党役員会見に関する基本的な方針について

江田憲司代表代行記者会見

2017年5月26日(金)14時03分~14時35分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=uYuJG9QA1L0


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○加計学園問題 前川前文科次官の告発会見について

【代表代行】
 昨日(25日)の前川前文科次官の会見ですが、覚悟の告発というか、官邸への告発状と私は捉えました。
 この加計問題の本質は、行政や公務の公正性・中立性・透明性に対して極めて強い疑念を生じさせているという点です。安倍総理のお友達であれば甘い汁が吸えるのか、安倍総理のお友達であれば利権にあずかれるのか。そんなことは断じて許してはいけません。額に汗して真面目に働く者がばかを見るような世の中には絶対にしない、これは政治の責任です。この点をしっかりと究明していかなければいけないと思っております。
 こういう当・不当の問題にとどまらず、今後の事案の究明いかんによっては違法性の問題も帯びてくるのではないかと私は考えております。仮に、加計学園のほうから安倍さんが要請を受けて、みずから指示をする、あるいは権限のある公務員にそういうことをさせたのであれば、そして報じられているとおり加計さんと安倍さんは頻繁に会食もし、ゴルフもされているわけですから、このお金の出どころはどこなのか、そういうことが究明されていくその状況いかんによっては、収賄罪・あっせん利得罪等々の違法性の問題もはらむ可能性のある問題だと。仮に、事案の究明次第でそういったことが判明するのであれば、当・不当の問題にかかわらず、違法性も帯びるような問題ではないかと。それほどの問題なんだという認識が私にはございます。
 そういう意味では、徹底的に真相究明を図っていく。あらゆる機会を通じて、国会で真相究明に努めていくのが野党の責任だと強く思っており、前川氏の証人喚問、予算委員会の集中審議、さらには党首討論等々、あらゆる機会を通じてこの加計問題の真相究明をしてまいりたいと思います。


■質疑

○加計学園問題・森友学園問題について

【フリーランス・田中記者】
 森友、そして加計の疑惑というか疑獄を見ていると、行政も議会も崩壊していて、民主主義どころか近代国家が崩壊していっているように思えるが、代表代行からご覧になっていかがか。

【代表代行】
 そういうご指摘は真摯に受け止めたいと思います。
 開き直って、「私とは全く関係ないんだ」と、こう答弁をし続けていれば、真相解明はされていない状態が続いていくというような状況だと私も思っていまして、そういう意味では与野党とも議会の権能を果たしていないと批判をされてもやむを得ないと思いますよ。
 この問題は、本当にやましいことがない、違法なこともない、当・不当の問題もないというのであれば、森友問題も同様ですが、しっかり証人喚問、いろいろな場で説明責任を果たしていく。森友問題で言えば、少なくとも安倍昭恵夫人は公の場に出てきて説明責任を果たさなければいけません。
 そして今回の場合は、前川前次官があれほどの覚悟を持って告発する。これは尋常な事態ではありません。私も霞が関・官邸の元住人として、彼が歩んできた道、彼が主流中の主流だったと。私は、実は2月の予算委員会で(文部科学省による天下り斡旋問題について)大変厳しく前川氏を追及しました。「あなたほどの人がなぜ国家公務員法違反をしたのか。まだ矜持があるならば、辞めるだけではなくて、6000万円前後といわれている退職金も返上しろ」と、追及したほうですよ。本当に心を鬼にして。(前川氏が)与謝野文科大臣秘書官、私が橋本通産大臣秘書官当時からのつき合いです、正直言って。
 しかし、あの問題はあの問題としてしっかり糾弾しつつ、しかしこの問題については、あれほどの覚悟を持って告発した以上、私は彼の言っていることは真実だと思いますし、出てきた文書は、あれは役人が書いた真正な文書だと私は断言します。ここまで来れば、もう安倍さんの常套手段、「ないことは証明できない。それは悪魔の証明というのだ」という抗弁は全く通用しません。これだけの前川証言が出て、内部文書がしっかり出てきた以上は、極めて強く、安倍総理ないしは安倍周辺スタッフ、官邸が指示をしてこういった加計学園に獣医学部新設という結論を出したのではないかという推定が強く働いております。
 ですから、その推定を覆したいのであれば、安倍総理並びに関係者がしっかりと国会の場に出てきて説明責任を果たしていくのは当然のことではないでしょうか。そんなことができないようであれば、もう与野党ともこれは国会は必要ないですよ、こんな問題は。それほどの問題だと思います。

