党役員会見に関する基本的な方針について

江田憲司代表代行記者会見

2017年5月12日(金)14時04分~14時22分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=cGuAMLHb0AY


■質疑

■冒頭発言

【代表代行】
 本日、私のほうからはございません。


■質疑

○「共謀罪」法案の審議について

【時事通信・岸本記者】
 「共謀罪」に関して、自民・公明・日本維新の会の修正協議で合意した内容をもしご存じだったら、受け止めを伺いたい。

【代表代行】
 報道でしか知りませんが、あえて「共謀罪」がはらむ核心の問題点を避けた修正のための修正をやったのでしょうね。その裏には何らかの取引があったのか、なかったのか。その程度の修正だと思います。

【共同通信・下山記者】
 今、案そのものに対する評価というか見解だったと思うが、こうした与党との修正協議に臨む日本維新の会のスタンスというか、ビヘイビアをどのように思っていらっしゃるかということと、代行から見て日本維新は与党か野党かという、その判断は何かあるか。

【代表代行】
 それは私から何か申し上げるまでもなく、これまでの、安倍官邸や自民党との関わり方を見れば、おのずから明らかなのではないですか。

【時事通信・岸本記者】
 与党側からは、もう17日に委員会採決という声も聞こえてくるが、もしそうなった場合は金田大臣の不信任決議案も辞さない構えで臨まれるのか。

【代表代行】
 もし(採決が)強行されるようなことがあれば、当然、視野に入ってくると思います。

【東京新聞・我那覇記者】
 最初にお話しになった点について確認だが、自・公・維の修正案について、「核心の問題点を避けた」とおっしゃっていたが、どの部分を指しておっしゃっているのかお聞きしたい。

【代表代行】
 TOC条約というのはテロ対策のための条約ではございません。これは条約事務局も明言しているところでございます。それをあえて「テロ対策」と銘打って、その美名のもとに、私、何度も言います、きれいな包装紙に包めば中身は毒まんじゅうでも国民は食べてくれるだろうと。これはある意味で安倍総理のこれまでとってきた常套手段。だからこそ我々は先般、本当の意味でのテロ対策強化法案というものを提出しました。
 一方で、この「共謀罪」というのは、このTOC条約にかこつけて捜査当局が長年の望みだったことを実現しようという、極めて内心の自由を侵しかねない、罪刑法定主義の決め方としても非常にあいまいな、しかも投網をかけるような案になっている。
 安倍総理のおっしゃるように、テロ対策をやるのだ、オリンピック・パラリンピック対策でテロ対策を強化するのだということであれば、我々もそれにしっかりと協力していきたいという意味で、先般、具体的なテロ対策と組織犯罪対策を進めるための独自案を出させていただいたところでございます。

○「次の内閣」安全保障調査会 岡田会長の就任について

【読売新聞・重松記者】
 安全保障調査会の会長に岡田克也さんが就任された。これに関して2点伺いたい。これまで、北澤先生が引退されてから半年間空席だったが、これはなぜ空席だったのかということと、もう1点が、岡田会長に今後、安保調査会における議論をどう進めてほしいと期待されるかと伺いたい。

【代表代行】
 本来は空席であるべきではなかったので、その点については反省すべきところは反省しなければいかんと思いますが、今般、岡田克也さんという、長年この安全保障政策に関わってこられた方を据えたというところで、特に最近、北朝鮮の核・ミサイルの脅威というものが現実、目の前の問題としてある中で、我が党としてもしっかり、日本防衛のため、周辺危機の対応のために万全を期すという意味で、岡田さんに会長を引き受けていただいたということでございます。
 よく、民進党は平和安全法制に対する対案がないではないかと、昨年の参院選の野党4党で共有した政策の中で「安保法制の廃止」ということだけが取り上げられて、何か民進党が共産党と同じように安保法制廃止だけが政策なのではないかと、誤解して書く向きもあるのですが、それはとんでもない間違いだということを申し上げておきたいと思います。しっかり対案として周辺事態法改正案、PKO法改正案、さらには、一番我々の喫緊の課題である北朝鮮の核・ミサイルの脅威、中国の海洋進出等々に対応した領域警備法案というのも出している。一方で安倍政権は、一番の喫緊の課題である日本周辺の危機事態に対しては全く法案対応せずに、電話で閣議を迅速に開くという単なる運用改善だけに留まっている。ぜひとも、こういうコントラストというものを正確に報道していただきたいなと思っております。

