蓮舫代表は20日午後、定例記者会見を党本部で開き、(1)衆院議員選挙区画定審議会の勧告(2)共謀罪法案の衆院法務委員会での審議(3)問題発言等が続く自民党の動き――等に関して見解を語った。

 政府の衆院議員選挙区画定審議会が19日に衆院小選挙区の新しい区割り案をまとめて安倍総理に勧告したことに関して、「内容を細やかに精査したうえで国会の審議に真摯(しんし)に臨んでいきたい」と述べたうえで、(1)分割される市町村が17増えたこと(2)一方で広大な選挙区がいくつか生まれること――の2点を指摘。「地域の一体感がそがれるということと、地方の声がより届きにくくなるのではないかという、対象区域にお住まいの方々の声をどのように受け止めるかという課題はなお大きい」との見方を示した。

 また、5年後に再び大規模な選挙区の見直しが行われることに関しては、「もう一度混乱が生じることが想定される。もともと自民党は多数の議員を抱えているという党内事情はあったかもしれないが、アダムズ方式の本格導入を先送りしたことに端を発していると思う。自民党には猛省を促したい」と語った。同時に「2020年の国勢調査をもとにアダムズ方式による抜本的な改正、『1票の格差』の是正を行うことの再度の先送りは絶対に許されない。合わせて参議院選挙区の合区も含めた改革を同時に行っていかなければいけない」との考えも語った。

 後半国会最大の山場である共謀罪法案が19日から実質的に審議入りしたこと関連しては、与党の対応について「立法府としての先例をなきものにした」と述べて、質疑者が求めていないにもかかわらず、委員長職権によって法務省刑事局長の政府参考人としての出席を委員会冒頭で強行採決する形で質疑がスタートしたことを問題視し、強く抗議した。

 共謀罪法案に対する国民の関心が高いなか、「いったい誰が対象になるのか、どういう行動が対象になるのか。一般人は対象にならないというが本当なのか。内心の自由はおかされないのか、いくつも不安、不満の声が上がっているが、担当大臣が政府参考人が答弁した後に同じ答弁を繰り返すことしかできないというのであれば、それは大臣の資質にあらずということ。辞任に値する」として、十分な答弁ができない金田法務大臣の資質に疑問符をつけた。

 原発事故から自主避難している福島の人々を切り捨てるような発言をした今村復興担当大臣、日本の文化・伝統・芸術を後世や海外に伝えるために日々努力を重ねている学芸員を「いちばんのがんは学芸員で、一掃しなければならない」などと蔑(さげす)むような発言をした山本地方創生大臣など、問題視される発言が相次いでいることにも蓮舫代表は言及し、「安倍内閣の閣僚の問題発言というか、おそらく本音。だとすれば、この人たちの大臣としての資質を厳しく問わせていただく」と語った。

 経済産業省の中川俊直前政務官が女性問題など一身上の都合で辞任した件も取り上げ、「重婚・ストーカー疑惑は本当なのか。報道では奥様ががんで闘病中という記述もあった。国会議員という以前に、人としておかしいと率直に申し上げざるを得ない」と述べ、フェイスブックできれいごとの弁明を行い、政務官を辞任しただけで終わらせる話ではないと厳しく批判。この問題のために参院経済産業委員会で20日に予定されていた原子力損害賠償・廃炉等支援機構法案の審議が行われない事態に至ったことから、「国会にも重大な影響が出ているということを政府、与党、自民党、公明党は重く受け止めるべきだ」と指摘した。

 自民党の古屋圭司選挙対策委員長が沖縄県のうるま市長選をめぐって、「市民への詐欺行為にも等しい沖縄特有のいつもの戦術」と特定の候補者を批判したことも問題視し、「選挙戦だから自らの党の候補者を支援するしたいという気持ちは百歩譲って分からなくもないが、この沖縄を差別・区別化する発言は看過できない」と批判。発言の撤回と沖縄県民への謝罪を求めていく考えを表明した。