の運営はもちろん、また法案そのものにも反対をしていますが、強硬に本会議が開会されるのであれば、しっかりそこに質問者として立って我々の考えを述べるということで、出席をさせていただきました。
 ただ、現段階においても、やはり「共謀罪」を刑法改正よりも先んじて審議をする手法には疑念を強く感じています。性犯罪に関しては、まさに今この時も暴力等も含めて悩んでおられる、被害者の大多数は女性であります。そうした被害者の皆様方がまさに熱望していた110年目の改革でありますので、1日も早く法改正を行うべきだとこれからも主張していきたいと思っています。その部分では「魂の殺人」と呼ばれる(性犯罪を厳罰化する)こうした刑法改正を何とか進めることによって、被害者の方達をこれ以上増やさない、そうした抑止力につなげるために、何としてでも、先に国会に提出された法案を審議するべきだと、我々は筋を通して主張しましたが、政府・与党がみずから曲げたという手法そのものも遺憾に思います。
 内心の自由が侵害され、「一億総監視社会」になる可能性のあるこの「共謀罪」法案なのですが、きょう(6日)我々は「共謀罪」対策本部を立ち上げました。横路孝弘先生を顧問に、枝野幸男さんを本部長に立ち上げました。ここの法案の問題、決してテロ(対策)のためではない、やはり内心の自由を侵害しかねない、これまでの「共謀罪」法案と何ら変わることはない。安易に短い時間で審議、そして強行採決に与党・政府が持っていこうとしていることは絶対に許してはならないという理解を国民の皆様方にも丁寧に、私達から積極的に説明をしていきたいと考えています。

○首相夫人の選挙応援への政府職員の同行について

【代表】
 総理夫人の安倍昭恵さんが選挙の応援に行った時に、夫人付の政府職員が同行していたことが明らかになりました。これは、選挙応援への随行というのは、法律(国家公務員法)上、完全にアウトではないでしょうか。公務員は、政治活動が法律で禁じられています。私人である安倍昭恵さんが選挙の応援に行くのに、なぜ安倍総理の事務所スタッフではなくて、国家公務員を随行させたのか。これは一体誰の判断なのか。そして、それをなぜ誰も止めなかったのか。あまりにもこの部分がグレー過ぎて、やはりしっかり明らかにしてもらいたいと思います。
 これまでも、この総理夫人付の職員一人の判断で籠池さんにファックスを送ったとか、一人の判断で財務省に照会したとか、こうしたノンキャリアの職員に全ての責任を押しつけるかのような政府の姿勢そのものに大いなる疑念を感じているのですが、少なくとも今の国会、審議が停滞している大きな一つの要因に安倍昭恵さんがあるということは事実でありますので、引き続き安倍昭恵さん、総理夫人には国会にお越しをいただいて、(当事者の)一方である籠池さんの話したことに対して、ご自身がご経験をされた事実を堂々と語っていただきたいと考えています。


■質疑

○「共謀罪」法案の審議について

【NHK・花岡記者】
 「共謀罪」についてだが、きょう公明党の漆原さんが記者会見で、今月中に衆議院通過を目指したいという話をされた。きょう審議入りしたばかりだが、与党のほうから既にゴールを設定されるような発言があったことについては、どういうふうにお考えか。

【代表】
 「国会軽視」以外の何物でもないと思います。入り口が始まろうかどうか、その入り口も全ての政党の思いがそろわない中で始まったものに対して、いきなり出口の話をされるということは、国会での審議はどうでもいいということにつながりかねませんので、責任ある与党の担当者としてその発言は不見識だと思っています。

【時事通信・丸橋記者】
 先ほどの本会議で、民進党からは逢坂誠二先生が質問に立たれた。その質問を通じて、総理などの答弁を見ても、「テロリズム集団」の定義などについても、これは法務大臣の答弁だが、例示であってあえて定義する必要がないとか、そういう答弁をご覧になって、あらためてこの「共謀罪」法案に対して蓮舫代表がどのように向き合っていくのかということと、今のような政府の答弁姿勢などについて思うところをお聞きしたい。

