党役員会見に関する基本的な方針について

野田佳彦幹事長記者会見

2017年5月15日(月)15時01分~15時26分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=OpyjUkFu3wA


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○自衛隊機の連絡途絶について

【幹事長】
 報道によりますと、北海道で自衛隊機が、機影がレーダーから消えたということであります。4名の乗員が乗っているということでありますが、無事を祈りたいと思いますし、まずは安否の確認を早急にしてほしいと強く思います。

○天下り問題・南スーダンPKO日報問題などで政府に説明を強く求める

【幹事長】
 通常国会、いよいよ会期末まで残すところ約1ヵ月という状況になってまいりました。これまで天下りの問題や、あるいはPKO日報の問題、森友の問題などについて政府側に強く説明を求めてきましたが、残念ながら、まだそれぞれ事実の解明が進んでおりません。
 その中で、天下り問題については既に調査報告書も出てきたわけでありますので、予算の審議中にこれはおおむね合意をしていたはずでありますが、あらためて予算委員会の集中審議を強く要求したいと思います。
 また、PKO日報に関しても、特別監察についても稲田防衛大臣は中間報告を行うと言っていたはずでありますが、これも残念ながら現時点では行われておりませんので、そのことについてもきちっと説明するように、政府側に求めていきたいと思います。

○沖縄復帰45年に当たって

【幹事長】
 きょう(5月16日)は沖縄復帰45年という節目でございます。政府・与党の強引な普天間移設によって、国と沖縄の溝がさらに深くなっていることを大変憂慮しています。政府に対しては、沖縄に対する丁寧な説明と対応を求めていきたいと思います。


■質疑

○憲法論議・総理の改憲発言について

【朝日新聞・岡本記者】
 週末に各紙、憲法に対する世論調査を行ったが、弊社では、安倍さんの憲法についての提言に対する評価を聞いたところ、「評価する」が3割ちょっとで、「評価しない」が5割弱という結果が出た。時期についても、2020年(施行)に「こだわるべきではない」が半数を超えるような結果になった。そのあたり、結果を受けて幹事長の受け止めをお願いしたい。

【幹事長】
 朝日新聞さんの世調を踏まえてというよりも、たぶん各社からも同じような、自社の関連の世調についてのご質問をいただくかもしれませんが、概して、質問の仕方や調査の仕方によって数字はいろいろありますよね。ですから、国民の真意がどこにあるかというのは現時点では非常に判断しにくいな、というのが率直なところでありますし、週末、地元に帰って活動してきた我々の仲間達の体感なども含めて、国民が何を、どういうことを望んでいるのかどうかなどは総合的に判断していきたいとは思いますが、質問項目の中で、2020年までに云々でいいかどうかというのがありましたよね。そんなの、決まっていないことではないですか。憲法審査会の中では、2020年ありきではないと与党が言っているわけなので、「2020年まで」が所与のものとして聞くこと自体が先走り過ぎではないですか。

【産経新聞・豊田記者】
 特に9条について弊社とFNNとの合同世論調査で伺ったところ、総理が提案した、9条を維持した上で条文を追加して自衛隊の存在を明記することの賛否を尋ねたところ、「賛成」が55.4パーセント、「反対」が36.0パーセントだった。特に9条について、総理の提案に関してこうした反応が出た背景について幹事長はどのように分析されるか。

【幹事長】
 背景は、例えば東日本大震災を含めて、自衛隊の活動を国民は高く評価していますよね。その存在を認めるかどうかという意味において聞かれれば、肯定的な答えが出ると思います。
 ただ、日本の安全保障を考えた時に、憲法の条文の書き方によって、専守防衛がどうなのかとかいろいろな論理の変更が起こるわけで、そういう細かい議論をちゃんとしていくとまた違うこともあり得るので、今の数字だけでもって何かを判断しろというのは、これはあまりにも早計過ぎると思いますし、総理は特定の新聞を使ってメッセージを出しましたが、あれは自民党向けだと自民党の人達も言っているわけなので、まずはその自民党内の議論をちゃんとしてもらうということ。我々は、その前に立ち位置を決めるのではなくて、そういう状況などをよく見ながら判断していきたいと思います。

【時事通信・岸本記者】
 先週の会見で江田憲司代表代行は、安倍さんの加憲という考え方に対しては、意味がないのではないか、優先順位が極めて低いのではないかと。安住淳代表代行は、9条をいじろうという考え方はほぼないというのが党のコンセンサスだと。そういった中で、あらためて党のコンセンサスというかスタンスに関して伺いたい。