【読売新聞・重松記者】
 「空席であるべきではなかった」ということだが、何か特段の党内の事情があって、この間空席だったのか。

【代表代行】
 特段の事情があったとは聞いておりません。

○憲法改正をめぐる安倍総理発言について

【朝日新聞・斉藤記者】
 憲法の話だが、安倍総理が各党に改憲の具体論をという趣旨の話もあるが、民進党はどのような党内論議、どのような運び方をすべきだと思われるか。

【代表代行】
 民進党は、綱領を見ていただければわかるのですが、時代の要請に応じて憲法を変えていくということについては、全くやぶさかではございません。しっかり明記しています。
 しかし、この憲法改正には莫大な政治的エネルギーが要るわけです。今、日本が直面している最大の政治課題、国政の課題とは何でしょう。それはまさに「2025年問題」と言われるように、団塊の世代が2025年には後期高齢者、75歳以上になる。800万人もの人ですよ。そして医療費は現在39兆円が53兆円、年金の支払い費は58兆円が62兆円、介護の負担費は11兆円が20兆円、こういった社会保障に関する対応ということが国政の最大課題なのですよ。そんな、憲法改正に莫大な政治的エネルギーを投入する暇があったら、まさに社会保障制度の抜本改革にそれを入れ込むべきだ。憲法改正、時代の要請に応じてしていくことは、私もそう思っておりますが、端的に言うと、国政の優先課題としては極めて低いということではないでしょうか。
 3月のNHKの世論調査でも、「国政の優先課題は何か」という問いに、国民は、まず「社会保障や福祉政策」と答えた人がトップで62パーセント、「景気・雇用対策」だと言った人が55パーセント、「少子化対策・教育政策」だと言った方が37パーセント。それに引きかえ、「憲法改正」だと言った人はたった6パーセント、最下位です。私は政治家の前に一国民ですが、まさに国民の思いというものを私・江田憲司も共有しております。
 ですから端的に言えば、憲法改正の前にやるべきことがあるだろうと。社会保障制度の抜本改革もできないような政党や政治家に憲法改正を語る資格はないと私は思っております。

【読売新聞・重松記者】
 総理は9条改正について表明されているが、これに関しては、先ほどもおっしゃったように、優先順位から考えると民進党内で議論する必要はないとお考えか。

