連合院内集会

 野田幹事長は12日、連合が国会内で開いた「新・共謀罪の取り下げを求める連合5・12院内集会」に出席し、民進党を代表して決意表明を行った。本集会は、安倍政権のいわゆる「共謀罪法案」の抱える問題について連合全体で認識を共有し、法案の取り下げを求めて民進党との連携強化をはかるための集会で、党所属国会議員や秘書なども多数参加した。

決意表明する野田幹事長

決意表明する野田幹事長

 野田幹事長は、連合とその構成組織による日頃からの党への協力と本集会開催にお礼を述べた上で、「民進党は共謀罪法案の廃案を目指して全力で取り組んでいる。そもそも政府は国際組織犯罪防止条約(TOC条約)締結のため法案成立を、と強弁するが、現行法体系のままで条約締結は可能と考える」と表明。また民進党などが11日に衆院に提出した独自のテロ対策法案について「テロ対策に万全を期すことは言うまでもない。そのため昨日、党独自のテロ対策法案を提出した。組織的な人身売買や詐欺を防ぐための予備罪創設や航空機ハイジャック防止を強化するための法案で、実効性あるテロ対策として大いに主張する」と説明した。

 政府の共謀罪法案の問題点について野田幹事長は、「テロ対策との美名を使っているものの政府案はテロ対策に全く直結していない。過去3度廃案になった共謀罪と何も変わらず現在審議していることを大事な点として共有したい。さらに、昨夏参院選中の大分県警による隠しカメラ事件を思い出してほしい。本事件で県警は不適正な捜査を認め関係者の処分と再発防止に努めるとしたが、共謀罪法案が成立すれば捜査機関の恣意的な運用によって違法捜査が合法的なものとされる可能性は十分ありうる。スマホやパソコンでのラインやネットも監視対象になって1億総監視社会つくる契機につながる。要は共謀罪の本質は国民を監視していくことに最大の懸念がある。」と述べた。その上で「民進党は、自由・共生・未来への責任を結党の理念としている。共謀罪は自由を脅かす法律だ。内心の自由、表現の自由、集会結社の自由を脅かす可能性大だ。したがって民進党は断固として廃案に向けて全力を尽くす。われわれの一番の応援団である連合の皆さんにもこの思いをご理解いただき後押ししてほしい」と力強く決意表明した。

 枝野幸男党「共謀罪」対策本部長は、国会情勢を報告した。「国会審議を通じて、答弁が支離滅裂なのは法務大臣のみならず、法務省役人の答弁も支離滅裂だということが明らかになった。まともな審議時間はこれまでの審議の3分の1か4分の1程度だ」「われわれのテロ対策法案は共謀罪法案の対案ではない。共謀罪はいらないので、それとはまったく別次元でテロ対策に緊急に対応しなければならない独自法案だと共有していただきたい」と説明した。

 さらに枝野議員は、「連合の皆さんに特に深刻に考えていただきたいことは、共謀罪の対象の別表に「業務妨害罪」があることだ。現在、皆さんの基礎となる労働組合法には、業務妨害の形式的な行為があっても適正な組合活動であれば違法性を阻却すると書いてある、つまり労働運動は形式的には業務妨害に見られかねないことを常に伴うものであるが、適正な労働運動をそれで違法だとしてはいけないとわざわざ法律に書いてある。ところが政府案では、組織的犯罪集団にあたるかあたらないかの対象犯罪の中にこの「業務妨害罪」が入っている、まさにターゲットは労働運動だということをぜひ共有してほしいし、何とか法案取り下げに向けわれわれに力を貸してほしい」と訴えた。