衆院法務委員会で21日、共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)の質疑が行われ、井出庸生議員が質問に立った。

 井出議員は冒頭、前回に引き続き、憲法、衆院規則に反し委員長職権で政府参考人招致を強行採決したことについて、「立法府の法務委員会の長たる委員長が崩してしまうことに重ねて抗議し、二度とあってはいけない」「他の委員会に波及する大きな問題で、委員長の職責・資質の問題になる」と述べた。

 井出議員は、本法案がTOC条約加入に必要との政府の説明に対し、テロ対策として実効性があるのかについて質問した。

 日本が条約加入した場合、すでに加入している北朝鮮に対し、拉致事件加害者の引き渡しを求めることができるのかとの質問に、岸田外務大臣は、「全体的な実効性を高める、底上げにつながる」とのみ説明し、具体的な発言は避けた。

 これを受けて井出議員は「だからこの条約は、政治的な主張などが絡むテロを外し、物質的なマネーロンダリングなどに限定している」と指摘した。

 さらに、マレーシアと北朝鮮の金正男氏の問題について、「両国とも条約に入っているが、到底この条約が機能したとは思えない」と述べた。

 アメリカとロシアのスノーデン氏の引き渡しについても例としてあげ、条約加入には肯定的な考えを示すものの、テロなどの政治的な主義主張が関係する事項で、この条約は万全な対策となるか、この条約にテロ対策の根拠を求めることに無理があるとの問題提起をして質問を終えた。