党役員会見に関する基本的な方針について

蓮舫代表記者会見

2017年5月11日(木)16時00分~16時25分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=nZECdN1GGAw


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○テロ対策強化に関する独自法案の国会提出について

【代表】
 まず一つ私達の法案の報告ですが、きょう(11日)この後、夕方から臨時のNC(次の内閣)が予定されています。そこで了承いただきましたら、私達としては現実的なテロ対策の強化法案(「航空保安法案」「組織的犯罪処罰法改正案」)を国会に提出する予定としています。
 なお、一部メディア等では政府の「共謀罪」の対案という書きぶりがあるようですが、全く別次元の法案であり、現実的なテロ対策を強化する民進党の案だということはあえて付言をさせていただきたいと思っております。


■質疑

○憲法改正をめぐる安倍総理発言について

【TBS・永沼記者】
 安倍総理の例の改憲発言について、きょう議運の理事会で萩生田官房副長官が説明、お話しされたが、これについての受け止めと、今後、憲法審査会をどういうふうに持っていくべきなのかというお考えについて伺いたい。

【代表】
 まさに国会の動かし方というのは議院運営委員会でお決めになることでございますので、具体的に政府から説明を受けて、与野党の国対がそれぞれどのように判断するのか。また、現場で憲法審査会の幹事会がどのような判断をしていくのかは、一義的には国対に任せてあります。

【日本テレビ・古谷記者】
 萩生田官房副長官は、読売新聞を熟読してくださいというこの前の発言については、これは(自民党)総裁としての発言だったと。でも一政党としての考えを国会の審議の場で述べるべきではないと、そういうための趣旨だったと説明しているが、この説明に代表は納得されるか。

【代表】
 その説明を素直に「うん」と言えるような答弁だとはとても思えません、予算委員会で実際に総理と向き合った時には。

【日本テレビ・古谷記者】
 この「総裁」と「総理」の立場の使い分けというのは以前から問題になっていて、今後も続くのかなと思うが、総理は以前から、行政府の長としては国会の場で憲法改正について発言するべきではないというお考えで一貫してきて、一方で院外、国会の外では、総裁としての憲法改正に関連する発言を繰り返してきている。この立場の使い分けは非常に難しいとは思うが、安倍総理がそういった立場の使い分けをしていることについて代表はどうお考えになるか。

【代表】
 「総理」「総裁」を使い分けしているのは全く理解ができません。政府・与党一体のまさに議院内閣制でありますから。しかも安倍総理は、去年以前は国会において、私達からの、あるいは他の野党、与党からの憲法改正の質問に対してお答えになっている事例がありますので、なぜ急に「総理」「総裁」を使い分けて答弁をされるのか。整合性はとれないと思っています。

【NHK・花岡記者】
 きょう自民党の中からも、9条に3項をつけ加えることについては、石破さんが、勢いで改憲というのは絶対にやってはいけないのだと。おそれを持って、ただし勇気を持ってその改憲に臨まなければいけないと、総理に対してちょっと釘を刺すような発言があった。閣内からも、岸田外務大臣が、9条にすぐ手をつけるべきではない、すぐ改正をするのはどうかというような発言があった。総理は、民進党のほうにも改憲案を出すべきだと求めているが、足元の自民党のほうから総理の改憲案について異論が出ている現状をどうご覧になっているか。

【代表】
 閣内からも総理と違う意見が出ていますし、自民党の中でも、いわゆる大物と呼ばれている閣僚経験者の中からも正面切って総理と違う意見が出ている。あるいは憲法審査会の幹事もお務めの方からも違う意見が出ているというのは、まず党内をまとめていただきたい。それを最優先とするべきではないのかと思います。
 他党のことなのでよくわかりませんけれども、総理がどういう思いで9条について発言したのか、その部分でも国会で問わせていただいても全く答えないということですから、それについて評価できませんが、いずれにせよ「自民党内、まだバラバラですね」という受け止めであります。

【NHK・花岡記者】
 9条に3項を加憲するというそのやり方そのものだが、1項・2項を残したままで3項を付けたとしても、2項がある限りは3項・自衛隊を付けたとしても、その自衛隊の根拠というのはかなりあいまいになるのではないか、あまり意味がないのではないかという指摘もある。3項を加憲するというやり方は、民進党の中にもいろいろ意見はあると思うが、代表個人としてはこのやり方についてはどうご覧になっているか。

