衆院本会議で30日午後、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の採決が行われ、与党などの賛成多数で可決された。

 同改正案は、産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に関する施策の総合的かつ集中的な推進を図り、農業分野の外国専門人材の受け入れや子育てに係る環境の整備、テレワークの推進などを行うとするもの。

 採決に先立ち宮崎岳志議員が反対の立場から討論を行った。

 宮崎議員は冒頭、「日本で最も獣医師が不足している群馬県から参りました」とあいさつ。「総理、昨日は赤坂の居酒屋で、ある大新聞の政治部長らと楽しく会食されたそうですね。お礼の気持ちをお伝えになったのでしょうか。仲良くやってください」と総理を気遣った。

 続いて「いまや特区はオトモダチ利権の巣窟」と指摘。「理事長の加計孝太郎氏は、安倍総理本人が『ばくしんの友』と称する大親友。言葉の意味は良く分かりませんが、おそらく莫逆の友と腹心の友が混ざった、とにかくすごい友情です」と、安倍総理と加計氏の関係を強調した。

 また安倍総理が、国家戦略特区で「岩盤規制に突破口を開く」と大見得を切ったことについて、「実際は岩盤に穴を掘って、金銀宝石、すなわち既得権益を『採掘』しているにすぎません。特区はオトモダチ利権の採掘口。一獲千金を夢見る野心家たちが群がって、さながら平成のゴールドラッシュです」と指摘した。

 さらに、京都産業大学が獣医学部の新設を目指し内閣府に具体的提案も行ったが、突然「広域的に獣医学部の存在しない地域に限る」などの条件が追加され、提案後なのに門前払いされたことを挙げ、「この提案の存在自体、報道機関が指摘するまで何カ月も隠蔽されてきました。安倍総理は3月の参院予算委員会で『熟度の高い具体的提案は今治市の事業のみだった』と強弁しましたが、他になかったのではなく隠していた」と指摘した。

 加計学園と森友学園の問題について、「総理夫人のオトモダチなら、国有地を8億円も値引きしてもらえる。総理のオトモダチなら、作れないはずの学校が出来、37億円の土地と96億円の補助金がもらえて、ライバルも排除してもらえる。あるべき文書が保存されず、公開すべきデータはパソコン上から消滅し、文書の実物が出てくれば『確認できない』と繰り返される。オトモダチ利権のために真面目な官僚を追い詰め、行政をゆがめていく。内部告発者は突然のスキャンダルに見舞われ、つるし上げられ、政府高官から罵詈雑言を浴びせられる。これが『美しい国』ですか」と強く指摘した。

 最後に、「われわれは規制緩和を否定はしません。しかし、『オトモダチ利権』と化した国家戦略特区制度は抜本的な見直しが必要であり、本法案には到底賛成できません」と述べ、あわせて加計学園問題を解明するため、前川喜平前文部科学事務次官の証人喚問をあらためて求め、反対討論を終えた。

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