【幹事長】
 いや、まだコンセンサスもスタンスも、特に憲法のどの項目をどうするという話はやっていません。9条のみならず。
 今、憲法調査会では国と地方の問題とか解散権の問題などを、憲法審査会で議論していきましょう、丁寧な議論をしていきましょう、というのが党内の現状だということです。

【時事通信・岸本記者】
 自民党内がまとまらない限りは、民進党も党内の考えを早急にまとめようという考えはないと。

【幹事長】
 早急にまとめる必然性はないと思います。
 憲法の議論は大いにやってもいいと思います。別に9条だって、テーマにしたいという人がいるならば調査会の中で考え方を示せばいいと思いますが、2020年までだとか早急に対応しなければいけないというよりは、喫緊の課題というのはもっとたくさんありますよね。今の、弾道ミサイルを次々と打ち出している北朝鮮への対応であるとか、あるいはデフレからの脱却であるとか、格差の是正とか、そういう急がなければいけないテーマはいっぱいあるわけですから、そちらの問題は、それは「いつまでに」ということを念頭に置きながらやりますが、(憲法の議論は)「いつまでに」とか「早急に」とかいう話ではない。丁寧にいろいろな問題を議論していくということが基本だと思います。

【テレビ朝日・村上記者】
 次期衆院選に関してだが、幹事長は「常在戦場」を掲げているが、仮に次期衆院選が実施された場合、この憲法改正というものが争点になるとお考えか。

【幹事長】
 いや、現時点では何党がそれを掲げて選挙に臨むとか言っているわけではないと思いますので、争点には現時点では見込めないのではないでしょうか。

【テレビ朝日・村上記者】
 共産党の志位委員長は、次に選挙があった場合、争点になると明言されているが、この憲法改正に対して野党4党ではどのように連携していくお考えか。

【幹事長】
 野党4党で議論していません。争点になると思っているか、思っていないかも、たぶん政党によって違うと思います。
 あまりに、何かよくわからない提案を、特定の新聞のインタビューだけ受けてやったやつを、真に受けてバタバタし過ぎないほうがいいと思いますよ。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 読売新聞を熟読せよと総理が国会でおっしゃるのも前代未聞だが、その直後に読売新聞はみずからの世調で、これが5割以上の国民の支持を得ていると。かかるメディアと権力の関係というのは、私は少なくとも過去にあまり経験がないが、やはり「平成の大本営○○」のにおいがするが、その辺はどんなふうにご覧になるか。

【幹事長】
 別に特定の社を指弾するつもりはありませんが、ただ、総理の発言は、残念ながら非常に、自分が使いやすいところを使ってメッセージを出し、そして一つの議論の方向性をつくろうとしているということは意図として感じますね。残念なことだと思います。
 逆に、他のメディアの皆さんが、それに合わせて慌てて世調をやったりというのも、せっかち過ぎるのではないでしょうか。きちっとした国民の議論の熟成というのを待ちながらやるべき話なのに、みんなが乗ってしまっていることに私は違和感を覚えます。

【朝日新聞・岡本記者】
 総理は党内に向けて、今回の提言を受けて党内議論を加速せよという指示も出し、自民党内では「3分の2」がある自・公・維の体制で、憲法審査会はなかなか進まないし、もうこの体制で進めていこうではないかという議論もだいぶ大きくなってきている。あらためてになるかもしれないが、やはり憲法改正をめぐっての議論の進め方、どういうふうに進めていくべきだとお考えなのかお聞きしたい。

【幹事長】
 確かに手続は、国会での発議、3分の2以上、それをクリアするということは大事なのでしょうね。最後はやはり国民投票で国民世論に問うという段取りの中で、さはさりながら、今言ったような政治勢力だけで3分の2が確保できるからといって丁寧な議論を怠って、しかも本来ならば、やはり野党第1党も含めてそういう議論をしながら、国民の総意を瀬踏みしながら改正の議論を進めていく、あるいは手続に入るというのが王道だと思いますので、その意味では、やり方としては覇道だと私は思います。

○「一帯一路サミット」について

【フリーランス・上出記者】
 この週末に、中国主導のいわゆる「一帯一路」、シルクロード経済構想の国際会議が開かれた。この会議には、日本からは自民党・二階幹事長、経産副大臣、それから経団連の会長とか、官民一体で代表団を送った形になったが、一方、アメリカは、この会議に北朝鮮が招かれていたということで、これは誤った国際的なメッセージを発信することになると懸念を表明している。会議そのものの評価も含めて、日米それぞれの対応なども含めて、幹事長の受け止めをお願いしたい。