【代表】
 自衛隊は合憲でありますから、それを、なぜそこだけ取り上げて9条に明記するのか。私、予算の時にも申し上げましたが、ちょっとよくわからないです。
 党内には憲法調査会がありますので、それを乗り越えて私が上から「こうだ」と言うような(ことではなく)、私達の政党は自民党と違う文化ですので、党内でどのような考えがあるのかは丁寧に聞きたいとは思います。

【フリーランス・安積記者】
 この件について、代表も参議院の予算委員会で総理に対して質問されていたが、読売新聞を読んでもらったらわかるという総理の発言だが、(自民)党内からも、例えば石破さんが、読売新聞を読んでもよくわからないという発言をされたが、代表は読売新聞をよくお読みになったか。そして総理の言っている意図というのが、それでよく理解されたのか。

【代表】
 よく読みました。ただ、意図がわかりません。
 それ以前に、予算(委員会)でも聞きましたが、総理官邸で取材を受けていて、「首相インタビュー」というタイトルで9条改憲の方針を語られているにもかかわらず、国会でご説明にならないという姿勢そのものがやはりわからないと思います。

【産経新聞・奥原記者】
 憲法9条に関する話だが、民主党時代の平成17年には「憲法提言」の中で、「制約された自衛権」の明記をうたっていた。今それが生きているかどうかは別にして、自衛隊を憲法にどう位置づけるかということは一つ御党にとっても重要なテーマであると思うが、首相が3日に提案した、9条に自衛隊の存在を明記するべきだという、そこについて党代表としてどういうふうにお考えになるか伺いたい。

【代表】
 党の憲法調査会の中で個別なテーマを掲げて、これまで党内で議論をしてきています。学者の方にもお越しをいただいてご意見を拝聴しながら、平場での審議を進めてきていて、これまで聴取したのは、7条の解散権の問題であるとか、地方分権であるとか、緊急事態条項等と聞いておりますので、まだ9条には至っていません。
 もちろん審議そのものも否定をしていませんし、枝野幸男調査会長のもとでこれからも議論をしていく中で、当然、例外にするものでもないと思っています。

○「共謀罪」法案の審議について

【テレビ朝日・延増記者】
 「テロ等準備罪」、いわゆる「共謀罪」の質問だが、自民と日本維新の会が「共謀罪」について修正案の協議を行っていて、今、最終調整が行われている模様だ。IR法案の時もそうだったが、与党からすると強行採決を避けるために一つ常套手段という指摘もある。この今の自民と維新の協議について蓮舫代表はどのように思われるか。

【代表】
 協議以前に、政府が出してきた「共謀罪」は全くテロ対策のためでもありませんし、中身についても、政府が言っていることが衆議院の法務委員会で全て不安な答弁になっています。「一般人は対象にならない」と言っても、決してそうではない、嫌疑がかけられた場合には対象になる。何をもって嫌疑か、その捜査手法あるいは監視という手段はどうなのかについても、担当の金田法務大臣の答弁が不安定でありますから。277もの(犯罪を対象とする)法案に、こうした内心をまさに脅かすような、あるいは実行準備行為も外形的な持ち物によって判断するという、捜査側の極めて恣意的な判断によって一般の方に疑いがかけられる、冤罪のリスクというものもありますので、修正以前の話です。廃案しかないと思っています。

【フリーランス・横田記者】
 今の質問に関連して。維新の役割は対案路線と言いながら、実際は談合、水面下で協議をして決めると。本来であれば、2年前の安保法制の時と同じように、維新はちゃんと独自案・対案を出して国会で協議するべきだと思うが、今の維新の政権補完勢力的な役割についてどうお考えか、ご意見を伺いたい。

【代表】
 他党のことなので、よくわかりません。
 ただ、やはり国民の皆さんには各政党がこの「共謀罪」についてどのような対応をしたのかは、よく見ていただきたいと思っています。

【朝日新聞・中崎記者】
 与党側は、審議時間が間もなく30時間に達するということで、週明けにも衆院の本会議で採決するというような話も聞こえてくる。民進党としては、「共謀罪」はテロ対策ではないという主張のもと、今、別の法案の準備をされている中だと思うが、政府・与党側の、もうスケジュールを事前に決めているような対応についてはどのようにお感じになるか。