【代表】
 「テロ等準備罪」と政府が呼んでおられますが、実際に法案の中身には、まさに「テロリズム集団」というのは一つの例示であって定義すらありません。目的条項にもありません。あまりにもテロ対策という扱いが軽過ぎると、率直なところ思っています。
 そもそも法案が与党に提示された時には「テロリズム」という文言すら入っていなかったものを、後に与党がそれを入れさせたという経緯がありますから、ある意味で法務省が真面目に条約に沿って法案を作ったのだなと、率直に思います。
 きょう(6日・衆議院本会議において)逢坂議員が代表質問の中でも指摘していましたが、4月1日のTBSの「報道特集」に出演された自民党の広報本部長の方が、まさに「監視社会、人権を侵害するおそれはある」、これからは諜報活動・盗聴も含めて「(通信傍受することも)将来的に可能性はあると思う」と、堂々と発言されたことをきょうご紹介されていましたが、どんなに政府が「一般の人は対象にならない」とか、あるいは「テロリズムを対象にしたものなんだ」ときれいなことを言われようと、実態は違う。やはり今まで出した「共謀罪」と何ら変わることはないというのを、お膝元の広報本部長の方が、さらにそれののりを越えた発言をメディアでされている。
 やはり短い時間で到底終わり得るような法案ではありませんし、きょう(6日・衆議院代表質問において)我々が提案させていただいたように、幾つかの懸念をブロックごと、テーマごとに参考人も呼んで、国民に対して、懸念がなくなるまでしっかり審議をするというのが、当然、最低限の審議する上での私達が求めていく姿勢です。

【朝日新聞・中崎記者】
 金田大臣に関してだが、これまでの国会審議の中で金田大臣らが「成案を得てから回答する」とお答えになった野党からの質問について民進党としてまとめられて、先日、大臣答弁で39リストアップして法務部門会議で役所に対して問い合わせをしていた。傍聴していても、議論がかみ合っていないなというところだったが、今後、本格的に国会審議の中で大臣に対してどのような答弁を、これまで避けてきたところについて求めていくお考えか。

【代表】
 幾つも疑念はある。合法的な、いわゆる企業や団体が犯罪目的(の集団)に一変した場合の、「一変」一つをとっても、誰が、いつ、どのように、それを「一変した」と判断するのか。一変するということは変わるわけですから、変わる前の合法的な団体から、誰が、何の権限を持って、それを監視することができるのかも含めて、これは大臣に確認をしっかりとらないといけないと思います。この一例をもってしてでも、たぶん審議は相当時間がかかるものだと思います。
 あるいは、LINE、メール、SNS上のメッセージ、こういったもので、直接対面しなくても何らかの合意がなされたとした場合に、その合意をなした瞬間を、誰が、どのような権限で、何をもってそれが「合意」だと判断するのか。実際に裁判になって裁判所が判断するレベルではなくて、やはり立法する過程においてそこははっきりしておいていただかないと、「監視社会ではないんだ」という政府の説明と整合性がつきませんので。
 (金田大臣答弁部分で)39掲げさせていただきましたが、一つ一つ、丁寧に、明らかにして。ただ、これは今までの金田法務大臣の答弁を伺っていても思うのですが、大臣が答弁すればするほど課題が増える。恐らくこれは39からどんどん増えると思いますので、大臣の答弁次第では、よりわからなくなる法案(質疑)になってはいけないと思いますので、私達からは丁寧に、大臣が誤解を受けないように質問をさせていただきたいと思います。

○加計学園疑惑 「戦略特区調査PT」の設置について

【朝日新聞・中崎記者】
 昨日、参議院のほうで、国家戦略特区のあり方について、岡山の加計学園を本命と座長はおっしゃっていたが、(プロジェクトチームが)設置された。このプロジェクトチームに対して、代表として期待することと、今回、櫻井充先生が予算委で質問されたという経緯もあって参院で(PTが)立ったが、衆参両方で連携してこの問題に取り組んでいくお考え等、伺いたい。

【代表】
 そもそも森友、加計学園におきましても、総理のお友達が何らかの不当な、国有地の払い下げや、あるいは戦略特区の認定等、あったのではないかという疑惑があり、(森友については)政調のもとにプロジェクトチームをつくっていました。それが今回、(加計学園についても)やはり大変思い入れが深く取材を実際されておられる櫻井さんが座長になって、参議院の中でもこの問題をより深く調査をしていこうという意味で立ち上げたものと承知をしていますので、ここはもともとあった政調のチーム、参議院の独自のチーム、それぞれが情報を共有し合って、より疑念が晴れるように、しっかり調査をしてもらいたいと思っています。

