衆院法務委員会で12日に行われた共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)の質疑で、枝野幸男議員が法案の矛盾を指摘した。

 枝野議員は、強盗予備罪の法定刑を林刑事局長に質疑。林刑事局長は、「強盗予備罪は2年以下の懲役。強盗を対象犯罪とするテロ等準備罪(共謀罪)は5年以下の懲役または禁錮」と答弁。なぜ、共謀罪の方が刑が重くなるのかという問いに対しては、「犯罪集団が計画し、実行準備行為まで行う違法性と単独の予備行為を比較した場合はテロ等準備罪の違法性が高い認識を持っている」と組織的に計画し犯罪が実行されるため違法性が高いと理由を説明。これらの答弁を受けて、枝野議員は、「逆転しているものがないか」と指摘。「同じ組織的に行われる犯罪であっても、犯罪実行に至るまでのプロセスが複数の幹部で相談して計画をして進めた場合は、共謀罪で5年以下の懲役または禁錮。ところが組織を使っても1人のリーダーがトップダウンで誰にも相談せず指示したら、予備段階まで行って初めて2年以下の懲役。明らかに矛盾じゃないか」と同じ組織犯罪でも刑の重さが違う事例があることを指摘した。これに対して林刑事局長は長々と答弁するが、枝野議員は「論点をずらしている」と述べ、「270いくつもの新たな犯罪をつくるのだから、1個1個われわれも大至急調べているが、もう1度撤回してこうした矛盾が生じないように精査を最低限やってもらわないとおかしい」と法案を撤回するよう強調した。

 また、枝野議員は犯罪の実行に着手したが、途中で気が変わって犯罪の実行を中止した場合にも言及。「殺人の故意で実行に着手したのち、自分の意志で中止して人の死に至らなかったが傷害は成立している。中止未遂か」と質疑。この場合の処遇を林刑事局長は、「実行着手に至っているが、致命傷を与える打撃の前に中止している。こういった場合に中止犯が成立する」と答弁。続けて枝野議員は共謀罪が成立しているが殺人などの犯罪の実行の着手に至らなかった場合の処遇を聞くと、林刑事局長は「テロ等準備罪についてはすでに成立しているので、その刑事責任は免れない。その者が自首した場合は刑の必要的減免が認められる」と自首しなければ中止犯が認められないことを説明した。これについて枝野議員は、「やっぱりラフなつくりだと思う」と法案を批判。「自首しないと必要的刑の減免を受けられないならば、実行の着手まで行った方がいいのかなとならないか」と述べ、「そもそも一般人が対象になるかならないのか以前の問題として、この法案は欠陥法なので、出し直して整理し直さないととてもではないがまっとうな刑事法制にならない」と共謀罪法案の作り直しを訴えた。

枝野議員