【フリーランス・田中記者】
 私は何度も今治に取材に入っているが、今治の市長が相当に早い時期から、安倍総理に全部任せているから地元が口を挟む余地はないのだと、こう言っている。内閣府から文科省が例の「総理のご意向」のメモが出るよりも早く、今治市は知っている。30年4月開校。もう頭越しにやられている。それを、かつて首相の秘書官をやられた代表代行はどう思われるか。

【代表代行】
 そうおっしゃっているのであれば、愛媛県知事にも、さらには今治市長にも証言していただこうではありませんか。
 正確に言いますと、まだこれ、事案が究明されておりませんから、考えられるケースというのは、まず、安倍総理が直接指示した。第2に、安倍総理の周辺のスタッフが、安倍総理の意向を酌んで指示した。あるいは、安倍総理はあまり直接は言っていないけれども、忖度(そんたく)してそれを指示した。
 これは報道もされているとおり、経産省から出向している内閣審議官の藤原豊さんという方が直接文科省と交渉された。その場で、「官邸の最高レベルが言っている」とか「総理のご意向だ」という言葉が発せられているわけですから。そして、その文書が真実であり、前川証言でそれが担保された以上、その官邸内の指揮命令系統、指示の有無いかんをしっかり官邸はつまびらかにしないとだめでしょう、ここまで来たら。強い推定が働いているのですよ。先ほど申し上げましたように、行政や公務の連結性・公正性・中立性・透明性が強く疑われる事態になっているわけですから。
 官邸は、なにか「文書は確認できなかった」とか、前川氏の人格攻撃ばかりしていているようですが、まずしっかり国民に対して説明責任を果たすというのは当然の責務ですよ。何を開き直っているのですかと。数に任せて開き直っていれば、いずれ時間がたてばうやむやになっていくだろうというような魂胆であれば絶対に許せませんので、これはもうしっかりと、この問題については真相究明を国民の皆さんとともに図っていきたい、そういう覚悟でおります。

【テレビ朝日・白川記者】
 前川前次官に対して、菅官房長官がきのう・きょうと、かなり強い口調で批判的なことをおっしゃっていて、いわゆる“出会い系バー”通いのことなどもいろいろ指摘されている。そもそもああいったことが一部報道されたことについてどう思われるかということと、菅官房長官が異例とも言える個人的な批判をしているようにも受け取れるが、そのあたりをどうお感じになっているかお聞きしたい。