【朝日新聞・中崎記者】
 農水委員会で、自由党の森ゆうこさんであったり櫻井さん(が取り上げた)、加計学園の獣医学部開設に当たる経緯の中で、3大臣の合意とか、そのあたりの説明が二転三転して、「ない」資料がまた結局出てきたりというような経緯があった。新しいものもこの国会審議の中で出てきていると思うが、代表として今、この疑念に対してどのような問題意識をお持ちか。

【代表】
 国家戦略特区、あるいは規制の特別枠を設けるような地域を設定すること自体は、否定はしません。また、特に今、地方都市にとって大学が開設されるということは、若い方達が流入してくることでありまして、町が活性化されます。ひいては、その地域の経済も豊かになっていくという部分で、政府の説明と、そこに対して私達は特段異論を唱えているものではないのですが、一度認定されると、やはり他の都市、手を挙げたところで認定されなかった方との差というのも生じるわけですから、なぜそこだったのかという説明責任は、政府側にあると思っています。
 今、中崎さんから指摘されたように、質問者によって答えが違う。実際に3大臣が対面をして何を話し合ったのかという部分も、まだ明らかになっていなかったように記憶していますので、こうした不透明な部分は今後も国会審議を通じて突合させていかなければ、政府の説明責任を果たしたとは言えませんので、これは森友もそうなのですが、国会という審議の場所を通じて、引き続き国政の問題を明らかにしていきたいと思います。

○政府IR推進本部の初会合について

【日本経済新聞・加藤記者】
 きょう首相官邸でIR法の有識者会議がスタートし、実施法案の策定に向けた議論が始まった。政府側に、今後のIR法の設計に当たって求めていきたいことと、IR法への対応を現時点でどうお考えなのか伺いたい。

【代表】
 そもそも、「カジノ法」に私達は反対をしています。カジノが成長戦略だというのは、やはり間違っている方向性だと思いますし、カジノを誘致、あるいはカジノを合法化するのであれば、これまでの法務省見解の八つの(違法性阻却)事項(に該当しないの)で「反対」とされていた賭博を解禁する理由をまず述べていただかなければ、そうした同じ舞台に立つのはなかなか難しいと思っています。
 ただ、現段階で政府がどういった法整備をされようとしているのか、「カジノ法案」を審議している時に幾つもの「なぜ?」、そして引き続きの課題となっていることに対してどのような答えを用意されようとしているのかもう少し見きわめないと、具体的に私達としては「こういう立場です」と、今この場で申し上げるのは尚早だと思います。

○市民連合との意見交換について

【読売新聞・森山記者】
 昨日、市民連合の要請に応える形で野党4党の共通政策の土台となるものが出てきたかと思う。あらためてこれの意義と、今後の公約等へどう反映していきたいかということをお聞きしたい。

【代表】
 これは去年の12月に市民連合からいただきました政策提案がありました。それに対して、野党4党で回答をお返ししたものです。先月の党大会でも、「政策の一致点を最大限に確認することを前提に、市民との絆を軸とした野党連携の強化を加速します」という方針は確認していますので、そのうちの一つであるとご理解をいただければと思います。

○原発事故避難者に関する今村復興大臣の発言について

【日刊スポーツ・中山記者】
 今村大臣の件で、一連の発言について伺いたい。発言の中身に対するご感想と、さきの本会議で安倍総理は、辞職させるつもりはないというお考えを示されたが、そのことに対してもご感想をお願いしたい。

【代表】
 辞職させるつもりがないという安倍総理の認識には、驚きを禁じ得ません。
 自主避難をせざるを得なくなった被災者の方達の環境というのが一体どういうものなのか。かつ、自主避難をされている先で今起きている問題は、子ども達のいじめの問題です。どんどん政治課題が深刻化していて、特に復興担当大臣はこうした問題に敏感に寄り添い、政府の中で孤立してでもその改善策を提案して、政府統一見解として通すための責務を担っている方です。その方が「自主避難は自己責任」と言い放ち、かつ、記者に対しては非常に傲慢な態度で臨まれました。
 「知る権利」というものに対してあまりご理解をされていないというその姿にも驚いたところなのですが、謝罪をされただけでは到底済まされるものではありませんし、謝罪をしても言葉を取り消していない部分が幾つもありますので、被災者に寄り添う姿勢(の欠如)というのは何ら本音では変わっていないと思いますので、復興を担当する責務にあらずと、私達は辞任を要求したいと思います。