【代表】
 刑法の大原則は、行為そのものがあるかどうか。まさに既遂、未遂、重大犯罪に限っては予備というものも刑法の中には設けられていますが、基本的には行為そのものを処罰されるものであります。
 政府の提案している「共謀罪」というのは、行為そのものが存在していないにもかかわらず罰せられる法案が含まれています。それは例えば未遂罪がないものでも、「共謀罪」が入った場合には、心の中の計画、それと実行準備行為だけで罰せられるという、まさに刑法の大原則を大きく変える法案でありますから、何をもって30時間で審議が十分だと判断をするのか。そこは少し考え方が傲慢ではないかと私は思います。
 やはり刑法というのは一般の方が対象になる、その時に、それは抑制的でなければいけないと思っていますので、新たな法体系、新たな刑法の考え方、原則を揺るがすものを入れるのであれば、やはり国民が納得するまで丁寧に丁寧に、丁寧な審議を尽くし、しかも担当大臣がちゃんと法案を理解して堂々とご答弁をいただかなければいけないと思っていますので、その二つ抜きにこの法律案を強行採決しようとする姿勢は、おごりでしかないと思っています。

【フリーランス・堀田記者】
 「国民が納得していない」と代表はおっしゃった。納得したかどうかということは、民進党もしくは代表のほうから、例えばアンケート等を求めて納得の度合いとかを図るという時があるのか。つまり、民進党側が納得していないということと、自民党・公明党が納得しているというのは、いろいろとギャップがあると思うが。

【代表】
 どの法案もそうだと思いますが、委員会の現場で与野党の筆頭同士が話し合いをして、すれ違う時期というのはあると思う。こちらは「そろそろ採決だ」、こっちは「もう少し審議をしましょう」、世論が違うではないか。その時に使う調査の例えば誤差もあるかもしれませんが、少なくともここでしっかりと丁寧に、お互いが合意をするように努力をするという文化が積み重ねられてきているわけです。
 ただ、残念ながら今の政権は過去の先人達が積み重ねてきた前例を無視して、「もう時間だから、ここで終わりだ」と、いきなりドアを閉めて強行採決に向かうというのが、去年の臨時国会でも3連発でありました。それを受けて衆議院議長が、より丁寧な国会審議を与野党に望むというような声明もお出しになられましたので、いついつが「国民が納得した」と私達野党側から提示することではなくて、やはり与野党の丁寧な協議、信頼関係があって国会というのは運営されていくものだと思っています。

○テロ対策強化に関する独自法案について

【朝日新聞・中崎記者】
 「共謀罪」の審議が、採決を週明けにもするというような話が出る中で、対案ではないと冒頭でもご発言があったが、このタイミングでテロ対策について民進党として法案を出される狙いについていま一度伺いたい。

【代表】
 本当に必要なテロ対策とは何か。それを具体的に国民の皆様方にお示しすることが大事だと思っています。
 空港の保安を強化する、まさに水際対策で人の出入りをしっかりと見ていく。あるいは、組織的犯罪行為というものに対してパレルモ条約は網をかけているわけですから、その部分では組織的詐欺であるとか、あるいは人身売買であるとか、こういう現実的に今の法体系では不備があると思われる穴を塞ぐことによって、国民の皆様方のテロに対する、「何かあった時」の「何か」あってはいけないために、しっかりと法律でそれを防止することができるのだ、と訴えることのほうが今大事だと私は思っています。

【フリーランス・横田記者】
 「共謀罪」の対案提出に関連して。時期的にはいつごろになるかということと、維新も修正協議をやっているのであれば、維新にも対案を出すことを呼びかけて、与党と、民進党、維新の案でそれぞれ議論するのがあるべき姿ではないかと思うが、提出時期と維新への呼びかけについて伺いたい。

【代表】
 きょう(11日)この後、夕方から臨時のNCが開かれますので、そこで仮に了承された場合には、速やかに国会に提出していきたいと思います。
 どの野党に働きかけるかも含めて、それは政調、あるいは、続いては国対の判断になってくると思います。

【東京新聞・我那覇記者】
 きょう夕方、NCで了承される見通しの「共謀罪」の別案について、純粋に「テロ対策」と言い切れるのは航空保安法のほうかなという気がするが、これはおそらく航空機を主眼にしていて、同じような話で言えば例えば船舶とか鉄道なども同様に危険性はあるのかなと思うが、これでテロ対策は十分なのか。おそらく十分ではないと思うが、今後どういうふうに御党としてテロ対策に取り組んでいくのか伺いたい。

【代表】
 日々、テロの手法というものがどのようになっているのか。あるいは、仮に政府の出している「共謀罪」にテロ対策という考えが入っているのであれば、ローンウルフ(型テロ)には対応できていません。その部分では不備であると思えるようなものがわかれば、その瞬間に、立法府の一員である私達はどうすればそれを予防することができるのかは、常に考え続けるものだと思っています。
 ただ、今回、時間的制約とか、あるいは緊急性があると思われるものも含めて、政調の中で議論をして、まずは航空保安法等を出していこうという考えにいたった。でも、これで終わりというわけではないと思っています。