【代表代行】
 相当、追い込まれているのでしょうね。焦っているとしか言いようがありません。
 あれは森友問題でも、谷査恵子さんの携帯番号まで入れたペーパーを官房長官が異例に(官邸での会見で)配付したという事件があったではないですか。私が見るところ、これは官邸は相当動揺している。森友問題以上に今回、加計問題は、文科省の主流を担ってきた前事務次官の告発ですから。それは信憑性の度合いは格段に違います。
 それから私も霞が関の住人、役人でしたが、あの文書を見てピンときたのは、これは文科官僚が書いた内部文書だなと先週の段階から思っておりましたが、今回の前川証言でそれが100%証明されたと私は思っています。
 ですから、いくら「文書は確認できない」、一方で前川氏の人格攻撃をしても、この問題の本質、コア、肝は、まさに行政・公務の中立性・公正性・透明性が疑われているのですから、そういうものを払拭する責任は官邸にあると言わざるを得ません。
 国民もそろそろ怒ったほうがいいですよ、本当にこの問題。とにかく、「指示していないことは証明できない。悪魔の証明だ」と、その一点だけで突っ張っているのですから。何の説明責任も果たさず。  森友問題だって、私に言わせれば、これは事案が解明されていないわけでも、忖度でもないです。これは安倍昭恵夫人の直接介入だと私は思っています。
 昭恵夫人が名誉校長になっている。
 それからパンフレットに顔写真まで提供し、メッセージまで出している。そこには、「籠池先生の教育に対する熱い思いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきました」と書かれてあって、そのパンフレットをもとに児童募集や寄附募集をしているわけです、籠池さんは。
 講演にも何度も訪れて、涙を流しながら、小学校開設で「何か私もお役に立てれば」と、ちゃんと肉声でおっしゃっているビデオが流れているではありませんか。
 そして、経産省から出向の政務秘書官がたぶん指示した谷査恵子さんという職員が同行していて、その谷さんが、夫人付からすれば所管外の国有財産の問題について財務省とファクスでやりとりをしているではありませんか。
 そして昭恵夫人は、校地予定地まで籠池さんと一緒に視察に行っているではありませんか。
 そして、小学校認可の権限を持っている大阪の私学審議会会長の教授にも会いに行っているではありませんか。
 ここまで状況証拠がそろえば、これは裁判であれば100%「有罪」の心証形成しますよ、裁判官は。それをいまだ「真相は解明されておりません」「忖度があったかもしれません」と言っていること自体が、この世の中おかしくなっているのではないかと思いますよ、メディアの皆さんも。私に言わせれば、これは裁判にかければ100%心証形成されますよ、「クロだ」と。
 であれば、当然のことながら昭恵夫人はしっかり前に出てきて、サミットなんか行かずに、しっかりその場で説明するほうが先ではないですか。
 この加計問題もそうですよ、こんな開き直りで、うそ八百並べているような人達を前にして、やはり国民はもっと怒らなければいかんと私は思います。我々がふがいないこともあるのですが。これはしっかりと真相究明していかなければいけない。これは我々政治家の責務です。与野党とも、国民の負託を受けた我々政治家の責務だと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 前川前次官の覚悟というのは私も同感だが、逆に言うと、残された文科官僚、そして森友問題の財務官僚、やはり官邸が怖い、あるいは覚悟がない。しかし、これが日本の吏道というものだったのか。何かもう、本当は霞が関自体が腐っているのかなという気もするが、そこはどうご覧になるか。

【代表代行】
 ご指摘が当たっていないとは申し上げません。内閣人事局ができ、次官人事ですら官邸により差しかえられるという事態を目の当たりにしては、やはり官僚組織もその人事を気にして官邸にひれ伏すということは十分考えられることです。ですから、森友問題も加計問題もそうした事情がなかったとは言いません。
 ただ、今回前川さんの告発は、それはやはり悩んだと思いますよ。主流中の主流の次官がこんなことをやるなんていうのは前代未聞ですから。随分悩んだ結果、たぶん腹に据えかねることがあったのでしょう。官僚の矜持が少しでも残っていたのでしょう。
 私は、前川さんをほめたりはしませんよ、一切。(天下り問題で)彼のやったことは違法だし、私は退職金返上まで求めた男ですから。しかし、その問題と、この加計問題の本質とは全く次元が異なります。幾ら官邸が前川さんの人格攻撃をしても、この問題とは関係ありません。別のところでやってくれ、ということです。もしそういう問題があるならば、別のところで。この問題の本質はそれで一切揺るぎませんから、我々国政に携わる者、そして国民は、そっち(森友学園問題や加計学園問題)のほうをしっかり解明してくれということですよ。そんな場外乱闘は別のところでやってくれということですよ、前川さんの人格攻撃をしたいのであれば。

【テレビ朝日・白川記者】
 真相究明と関連するが、与党側はきょう、野党の求めた前川氏の証人喚問について、必要がないと拒否したが、その対応についてはどうお考えになるか。

