参院本会議で26日、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案の採決が行われ、与党などの賛成多数で可決された。

 同法案は、地域包括ケアシステムを強化するため、(1)市町村介護保険事業計画の記載事項への被保険者の地域における自立した日常生活の支援等に関する施策等の追加(2)当該施策の実施に関する都道府県及び国による支援の強化(3)長期療養が必要な要介護者に対して医療及び介護を一体的に提供する介護医療院の創設(4)一定以上の所得を有する要介護被保険者等の保険給付に係る利用者負担の見直し(5)被用者保険等保険者に係る介護給付費・地域支援事業支援納付金の額の算定に係る総報酬割の導入等――の措置を講ずるとしている。採決に先立ち牧山ひろえ議員が反対の立場から討論を行った。

 牧山議員は冒頭、介護保険法を中心に、社会福祉法、老人福祉法、障害者総合支援法、児童福祉法など、本来は別々に提出し審議するべき31本もの法案が一括して国会に提出されたと述べた。また、政令への委任事項が33カ所、省令への委任事項が189カ所にのぼるなど、重要事項の決定の多くが先送りされていると指摘した。

 本法案に反対する主な理由として、(1)2015年に2割に引き上げた利用者負担割合の影響について検証分析が不十分(2)保険者機能の強化について懸念される課題が払拭されていない――などを挙げた。

牧山ひろえ議員

 また、31本もの法律を改正するにもかかわらず、肝心の介護人材の確保や処遇改善に係る対策については法案に盛り込まれていないことを指摘。民進党が、サービス低下につながる軽度者切りの防止や、介護従事者の処遇改善、事業所が安定的に事業を継続できるようにする介護報酬のアップなどを盛り込んだ介護崩壊防止法案を提出したが、衆院で否決されたと述べ、討論を終えた。

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