○天皇の退位等に関する皇室典範特例法案について

【読売新聞・森山記者】
 退位の関係だが、きのう特例法案の要綱が示され、間もなく閣議決定がされ、今後どういう議論の形があるかというのが焦点になると思う。特別委員会や内閣委員会などいろいろな意見があるが、どの辺を考慮すべきだと思われるか。

【代表】
 付託される委員会については国会が判断することになると思うのですが、やはり少数会派の意見もしっかりと反映されること。それと国民の皆様方がしっかり知ることができる、記録としてしっかり残し情報公開に資すること。委員長提案のように、まさに審議もしないでそのまま通すということがあってはいけない。こうしたものを考えた上で、どの委員会が適切かを国会が判断することだと思います。

○文在寅(ムン・ジェイン)韓国新大統領の就任について

【共同通信・野見山記者】
 韓国で新たな大統領が誕生し、先ほど電話首脳会談が安倍首相との間で初めて行われた。日韓間で、慰安婦の日韓合意の遵守や、北朝鮮への対応などいろいろ課題があるが、どういう日韓関係を求められるか。

【代表】
 隣国であり、大事な友好国だと思っておりますので、政権交代を受けて、外交で合意をしたことがまた後ろ向きに戻ることのないように、それは政府にも韓国政府にも努力を要請したいと思いますし、我々ができる努力あるいは協力事項があるのであれば、それは議員外交も通じて友好国の関係を維持するための努力はしていきたいと思います。

○待機児童問題について

【フリーランス・横田記者】
 待機児童問題を悪化させるタワーマンション急増問題について伺いたい。去年3月に民進党の待機児童緊急対策本部のヒアリングの時に、中央区に住む母親の方が、隣に1000戸くらいのタワーマンションができて、そこに保育園がセットになっていないと。一応、隣に(定員)50くらいの保育園ができるが、ますます待機児童問題が悪化してしまうと。民進党として、例えばマンション規制を強化するとか、タワーマンションを建てる時にはセットにしないといけないとか、あるいは何らかの縛りをかけるようなことについてはどうお考えになっているか。都議選のテーマにもなると思うし、これは小池知事とも連携して取り組む課題ではないかと思うので、ご意見を伺いたい。

【代表】
 現段階で、今ご指摘いただいた問題について、党内のPTあるいは厚労部門会議等で議論の俎上に上がっているとは聞いていません。問題認識はあるかもしれません。
 ただ、私達として、党として決定した事項は、まず保育士不足が待機児童問題の最大の原因だと考えていますので、保育士さんのお給与、職場の環境改善を最優先することによってまずは待機児童を減らしていきましょう、というのが私達の考え方です。

【フリーランス・横田記者】
 おっしゃる点は非常に重要だが、一方で深刻化させるタワーマンション建設を野放しにしておくと需給のギャップがますます広がって問題がいつまでたっても解決しないと思うが、これは都に聞いても中央区に聞いても実態調査をしていなくて、実際どれくらいの需要があって、待機児童数になって、保育園がどれくらい追いつくかの調査すらしていないという状況だ。これは民進党として、調査あるいは取り組みを始めるべきではないかと思うが、意気込み等を伺いたい。

【代表】
 論点としてはお預かりをします。

○東京都議会議員選挙について

【読売新聞・森山記者】
 都議選の関連だが、党内の一部で、民進党に離党届を出した後に都民ファーストの推薦を受けた人に関して、民進党としても推薦を出すべきではないかという意見があるやに聞いているが、それについての代表の考えをお聞きしたい。

【代表】
 一義的には公認等は都連が判断することでありますので、私から何か言う話ではないと思っています。

【フリーランス・堀田記者】
 都議選に関して、民進党の公認候補者が離党して、以前、二連(ポスター)には貼っていなかったのが、離党してから「無断で貼るな」というのがペタペタと顔に貼られていて、二連の元職のところにも貼られている。これはまさか蓮舫さんが命令したのではないと思うが、要するにこれを快く思っていない民進党の支持者がいると思うから、そのことだけ申し上げておきたい。泥仕合が始まっているので。
 それからもう一つ。来週の月曜日に長島さんの勉強会があるが、これに参加した民進党の議員に何かペナルティを加えるとかいうお考えはあるか。

【代表】
 全く初耳のことばかりだったので、持ち帰ります。