党役員会見に関する基本的な方針について

野田佳彦幹事長記者会見

2017年4月24日(月)15時00分~15時29分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=nDzXXRBzy1k


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○中井洽氏の逝去の報に接して

【幹事長】
 先ほど、中井洽元衆議院議員・元国家公安委員長ご逝去の報がニュース速報で流されてまいりました。心からお悔やみを申し上げたいと思います。
 中井先生は、野田内閣の時には予算委員長を務めていただいておりまして、大変公正中立な委員会運営が記憶に残っております。まことに残念であります。

○「共謀罪」法案審議 法務委員会の運営に厳しく抗議

【幹事長】
 次に、国会に関してですが、「共謀罪」法案に関する与党の対応は極めて言語道断と言わざるを得ない事態に陥っております。決して認めることはできません。
 これまで与野党一致、委員会ごとに議決をしてきた政府参考人招致について、野党側の理事に一切の説明もないままに、(今後の全日程を対象として)「本案審査中」とまとめて議決したことはまさに暴挙であり、撤回を強く求めたいと思います。過去20年にわたりまして積み上げてきた政治主導の議論というものを根底から覆すような事態に陥っているのではないかと思いますので、これは一法務委員会の問題ではないと思います。厳しく抗議をしていきたいと思います。
 また、先週の法案審議の中でいろいろな問題点が次々と明らかになってまいりましたが、総理がこれまで繰り返してきた「一般人は対象とならない」との説明が、法務副大臣の答弁で全くうそであったことが明らかになりました。が、きのうのテレビの討論(23日・NHK日曜討論)では、自民党の政調会長は「一般人は対象とならない」とまた言っている。これは、政府・与党の説明に一貫性がないと思います。一番、国民の皆さんも不安に思う点でありますね。
 こういうちぐはぐ感が相当にある中において、委員会運営の運び自体にも問題があるということは極めて憂慮すべき事態だと思っています。

○朝鮮半島情勢 冷静かつ丁寧な説明を政府に求める

【幹事長】
 また、本日(24日)午前にも日米首脳(電話)会談が行われました。
 緊張感が高まっている印象が国民にだんだん広がってきていると思うのですが、政府も内閣官房のポータルサイトで対応マニュアルを掲載するなど、一定の措置はとっているが、ただ、これは丁寧に、冷静に説明をしていかないと、説明不足があったりすると、ネット上、不確かな情報が飛び交うなどということにもなりかねません。そういう事態を防ぐためにも、これまで以上に冷静かつ丁寧な説明を求めていきたいと考えております。


■質疑

○憲法改正の議論について

【日本経済新聞・林記者】
 5月3日に憲法施行から70週年を迎える。細野議員は憲法改正に対する執行部の姿勢に疑義を呈して(党役職の)辞表を提出しているが、この段階で、あらためて民進党の憲法改正に対するスタンスを伺いたい。

【幹事長】
 憲法へのスタンスは、これまでの憲法制定以降の約70年の歩み、その役割というものは大変大きかったと、基本的には評価をする立場でありますし、平和主義、基本的人権の尊重、主権在民、こういう理念というものはこれからも継承されていかなければいけない、堅持されていかなければいけないという思いです。
 そういう基本的な考え方でありますが、時代に合わないものとか、国民生活に不都合が生じるようなことがあるならば、それは一字一句変えてはいけないという立場ではなく、議論をしていくということであります。
 したがって、(党内の)憲法調査会の中でも大いに積極的に議論していただきたいと思いますし、(国会の)憲法審査会にも我々は臨んでおりますので、そういう議論はどんどん各党ともやっていきたい、というのが基本的な立場です。

【日本経済新聞・林記者】
 細野議員が代表代行辞任を提出した時に、「安倍政権下での憲法改悪に反対」というところに違いを感じるとおっしゃっていた。「安倍政権下での憲法改悪に反対」というのは参院選の時の公約であったが、今も堅持されているのか。

【幹事長】
 市民連合の皆さんからご要望をいただいた時に、回答を出しました。その時の文書の中に「安倍政権下における憲法改悪(に反対する、との内容を共有・確認し)」という文章も入っていますが、過去にどうやって4党が連携してきたかという文脈の中で書いている文字なので、それが今も、そしてこれからも継承ということでは決してないわけで、過去の整理の中に書いて文章としてトレースをしている、ということです。立憲主義を壊すような動きということにはこれからも厳しく対峙していきたいと思いますが、過去のものが常にずっと、これから未来志向の考えをする時に全部制約になるということでは決してありません。そういう文章の整理はしていたと思います。
 ただ、今の自民党(改憲)草案は、議論のたたき台になっているとするならば、それは立憲主義に反しますので、それについては我々はしっかり対峙していくということは変わりありません。