【代表代行】
 求め続けるしかありません。この問題は、やはり国民世論を背にしてやるしかないです、多勢に無勢ですから。
 「共謀罪」の審議を見てもわかるように、もう従来の国会のルールを全部踏みにじって、職権、職権で勝手にやるわけでしょう。防ぐ手だてがないのです、我々。ですから、証人喚問も全会一致ですから、これはもう与党、自民党・公明党が「うん」と言わないとだめなのです。
 しかし、それはやはり我々も含めて、「うん」と言わざるを得ないような状況に追い込んでいくことが大切なのではないですか。ですから、ぜひメディアの皆様にもご協力を得たいと思います。それは、与野党の別はないのです、この問題は。これが解明できないようでは、法治国家というか、額に汗して真面目に働く人がばかを見るような世の中になっちゃいますから、本当に。
 この期に及んで、「これが本当だとして、どこが違法なんですか?」と質問するキャスターやコメンテーターがいるのは、私、信じられませんね。じゃあ、総理というのは違法でなければ何でもやっていいのですか、総理の友達だったら甘い汁を吸えるのですか、利権にあずかれるのですか、それが「いい」とあなた方は言うのですか。よくないでしょう、と言っているわけです。
 ですから、第1次安倍政権というのは「お友達内閣」で潰れましたが、第2次政権は「お友達利権内閣」あるいは「お友達甘い汁内閣」で潰れるのではないですか、本当に。それほどの問題ですよ、歴代政権であれば。私も官邸におりましたが、こんなことがまかり通っていく、それに対して国会が機能しない。その結果、責任を免れるということになれば、日本の国って一体どうなってしまったのだと言わざるを得ません。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 「ポスト・トゥルース(post-truth)」という言葉がある。これは、「仮にそれが真実であろうが、それがどうなんだ」という論法だ。今回の前川さんは、私はこれは日本である種の「ポスト・トゥルース」という言葉がまさに適用できるような事態だと思っている。要するにこれは、「仮にそれが事実であっても、それが何なんだよ」というので、去年イギリスではやった、世界的な言葉だ。今の世界の政治状況を語る言葉だ。まさに今回の前川さん(に対する政府の対応)というのは、そういう文書があろうがなかろうが、そんな事実も問わないで逃げていくという意味では、まさに日本の「ポスト・トゥルース」の始まりだと思うが、あまりそういう認識はないか。

【代表代行】
 まさに「ポスト・トゥルース」ですよね。「じゃあ、これが事実で何が問題なのか」と開き直るわけでしょう。
 ただ、それに呼応する国民もいるのです、一部。だからますます増長するのですね。だから、我々野党の責任は、そのベールを剥がして正体を国民に認識していただくようにすると。
 簡単に言えば、「あばたもえくぼ」だと思っているのですよ。私に言わせれば安倍政権はあばたがいっぱいあるのだけれども、「あばたもえくぼ」だと思っているのです。だけど、我々野党の責任は、やっぱり「あばたはあばた」だったんだという正しい認識に国民の皆さん到達していただくように努力していくということだと思います。

