衆院で14日、「原子力の平和利用における協力のための日本国政府とインド共和国政府との間の協定」について本会議での趣旨説明・質疑が行われ、民進党の小熊慎司議員が質問に立った。

 原子力協定は、原子力関連の資機材や技術を平和的利用に限定し、軍事目的で利用されることを防ぐための法的な枠組み。今回の日印原子力協定は、核拡散防止条約(NP)に未加盟のインドとの協定となる。

 小熊議員は、(1)原発輸出と経済成長との関係(2)NPの空洞化、インドを国際的な不拡散体制に参加させるための方策(3)核実験を行わないよう担保できるのか、行った際に協定破棄、損害賠償を求めることができるのか(4)ウラン濃縮・使用済み核燃料の再処理を認めているが、平和利用でどのようなケースを想定しているのか(5)原発輸出での他国との競争――等について関係大臣の見解をただした。

 NPTとの関係で小熊議員は、未加盟国には原子力の平和利用で協力しないという原則があることと、日本が唯一の被爆国として自ら核兵器を持たず、他国の核武装に協力しないことを国の基本方針としてきたと述べ、「その日本までが、NPTに入らないまま核武装したインドに、原発やその関連技術・部材を輸出すれば、北朝鮮やイラン問題で弱まったNPTの信頼性が、さらに空洞化することは必至だ」と指摘した。

 岸田文雄外務大臣は、答弁の中で本協定について、「NPを中心とする国際的な核軍縮不拡散体制の維持強化を目指す立場には変わりがない」と前置きした上で、「原子力の平和的利用について、インドが責任ある行動をとることを確保するものであり、インドを国際的な不拡散体制に実質的に参加させることにつながる」と締結の意義を繰り返し強調した。

 原発輸出での他国との競争について、世耕弘成経済産業大臣は、「原発建設の計画を進めている国は数多くあり、東京電力福島第1原発事故後にも、炉型に関わらずわが国のメーカーが有する原子力技術に対する期待の声が各国から寄せられている」とし、「福島の経験を国際社会と共有し安全最優先でこうした期待に応えていく責務がある」と述べた。

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衆院本会議 小熊慎司議員 日印原子力協定 質問最終稿