【TBS・永沼記者】
 党の活動方針でも、「立憲主義や我が国憲法の三大原則(国民主権・基本的人権の尊重・平和主義)を堅持しつつ、時代や民意の変化を踏まえた議論を積極的に行っていきます」と書いているが、これは改憲に積極的なのか、あるいは消極的なのか。安倍政権下ではだめなのか。憲法改正の必要はあると考えているのか、いないのか。その辺がちょっとわかりにくいのかなと思うが、そのあたりについてもう一度伺いたい。

【幹事長】
 先ほど言ったとおりです。基本的な考え方を申し上げました。日本国憲法の果たしてきた役割は評価をしていますが、不都合な点などがあるならば、その議論はちゃんとやっていく。それ以上でも、それ以下でもありません。

【TBS・永沼記者】
 現状は、必要があるという考えなのか。

【幹事長】
 その議論をしている最中が憲法審査会ではないですか。その議論に臨んでいるということです。

【TBS・永沼記者】
 その憲法審査会の中で、必要かどうかというのもそこで判断していくということか。

【幹事長】
 そういうものが出てくるならば、ご提示があったりするならば、「なるほど、そうか」と思うものがあれば、当然、議論することもあるのではないでしょうか。

【東京新聞・我那覇記者】
 自民党の改憲草案がどういう扱いになっているのかはさておき、安倍政権下で憲法改正について議論すること自体は否定していないと理解してよろしいか。

【幹事長】
 現時点で、我々、憲法調査会を置いて党内の議論をやり、その議論をよりどころとして憲法審査会に臨むと。確かに今、安倍政権下です。ということをやっている、というのは事実、ファクトとしてあるのではないでしょうか。

○沖縄県うるま市長選挙の結果について

【朝日新聞・岡本記者】
 きのう行われたうるま市長選で、現職がそれなりの大差で3選を果たされた。選挙中、自民党の選対委員長等から物議を醸すような発言があったり、辺野古の工事も秒読みではないかと言われる中でのこの結果について、民進党としてどう受け止められているかお聞きしたい。

【幹事長】
 普天間の移設の問題、いわゆる基地の問題が、全く影響があるかないかというと、これはわかりませんが、ただ、直接基地にかかわる地域ではない。関係する地域ではないということは、やはり地域の政策課題に基づく有権者の判断なのだろうという受け止めをする。
 だから、これをもって、あまり自民党は有頂天になって県民の気持ちを逆なでするような進め方をするということに進んでは、逆にいけないと思います。

○東京都議会議員選挙について

【共同通信・下山記者】
 本日、民進党の山下太郎都議が離党届を提出された。都連の話にはなると思うが、離党届を出される方が相次いでいることの現状を幹事長としてあらためてどう受け止めるかということと、こうした離党届の扱いを今後どのようにされるか、お考えはあるかお聞きしたい。

【幹事長】
 そういう事態が今日もあったということは極めて残念としか言いようがないのですが、その届け出の扱い、対応というのは、これはやはり基本的には都連が判断することでありますので、その都連の判断を持ちたいと思います。
 一方で、歯を食いしばって公認候補として頑張ろうという人達もおりますので、我々党本部としては、そういう人達を応援するために、例えば名簿を国会議員の事務所単位で集めたり、この間、秘書会にも具体的な要請をしたり、近隣の県連に支援の要請をしたり、あらゆることもやっていますし、(22日)土曜日には蓮舫代表が八王子で都議選の応援を兼ねた街頭演説もやっております。党本部としても、公認候補全員がしっかり当選できるように応援していきたいと思います。

【テレビ朝日・村上記者】
 都議選で、離党した都議の処分に関しては、都連の中で結論を出さずに先送りするのではないかという話もあるが、党本部としての受け止めを伺いたい。

【幹事長】
 これはあくまで都連でどういう判断をするか、それは今、手続の途中だと思いますので、その判断をお待ちしたいと思います。

【テレビ朝日・村上記者】
 党で対策本部を設置したかと思うが、第1回目が3月に開かれ、こういった事態に対して具体的に都連とどの程度協議を行っているのかということと、今後、開かれる可能性があるかどうかについて伺いたい。