【幹事長】
 「一帯一路」という、中国が非常に力を入れている構想で、その中で日本でもビジネスチャンスがあるならばと、関心を持って参加をされるということは、これは当然あり得る話だと思います。
 ただ、その北朝鮮云々の話は、私、確認していなかったので、アメリカの対応の是非については、これは何とも判断のしようがないということです。

○「共謀罪」法案の審議について

【日本経済新聞・林記者】
 「共謀罪」について伺いたい。与党は週内にも「共謀罪」の法案を(衆議院)採決しようという考えのようだが、かねて金田法務大臣の答弁などを見て辞任を求めていた民進党としては、これにどう対応するお考えか。

【幹事長】
 いや、別に「大臣が答弁できないから刑事局長を呼ぶ、それはだめだ」みたいな議論だけが外側に出ていたように思いますが、刑事局長に聞いても、この議論はだんだん混迷を深めていますよね。時間がたってきたから、というのではなくて、内容的にきちっと議論が進んできたかという観点からすると、全然進んでいないと思います。
 先般も枝野幸男さんが、具体的に強盗罪について質問されていました。そして(強盗)共謀罪(5年以下の懲役または禁錮)よりも(強盗)予備罪(2年以下の懲役)のほうが法定刑が著しく低いなんていうことが明らかになりましたから、277のそれぞれの刑罰一つ一つよく検証していくといろいろな矛盾が出てくるのではないでしょうか。
 そういう議論をするには、まだまだ、とても議論は深まってはいないと思います。そのために、もし与党が、政府が、そういう急いで採決をしようとするならば、それはやはり断固阻止するために闘っていきたいと思います。

【共同通信・橋本記者】
 「共謀罪」の話だが、与党が急いで進めていくならば阻止するために頑張るというような趣旨のことをおっしゃったが、それというのは例えば法務大臣の不信任決議案の提出ということを指しておられるのか。

【幹事長】
 あらゆる選択肢を考えたいと思います。できることを、もしそういう強引な採決に向けての動きがあるならばあらゆる選択肢を考えたいと思いますが、今ご指摘のあったやり方も、それは一つの方法であり、視野には入れておきたいと思います。

【共同通信・橋本記者】
 いわゆる「共謀罪」法案についてだが、与党が思い描いている今後の日程としては、17日の委員会採決、18日の本会議採決と言われているが、これが仮に19日以降にずれると、天皇退位の特例法案の閣議決定があるが、静ひつな議論が国会で行われるべきだと思うが、そこら辺の影響はどのように考えられるか。

【幹事長】
 静ひつな環境で議論したいですよね。対決型の法案ではないですし、きちっと議事録に残していく、丁寧な議論をするということが望ましいと思いますが、静ひつな環境をつくるかどうかは、まさに与党の心がけによるのではないでしょうか。

【日本経済新聞・林記者】
 安倍首相が、「そもそも」の意味は「基本的に」ということだ、辞書で調べました、と答弁したことについて、山尾志桜里さんや初鹿明博さんから異論が出ていて応酬となっているが、野田幹事長はこの議論をどう見ていらっしゃるか。

【幹事長】
 「どう見て」と言われても、大体うかつな使い方をした人が、一生懸命、苦し紛れの言いわけを三段論法でやってきている話でしょう。素直に「表現の仕方が間違っていました」と言えば済む話ではないですか。“そもそも”それだけのことだと思います。

○次期衆議院選挙・区割り改定について

【毎日新聞・樋口記者】
 区割りのことで伺いたい。あすにも区割りの法案が閣議決定されるかもしれないが、岩手の選挙区で、新3区、黄川田徹代議士と自由党の小沢代表が現時点ではいらっしゃるところだが、このあたりの調整、地元の県連とのやりとり等もあったかと思うが、調整状況はいかがか。

【幹事長】
 区割りの法案が出てきた暁には、全体的な対応の仕方については政治改革推進本部と総務部門でよく検討しながら、国会審議の対応を決めていきたいと思います。
 その法案が通った場合の話は、それはいろいろ現実的には、岩手だけではなくて、いろいろな選挙区で調整しなければいけないところもあります。それは、一般論で言うならば、総支部や県連と、よくその声を聞きながら、党本部として対応を決めていきたいと思います。