○安倍総理在職日数・小泉元総理超えについて

【時事通信・岸本記者】
 安倍首相の在職日数が、あした土曜日で小泉さんと並ぶが、長期政権となっていることの分析と、評価を伺いたい。

【代表代行】
 長きをもって尊しとなさず。おごり高ぶる政権になってしまいました。
 考えてみれば、安倍政権が高支持率を享受しているのはひとえに、ちょっと経済がいいからです。もちろん野党がふがいないこともあります。しかしそれ以上に、そうは言っても経済がいいからなんです。中央と地方の格差は開いています。貧富の格差も開いています。地方に行ったら、アベノミクスなんか全く利益を享受していません。しかし、大学の就職率が100%近い。高校卒の就職率も97、98%。失業率は3%を割った、これは一応、理論的には完全雇用です。株は2万円近く行っている。こういうことなのです。
 しかし、申し上げたいことは、これは砂上の楼閣に乗っている一時的な景気でしかない。日銀はもう国債は420兆円を買い入れて、年中に500兆円を突破する。GDPを超える。アベノミクスの発足する前は、120、130兆しか持っていないはずが、もう4倍以上になってくるとなると、国債を日銀が買い支えている経済がいつクラッシュするのか。この500兆円の国債、日銀は持ち続けられませんから、いつ売りに出すのですか、いつ償却するのですか。その時に国債が暴落して金利が急上昇したら、一気に経済は死んでしまいます、日本は。そういう危うい楼閣の上に立っている、一時的な経済回復だと。
 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も参加して、今、上場株式の8%を公的資金が保有しています。こうしたマネーゲームによって、表面的には多少経済がよくなっていると見えている。それに対して国民は、「以前の政権よりもいいよね」みたいな話で支持をしていると私は分析しているのです。
 私は昔、海部政権、海部官邸にも出向していたことがあるのですが、あの海部総理も最後まで支持率が高かったのは、あれはバブル経済で景気回復というか、経済、景気を謳歌していた時代なのですね。ですから総理大臣が幾らしくじっても、幾ら批判されても、支持率が高かった。こういう事情がありました。
 経済というのは、よくしたもので「経世済民」と言うわけで、政治の基本なのですね。民のかまどから煙が立っていないと言って、みずからを非常に質素な生活に追い込んだ天皇陛下も昔おられましたが、まさに「経世済民」、経済というのは政治の基本なのです。そこですよ。
 しかし、この一時的な景気を享受しているのは、そういう本当に危うい砂上の楼閣の上に立っている。クラッシュしたらどうなるのだと、私は一番心配しているのですが、クラッシュした場合は、対応しようがありません。我々野党に「しろ」と言われたって、できません。そこまでもうやっちゃったのですから、500兆円も。もう出口戦略がないのです。検討していると日銀は言うけれども、出したらパニックになると言っているでしょう。本当に今、検討状況を出したらパニックになるのです、市場が。それほどの問題だということは申し上げておきたいと思います。

【時事通信・岸本記者】
 小泉さんのキーワードといえば「ワンフレーズ」とか「抵抗勢力」とか「劇場型政治」ということだと思うが、代行の考える安倍さんのキーワードというのは、先ほどの話などもあったが、あらためて伺いたい。

【代表代行】
 「看板の掛け替え」「お化粧直し」。
 きれいな包装紙に包めば中身が毒まんじゅうでも国民はだまされて食べてくれる、これは常套手段ですから。集団的自衛権の一部に踏み込む法制を「平和安全法制」と言う。「IR」「IR」って、最初は何かなと思ったら、何のことはない、カジノ・博打だ。そして今度は「テロ等準備罪」。条約事務局ですら、これはテロとは関係ない条約だと言い放っている条約を締結するために「テロ等準備罪」と、これもきれいな包装紙に包めば中身は毒まんじゅうでも国民は食べてくれるだろうと。
 本当に、国民をだましてやりたい政策を実現するにもほどがある、と言いたいですね。

○党OB・OG会の開催について

【朝日新聞・斉藤記者】
 きょうこれから党のOB・OG会があるようだが、何か期待することがあったらお願いしたい。

【代表代行】
 民主党の重鎮が引退されて、大所高所から物を言っていただく方が少なくなった中で、今回OB・OG会が結成されたことは非常に有意義だと私は思います。きょう(26日)夕方にその会合があり、懇親会もあるということですので、そういうだけにとどまらず、やはり大所高所から、民進党をめぐる現状であるとか、今後進むべき道についてのご示唆、ご提言をいただければありがたいと思います。

○神奈川県横浜市長選挙について

【神奈川新聞・川村記者】
 横浜市長選について二つ。
 一つは、候補者擁立に向けた取り組みの状況と、そのタイムリミットについて。
 もう一つは、そもそも現職の林市長は民主党が発掘した人物なわけだが、現状、菅官房長官も支持を明言されている。そこに至った背景というか原因。何ゆえ、そもそも民主党が発掘した林市長を菅官房長官が支持するようになったのか。そこをどう分析されているか伺いたい。それが2点目。

