参院予算委員会で9日午後、安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議が行われ、民進党・新緑風会の2番手として小川敏夫議員が質問に立った。小川議員は、(1)自衛艦いずもによる米国軍艦の警護(2)森友学園に対する国有地売却――を取り上げ、安倍総理らの見解をただした。

 今月1日、安全保障関連法に基づき、平時から自衛隊が米軍の艦船などを守る「武器等防護」が初めて実施されたと報道された。海上自衛隊の護衛艦「いずも」が同日午前、横須賀基地を出港し、房総半島の沖合で米海軍の補給艦と合流、翌2日には護衛艦「さざなみ」も合流し、米軍補給艦との共同訓練として防護する任務が3日間にわたって実施された。

 小川議員は、この武器等防護をめぐり「米艦の警護をするよう指示をしたのか」「国家安全保障会議で議論したか」と迫ったが、稲田防衛大臣は「答えは差し控える」の一点張り。小川議員は、自衛隊法第95条の2では「自衛隊と連携してわが国の防衛に資する活動に現に従事しているものの武器を警護することができる」と定めていることから、「今回の米艦は自衛隊と連携していると見受けられない。自衛隊と連携した任務に従事している状況ではないので、もし警護命令が出ていれば法律違反の自衛隊の活動の指示をしたことになる」と指摘。加えて、安保法の審議の際に安倍総理は、国会承認や国会報告義務のない武器等防護についても国民に対し丁寧に説明する旨発言していたにもかかわらずこれが果たされていないと批判した。

 森友学園への国有地売却問題では、当該土地の8億円の値引きの根拠とされる「新たなごみ」をめぐり地下9.9メートルの深さに生活ごみが埋まっていることの根拠を質問。「かつて沼地だったから埋め立て過程で深いところにごみが入ったのではないか」と強弁する国交省に対し、小川議員は、2014年に行ったボーリング調査によって3メートルより深い部分は沖積層の地層であることが確認されているとして、「9.9メートルのところにごみが入らないことは科学的に明らかだ」と反論した。

 また、財務省がこれまで説明していた7カ所の掘削場所は事実ではなく、業者が試掘した場所や箇所数は特定できずに大量のごみが存在していたという記録しかないこと、ごみの混入率47.1%は敷地の60%のうち試掘した中のごみが出ている部分のみを算入したものであることなどを問題視。森友学園の幼稚園での安倍昭恵夫人の講演にも触れ、真相究明に向けてあらためて参考人招致を求めた。