○森友学園問題 一部報道に対する抗議文とその反論について

【産経新聞・松本記者】
 3月29日に産経新聞に対して出した抗議文について伺いたい。この抗議文を受けて、産経新聞は31日付の朝刊で、政治部長名の反論記事を出しているが、この反論記事に対する受け止めを伺いたい。

【代表】
 「報道の自由」は保障されておりますので、産経新聞がみずからの責任で見解を表明することには、何ら反対はいたしません。

【産経新聞・松本記者】
 その表明した見解に対する代表の受け止めなり反論なりあれば、お聞きしたい。

【代表】
 特段ありません。

【産経新聞・松本記者】
 30日の記者会見では代表は、産経新聞の報道を念頭に「ガセネタであったような報道の中身」と発言されているが、どの部分が「ガセネタ」なのか、お聞きしたい。

【代表】
 籠池夫人などの発言からもわかるのですが、敷地に入ったとか作業員を送り込んだなどと我が党の議員に対して指摘されている点は、これは裏とりの取材をすれば明らかになるものだと思っていますので、その部分が当たるのではないかと思います。

【産経新聞・水内記者】
 今の関連だが、最初に私どもが書いた「三つの疑惑」という記事の中では、例えば野田中央公園の国庫補助金については麻生内閣でやっているという話を載せたり、(籠池)諄子さんとのメールのやりとりの中でも、辻元さんと面識がないという話も載せたりはしている。報道に対して検証するという意味も少しあったと思うが、これに対して「ガセネタ」と一方的に決めつけられることに対しては、僕達は、僕も含めて違和感があるが、これをどう思うかというのがまず一つ。
 もう一つは、辻元さんについてだが、ご本人が今までに会見などを開かれていないという事実があると思う。先ほど昭恵さんについても、堂々と出てこられて話されたらいいとお話しになっていたが、辻元さんの説明責任ということに対してはどう思われているか。

【代表】
 まず前段の部分の、一方的に決めつけたわけではなくて、事実関係を、私達もそれは調べたらすぐわかる話だったものですから、その部分で発言をさせていただきました。決めつけたわけではありません。
 二つ目の、会見のたぐいというよりも、現段階では当事者の議員が党の顧問弁護士などと相談しながら対応を今まさに検討している状況です。もう少し、これは対応を検討しているので、何らかの措置が決まりましたら対応されることになります。
 最後なのですが、安倍昭恵さんと比べるのが適正かどうかというのは、もう少し考えさせてください。ぜひ、考えたい。なぜならば、一方の籠池さん、森友学園の前理事長は国会で証人喚問されました。そこで(偽証をした場合には)偽証罪に問われるという立場の中で、彼は彼なりの発言をされました。実際にその100万円の授受があったのかどうなのか、私達は知るすべがありません。一方の方がお話しになったことに対して、もう一方の方が、全く問題ないと総理自身もお話しになられているし、関与していないとお話しされているのであれば、やはり堂々と国会にお越しいただいて、同じ土俵でそこは話をして、どちらが正しいのかを国会で、国政を調査する場で明らかにしていただいて、国民の皆様方に受け止めていただいて、その次、例えば偽証罪で告発という手段があるのだと思っている。その部分では、我が党の議員の部分はちょっと次元が違うと思っています。

【フリーランス・安積記者】
 今村大臣の件と関連で伺いたい。産経新聞さん何度も質問されたが、今回の質問、これ「しつこい」と思われたのかどうか。
 それから、今村大臣が何度もフリーの記者から質問を受けて、「しつこい」とキレていらっしゃったが、今回「しつこい」とキレなかったのは、今村大臣の前例を意識されたのかどうか。ちょっと笑顔が引きつったように見えたので、伺いたい。

【代表】
 そうか、今村大臣と比較されるのですね、今のやりとりを聞いていて。そっちがちょっと新鮮な驚きでした。
 でも産経さんは産経さんとしての、やはり報道するメディアですから、お立場もおありでしょうし、やはり私といろいろなことのやりとりをしたいというその立場は取材者としては当然だと思いますので、丁寧なやりとりを今させていただきました。