【幹事長】
 対策本部でのテーマではありません。都連との連携は、私ども執行部が連携しながらいろいろな意見交換をすることはありますが、対策本部自体は、さっき言ったように秘書会や県連、国会議員の事務所にお願いしたり、具体的に公認候補の応援をするその手段を確定して態勢をつくって行動するというのが対策本部ですので、第1回目の会議はそこで当面の方針を確認していますから、それをしっかり、粛々と行動に移していくというのが今の段階です。

【NHK・山枡記者】
 先ほど、山下都議の離党について、極めて残念だということだったが、あすもさらに離党届を出す議員があると聞いている。合わせて、36人立っている中のもう3分の1を超えるという形になってくる見通しだ。かなり多いと思うが、単発的な「残念」というよりも、こういうまとまった数としてこれだけの規模になったことをどう受け止めていらっしゃるか。

【幹事長】
 明日がどうなるかというのはちょっとわかりませんが、今日、新たに1人増えたことは事実ですので、残念ながらそういう傾向がずっと続いているということは、もう残念とかなんとかというレベルでないことは間違いないのです。ただ、そうは言いながらも、歯を食いしばって、公認候補として民進党の旗を立てて頑張るという20人以上の人達がいます。そういう人達がしっかり、逆に「残っていてよかった」と思っていただけるように結果を出すことが我々の仕事だと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 土曜日の11時半から八王子駅の北口で代表が街宣した。都議選を「重要な選挙」と位置づける代表の言葉があったが、その街宣車の上には都議選の候補者はいなくて、全部次の衆議院選の候補者だった。八王子には、安藤(修三・八王子市議・都議選候補)さんという方もいるが、この街宣というのははっきり言って何の意味があったのか。

【幹事長】
 形態はわかりませんが、代表が都議選の意義を語り、民進への応援を呼びかけた。これからもそれを各地でやっていくということになると思います、効果のあるやり方にしていきたい。私も立とうと思っていますので、しっかりいい態勢でやっていきたいと思います。

【時事通信・岸本記者】
 都議選の話であえて伺いたいが、執行部の責任というものに関してどうお考えになっているか。

【幹事長】
 執行部は、公認をした人達が当選できるように責任を果たすことです。

【時事通信・岸本記者】
 責任を果たすという意味で、公認された方々が3分の1離党し、それで本来フル回転で応援していただくはずの連合も「都民ファースト」を支援したり、そういったことに関して、やはりこれは地方選で都連の問題というふうに捉えていらっしゃるのか、それとも党全体の問題として捉えていらっしゃるのか。その部分について伺いたい。

【幹事長】
 地域の選挙、あるいは都議選に向けた政策、関係団体との(関係)構築、などは基本的には都連ですが、それだけでは十分な力にならないと思いますので、党本部も対策本部をつくって対応するということです。
 また、連合が「都民ファースト」支援という言い方をされましたが、連合は我が党の公認候補を応援するというのが一番だということを確認していますので、連合の姿勢に変化があるとは思っていません。

○「米国抜きでのTPP発効を模索」政府方針に関する報道について

【読売新聞・藤原記者】
 TPPだが、政府は、復帰をするようアメリカを説得するのを一旦諦めて、今後新たな枠組みで、アメリカ抜きの11ヵ国で発効を目指していく方針のようだが、この方針についてどのように考えるか。

【幹事長】
 「方針」なんですか。そういう報道は知っておりますが、そこまで固めているのかどうかということは、まだ明確には見えていないと思う。
 もしそういう方針ならば、事の是非は別として、今までは、アメリカ抜きのTPPには意味がない、とずっと言ってきたのではないでしょうか。それはどうなったのか。トランプさんが大統領になったらTPPについては引き続き粘り強く腰を据えて説得する、と言っていたのではないでしょうか。その転換の説明が何もなされていないと思います。ですから、「それが方針だ」と言われても、「はい、そうですか」ということではない。過去の、あれだけかたい言葉で表現した、アメリカ抜きのTPPには意味はない、と言ったのはどうなったのか、というところから国会などで質疑していかなければいけないと思います。

○天皇陛下の退位をめぐる議論について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 先週末に、今上陛下のご譲位についての総理の私的諮問機関から最終報告が出た。この内容について、とりわけ象徴天皇のあり方についての議論が抜けているが、その完成度も含めて、はたしてこの私的諮問機関でこういうことをやったことも含めて、国会はどこに行ったのだろうというところもあると思うが、野田さんの感想を伺いたい。

