野田佳彦幹事長は27日午後、広島県東広島市を訪れ、藏田義雄市長とともに市内の酒造会社を見学、その後、恵飛須圭二広島4区総支部長の集会に出席し講演した。

 酒造会社の見学には、県連会長の森本真治参院議員、恵飛須総支部長も同行した。また、恵飛須総支部長の集会には、藏田市長、森本参院議員も同席した。

 東広島市の西条は、その気候から酒造りに適しており、灘、伏見と並ぶ銘醸地と呼ばれている。

 野田幹事長は、まず、米と米こうじのみで造る純米酒の製造を全国でもいち早く始めた賀茂泉酒造を訪れ、作庭家・重森三玲氏の手によって造られた庭を眺めながら、前垣賀茂泉酒造理事らと酒造の歴史や酒造業のおかれている状況などついて懇談し、その後試飲を行った。

庭を眺めながら懇談する野田幹事長ら

庭を眺めながら懇談する野田幹事長ら

賀茂泉酒造で試飲する野田幹事長

賀茂泉酒造で試飲する野田幹事長

 その後、酒造通りを歩き酒造会社が建ち並ぶ様子を見学、白牡丹酒造を訪れた。白牡丹酒造は広島県内で最も古い歴史を持つ酒造会社。白牡丹酒造では、酒造の歴史や酒銘の由来を聞き、試飲を行った。また藏田市長と地域の産業や文化、課題などについて意見交換を行った。

白牡丹酒造で懇談する野田幹事長ら

白牡丹酒造で懇談する野田幹事長ら

 訪問を終えた野田幹事長は、恵飛須総支部長の集会「えびす圭二と語る会」で講演を行った。

 集会ではまず藏田市長が市の歴史から主要産業、地方創生の現状について講演。その中で「政党には、国民に目標をしっかりと見せて欲しい。それぞれの政党が目標を作り、国民がその目標を選ぶ、あるいは目標に賛同する。そのような国造りをして欲しい」と要望を寄せた。

藏田・東広島市長

藏田・東広島市長

 続いて、恵飛須総支部長が、決意し総支部長になるまでの経緯を説明。「これから10年後20年後、今まで経験したことがないスピードで、この国の人口が減ると同時に、働く人が減り、働く時期を終えた方々が増える。経験したことがないような大きな負担を抱えなければならない時代になる。これは最も大きな取り組んでいかなければならない課題だ」と説明。「他の誰でもなく自分が、自分の人生を投じて、この責任(問題解決)を果たさなければならない」と決意を述べた。

恵飛須圭二広島4区総支部長

恵飛須圭二広島4区総支部長

 野田幹事長は、「恵飛須総支部長の話を聞き、一言もライバルのことに触れず、あっぱれだと思った。正々堂々と、青臭いかもしれないが、自分の信念のみを語った」と恵飛須総支部長の人柄に触れ、「今日は、恵飛須総支部長に学び、(与党を批判するのではなく)あらためてわれわれの政党の立ち位置について話をさせていただきたい」と述べた。

野田幹事長

野田幹事長

 旧民主党の3年3カ月の政権運営について、「リーマンショック後で税収が落ち込み、マニフェストで約束したことが出来なかった。予算編成はメリハリをつけなければいけなかった」と話し、その中でも予算を増やした社会保障・地方・中小企業の3つについて、「民進党になっても変わらない。安倍政権と真逆の立場にある」と説明した。

 社会保障を重視したことについて、愛知の双子姉妹きんさん・ぎんさんが100歳でメディアに出演するようになり大金を手にした際、「老後の蓄えにしたい」と話したことを引き合いに出し、「当時ですら、何歳になっても老後が不安。今はもっとそう」と述べ、「その不安をなくしていくのが政治の一番の仕事だ。本当に年金・医療・介護が持続可能かどうか、みんなが心配している」と話した。

 あわせて、「現役世代の子育て・教育の不安をなくし、財源も厚くなるよう取り組もうとした」と話し、「今(の政権は)、この取り組みを一生懸命しているとは思えない」と述べた。

 次に、3年連続で地方交付税を増やしたのが民主党政権だったと話し、「地方の皆さんが自由に使えるお金を確保する。そのことによって地域に必要なことをやっていく。都市よりも地方を大事にしようとした」と説明した。

 中小企業を大事にしたことについては、「20年間、中小企業対策予算は削られていた。これを3年間続けて増やした」と話し、「日本の多くは中小零細企業。働いている人の多くも中小零細企業で働いている。ここが元気にならないと意味がない」と述べた。

 100年を超え生き残っている企業は世界で4万近く、そのうち日本は約2万6千だと説明、「ほとんどが地方で根を張っている中小企業が頑張っている」と話し、さらに200年を超える企業は世界で5千社、そのうち3千社が日本だったことを紹介、「ここが日本の武器。100年、200年日本の中小企業は生き残ってきた。それが日本を支え、地方を支えてきた」と訴えた。

 また、アベノミクスのトリクルダウン(大企業が豊かになれば、いずれ中小企業や働いている人、地方に住んでいる人にも富が滴り落ちてくる)について、コップ酒に例えて説明した。コップ酒はコップの下に受け皿や升があり、店員が日本酒となみなみとコップに注ぎ、受け皿や升にこぼれ落ちる。コップの酒をすすり、空いた隙間に、下にたまったお酒を入れる、そうするとまたコップが一杯になる。「これがトリクルダウンの原理。安倍政権はコップの中にお酒を一杯入れている。下の受け皿で待っている地方や中小企業や働いている人にこぼれ落ちてこない。コップの中と受け皿で格差がどんどん広がっている」と話し、「中小企業や働く人たちを支える、そういう政治をするほうが私は真に国民のための政治だと思う」と訴えた。

県連会長の森本真治参院議員

県連会長の森本真治参院議員