【代表代行】
 何のための9条改正なのでしょうね。あの安倍総理のご発言を聞いていると、3項に自衛隊を位置づけたいと。じゃあ、それで何か実態が変わるのですかというと、全く変わりません。一体これ、どういうことなのですかね。まさに改正のための改正なのではないですか。こんな意味のない改正のために莫大な政治的エネルギーを投入する必要は全くないと思いますよ。
 そして申し上げたいことは、この憲法9条の解釈。これは確かに憲法学者の7、8割は、今の文言解釈からすれば「違憲だ」と言う方が多いですよ。私も大学の法学部で芦部信喜先生という憲法学会の重鎮から、「自衛隊は、今の文理解釈上、憲法違反だ」ということを教わりました。しかしですね、政府は長年、戦後本当にガラス細工のように積み上げてきた解釈によって、「合憲」としてきたわけです。我々民進党も、私も、そう思っております。
 その積み上げてきたガラス細工をぶち壊したのが、あの平和安全法制なるものではありませんか、安倍総理ではありませんか。こういう時に9条の議論をする、改正に踏み込むということは、パンドラの箱をあけることになるのではないですか。より一層、混乱に混乱を、拍車をかけるのではないですか。とても国民的コンセンサスは得られないと思いますよ。だから、どうぞ勝手に言ってください、自民党内からも不協和音が出ているではありませんかと。安倍総理は在任中に憲法改正をして歴史の教科書に載りたいという思いがあるのでしょうけれども、そんな思いで憲法改正、9条改正に触れてほしくない。
 まさにああいう、自民党政権時代も含めて、集団的自衛権の行使は違憲なのだと言ってきた。私も橋本政権の政務担当秘書官をやっていましたが、当然、集団的自衛権は憲法違反だと思ってきた。それを、あの詭弁によってぶち壊したのが安倍政権なので、私はあながち「安倍政権下での憲法改悪に反対」というのは間違っていないと思いますよ。憲法改悪ですよ、改正ではなくて。そう思いませんか。こんなところで、しかも護憲派と改憲派が今でも先鋭に対立している中で、平和安全法制で国民の中で大きな分断がある中で、大きな傷がいえていない中で、こんな憲法9条改正の論議をしたって何の進展もないと思いますよ。それが私の考えです。
 それから、民進党だけに何か「考えがバラバラではないか」と、特定の人を取り上げて報道する向きもありますが、自民党だって憲法9条の改正反対と言っているではないですか。今する必要はない、と言って。岸田外務大臣が筆頭でしょう。岸田さんだけではないですよ。この憲法9条に対する思いというのは、国民一人ひとりで違うと思いますよ。国民的コンセンサスが得られるような状況では全くないと思います。
 ですから、最後に端的に言うと、おそらく安倍総理は憲法改正論議を促進したいと思っておっしゃったのでしょうが、逆にこれは障害になっていると言わざるを得ません。

○今国会の会期について

【フリーランス・田中記者】
 江田さんは、会期延長はどうご覧になっておられるか。

【代表代行】
 会期延長は、これから国会で状況を見ながら与党が考えることではないでしょうか。我々としては、会期内でしっかりと役目を果たすということです。

○神奈川県横浜市長選挙について

【読売新聞・阿部記者】
 横浜市長選について伺いたい。これまで代行は、カジノに反対する人を支援していくというような考えを表明されていたと思うが、あらためてそれに変わりはないかということと、現職の林市長のカジノに対するスタンスというものをどう見ていらっしゃるかお聞きしたい。

【代表代行】
 前にも申し上げましたが、横浜の場合は具体的に山下埠頭倉庫跡にカジノを誘致しようという動きがあるのですね。ですから、好むと好まざるとにかかわらず、7月30日に行われる横浜市長選では最大の争点になると思います。その意味で、私は、民進党もそうですが、「カジノ反対」を明言する候補者を支援していきたいと思います。
 ただ、今現在お一方が手を挙げておられますが、現職の方も含めてまだ立候補表明もされておりませんので、候補者が出そろった段階で、それぞれ仮に民進党に推薦等々支援を要請してくるならば、その方のお考えを聞いた上で、今の基本線に沿って支援するかどうかを決めていきたいと思います。

【読売新聞・阿部記者】
 今おっしゃった現職と既に名乗りを上げている人以外で、カジノに反対する人の擁立、そういったことを目指していく考えは代行自身お持ちか。

【代表代行】
 私自身がどうこうすることはありませんが、まだ時間がありますから、これからどういう方が手を挙げられるかわかりませんから、私の今のポジション、代表代行というポジションで言えば、まず横浜市議団、総支部長会議、県連、そして党本部、というプロセスを経て推薦云々が決まっていくと。民進党の場合は、知事や政令市長(選挙)は党本部にその決定権限があるということでございますから、私は代表代行としては県連から上がってきた段階でしっかり議論させていただいて、判断をしたいと思います。