【代表代行】
 市長選は、引き続き人材発掘に努めております。それ以上のことは申し上げられません。
 それから、重要なことは今後の4年間を誰に負託するか、なのです。そこには過去の8年間の評価も当然入りますが、一番大事なことは、次の4年間この横浜市を預かる市長、誰に負託するかということなのです。ですから私は、山下埠頭・倉庫跡地の開発というのが横浜市長選の最重要案件、最大の争点だと。そこをカジノでやるのか、カジノ以外の斬新なビジョンでやるのか、というのが問われるわけです。
 私は、何度も言うように横浜にカジノは要らない。カジノに頼らなくても、横浜には魅力がいっぱいある。そういうことをしっかりと訴えていただける市長候補を擁立したい。それは、林さんも排除していませんよ、現職がそういう方向でやりたいとおっしゃるのであれば、それはお話を聞いた上で選択肢の一つです。ただし、そうではないとおっしゃるのだったら、それは別の、しっかりその方向性に合った候補者を擁立するしかないではありませんか。

○「共謀罪」法案に対する国連特別報告者の懸念表明について

【フリーランス・田中記者】
 かつて官邸の司令塔だった江田代表代行に伺いたい。「共謀罪」だが、国連特別報告者から安倍総理に直接書簡が来て、重大な懸念が示された。
 あれの前段階で、2013年の特定秘密保護法の時もやはり国連から、これは人権高等弁務官から批判され、その翌年から人権高等弁務官事務所へのODA・拠出金を外務省はガタンと減らしている。これは私、外務省から直接数字も見たし、人権人道課からもコメントを取った。「選択と集中」とか言って逃げていたが、その報復だと僕は思っている。その辺は、やはり官邸から指示が行くのか。

【代表代行】
 それはよくわかりません。そういうことがあったかどうかも確認できませんので。そこの問題よりも、今回の問題というのは、これ国連の人権理事会ですよね。拉致問題について、北朝鮮の人権侵害を理事会が認めた時は絶賛していた安倍政権が、今回こういうことをちょろっと言われただけで、怒り心頭で抗議文を出すって、まさに安倍政権の二枚舌、二重基準ではありませんか。そこまで絶賛した理事会が出しているのだから、真摯に聞く耳を持て、ということですよね。そうではないでしょうか。
 だから、使い分けているんですよ、結局。ご都合主義の極みだと私は思いますよ。国連のおっしゃっていること、あの(特別報告者の)教授はプライバシー権担当ですからね、言っていることを真摯に受け止めるのは当たり前ではないですか。
 それを、反論しているではないですか、「ただ怒りの言葉が並べられているだけで、全く中身のあるものではありませんでした」(ジョセフ・ケナタッチ国連特別報告者「官房長官の声明に対する反論」)って。であれば、このまま人権理事会の報告になりますよ、これは。だから、もうこれ以上、北朝鮮の拉致問題で国連の人権委員会や理事会に頼らずにやってくれと、安倍政権はちゃんと自分で解決しろということで。
 自分が拉致問題を解決できないから国連の人権委員会が出してくれて、「ああ、それは私どもの働きかけた結果です!」って自慢していた人が、今回は口汚くののしっているわけでしょう。本当に二重基準、二枚舌で。本当にこういう安倍官邸の正体は、早く見破っていただきたいんですけどね。
 単にカンフル剤1本打っただけですよ、功績は。その遺産を食いつぶして生きているんですから。私も金融緩和を、2009年にみんなの党結成時から言ってきた。ただ、ゆめゆめそれを、2本も3本も4本も打つとは思っていない。だから500兆円に膨れ上がった。1本はいいんですよ、シャキッと体がして。シャキッと体がしている間に、必要な手術や体質改善、構造改革をやっていけばいいのに、やっていないでしょう。第3の矢は飛んでいない。潜在成長率はゼロではないですか、それが証明しているではないですか。それだけなんです、本当に。
 それで「人への投資」だ、「働き方改革」だって、中身は全く内実がないですよ。予算案を見れば、公共事業5兆、10兆だって、2、3兆円使い残して、「人への投資」なんかやっていないですから。介護報酬は2.27%カットする。年金は、我々の計算では厚生年金を年間14万円カットする。消費税を上げても社会保障は充実していない。うそ八百を並べているんですよ。それで「人への投資」だ「教育無償化」だ「働き方改革」だって、本当、見破っていただきたい。これはもう野党の努力不足でしかないです。