【読売新聞・森山記者】
 幹事長おっしゃるように、微妙な調整というのはもちろん成立後の作業になるかと思うが、法案自体への賛否というか、かつて民主党時代はアダムズ方式の早期適用などを求められた面もあると思うが、法案自体についての受け止めというか、どのように審議に臨んでいくかお聞きしたい。

【幹事長】
 これは先ほど答えたように、岡田克也本部長のもとの政治改革推進本部と、総務部門と、合同でそういう議論をして対応を決めていくことになると思います。

○受動喫煙対策案について

【テレビ東京・山本記者】
 受動喫煙対策について伺いたい。厚労省が飲食店を原則禁煙とするというような案を出し、それに対して自民党が、「喫煙」と(店頭に)表示すれば喫煙可能とするといった、やや後退した内容の案をまとめた。自民党案は「骨抜き」という指摘もあるが、民進党としてどう考えるのか。今後、案をまとめたりする考えはあるのかというところと、幹事長自身も愛煙家ということだが、受動喫煙に関して考えがあれば伺いたい。

【幹事長】
 それは、これから政府・与党の方針が固まってきたら、まだちょっと塩崎厚労大臣と自民党との調整があるようですね、そういうものを踏まえながら、私どもの厚生労働部門でその扱いについては議論をしていくということです。
 私は、決まったことに従う、ということであります。

○東京都議会議員選挙について

【フリーランス・安積記者】
 昨日、熊本県の党の会合で蓮舫代表が、離党された長島さんと、代表代行を辞任された細野さんを、最低だと言ったと報道があった。これまでも蓮舫代表は、岡田前代表のことを、つまらない男と言ったりということで、無責任な発言がかいま見られるが、これについてどう思われるかということと、民進党から離れたという点においては、都議選でかなり候補者が、公認を受けながらも離党したりとか違う党に移籍とかいうような状況があるが、こういうことについては、代表がこういうことをおっしゃるということは、どういうふうに対処するのかお聞きしたい。

【幹事長】
 発言の真意とか、どういう状況でお話しされたのかというのは私も掌握していませんが、意味するところは「残念だ」ということだったのだろうと思います。表現の仕方はよく練って、きちっと伝えなければいけないと思いますよね。真意は「残念だ」ということに尽きるのだろうと思います。
 都議選は、36人を公認で当初私ども選んでおりましたが、きょう(16日)あらためて、15名が離党をしたり、あるいは出馬を取りやめたりという中での、公認取り消しを都連の常任幹事会で確認したという報告は聞いております。22名ですね、新たに公認した人も(1人)出てきたので、22名、民進党の旗を立てて公認候補として頑張ろうという人達が20人余りいますので、みんなで、国会議員も手分けをして、全力で当選ラインに達するように一生懸命後押しをしていきたいと思います。

【フリーランス・上出記者】
 先日、自民が都議選に向けての決起大会をやっており、かなり報道でも大きく取り上げられたが、都民ファーストを公然と、「(ファーストでなく)ラスト」と菅官房長官が批判していた。いい悪いは別にして、党全体が力を込めて都議選を戦っていこうとしていることは伝わってきた。一方、民進党は、報道されていないせいなのかもしれないが、そういうような決意が何か伝わってきていないが、これについて考えがあったら伺いたい。

【幹事長】
 決意は十分あるのです。危機感もいっぱいあります。したがって、みんなを集めて気勢を上げるというよりは、実務的にどうやって後押しをするかを進めていきたいと思っておりまして、今度ブロックごとに議員の皆さんを集めて、代表と私からもその応援の要請などを具体的にしていきたいと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 都議選だが、野党連携勢力というのか、それが最後のところで通るか通らないかというところになると、やはりある種の共闘ということが、告示までまだ1ヵ月間あるわけだが、その辺の取り組みは野田さんあるいは安住さんでやっていくと。22人立てるという中でも、やはり選挙情勢はわかるわけだから、野党共闘が何がしかの果実を生むような都議選になるのか、それともそれはらち外なのか。その辺の考え方を伺いたい。

【幹事長】
 都議選で、相当我々の候補者も絞られてきましたので、個別の選挙区事情をよく精査をしながら、やはり当選ラインに乗せるためにはどうするかはあらゆることを考えていきたいと思いますが、どことの連携というよりも、やはりまだもうちょっと独自の力を強めるための方策が、基本的にはもっと我々としては後押しする部分だと思っています。