【幹事長】
 スタートから、有識者会議の名前(「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」)が、天皇陛下の公務負担を軽減するためのような、その名称自体が最初から議論の目的から外れているのではないかという印象を持っておりました。
 スタート時点の議論も、あまりにも、そのヒアリングの対象者が国民の世論から随分ずれた方が多いのではないかと思って心配していた動きでありますが、途中で、両院正副議長のもと立法府で議論をして、一定の制度設計の方向性はつくったと思います。それがきちっと、これからの法案の中に生かされていくことを我々は実現していきたいと思いますが、その後また再開した有識者会議の中での議論については、これはよく中身を、皇位検討委員会などで吟味をしていきたいと思います。

【日本経済新聞・林記者】
 21日の有識者会議の提言を受けて、近く政府が法案の骨子を示す見通しだ。先般取りまとめられた立法府の提言を踏まえて、天皇のお気持ちとすることや、女性宮家の創設についてきちんと盛り込むことの必要性について、幹事長はどうお考えか。

【幹事長】
 10会派が集まって両院正副議長が取りまとめられた合意というものを踏まえた対応を政府はするということが基本だと思いますし、大島議長から取りまとめ文書を総理に渡した時には、そのことをしっかりお伝えをしているはずです。厳粛に受け止めるということを総理もおっしゃっていると思いますので、それに沿ったこれからの動きにしなければいけないと思います。

○朝鮮半島情勢 国内の対応について

【フリーランス・上出記者】
 北朝鮮問題だが、火曜日の会見で高市総務大臣が、自治体、各都道府県にも呼びかけて、そういう避難の心得とか避難訓練を積極的にやるようにということを言っている。内閣府のホームページにも出ている。一方、直接最も距離の近い韓国の大統領選を見ていると、各候補とも平和的な対応ということを掲げていて、トランプさんが言っていた「あらゆる選択肢」、特に軍事的な圧力とか、こういうことについては割と消極的というか、そういう反応だ。日本とちょっと違う。そういう中で、実際にそういうことを押し出すことで安倍政権の支持率が、いろいろな問題が起きながら、逆に押し上げられているということもあるのではないかと思う。具体的に幹事長の立場から見て、この問題についてどのように対応していくべきとお考えか伺いたい。

【幹事長】
 憎悪が憎悪を呼び、恐怖が恐怖を呼び、不信が不信を呼んで、エスカレートしていくことが一番北東アジア情勢について、そして日本も一番これは不幸になることだと思います。それは避けなければならない。
 避けるために、北朝鮮に自制を促すための外交努力を関係国と緊密に連携しながら果たしていくことが、まず第一だと思います。そうは言っても(北朝鮮が)何をするかわからないという中において、今しっかり国民にいろいろな呼びかけをするということ自体は、否定をするものではありませんし、冷静に、どう行動したらいいかということはきちっと説明していかなければいけないと思います。
 ただ、その都道府県にいろいろな要請をしたり、あるいは説明会を開いていく中で、参加をした人からの質問に政府がちゃんと答えられないという場面が随分あるように聞いているのです。それではまた不安が広がるので、説明する以上はきちっと冷静に、落ち着いて対応するにはどうしたらいいか、そのためにはいろいろな質問にちゃんと答えられる準備を政府はしなければいけないということを付言しておきたいと思います。

【フリーランス・上出記者】
 実際にこのままだと本当に疑心暗鬼というか、危機感だけがあおられる状態。具体的に総務大臣の指示の仕方その他で、手続的に問題があるなとお感じになっている部分はあるか。呼びかけ自体は仕方がないと今おっしゃったが。

【幹事長】
 「仕方がない」というか、不安に思っている方もいらっしゃるわけですから、そのことを沈静化させるためにも冷静な分析をした上で、「こういう行動を場合によってはお願いします」ということを丁寧にやることは必要だと思うが、それがきちっとした納得感のある説明になっていないと不安だけ増幅されていく。逆に、ネット上の変なデマなどが出た時に、本当にパニックになったりするようなことが起こり得ると思いますので、そうならないような冷静な対応、また冷静な説明、丁寧な説明ということを心がけなければいけないだろうと思います。

○「共謀罪」法案に関する小西議員の投稿について

【フリーランス・安積記者】
 御党の小西洋之参議院議員が4月19日に、「共謀罪」に関して、共謀罪が成立すると本気で国外亡命を考えなければならなくなると覚悟している、というふうなツイートをされている。国会議員として、公人(衆人)の目に触れるようなこのようなツイートをされることについてはどういうふうにお考えか。

【幹事長】
 「国外亡命」と語っていたかどうか、ちょっと私も確かめてみなければなりませんが、とかくちょっと表現が過激になりがちなので、全体として、この問題も含めてよく指導していきたいと思います。