参院本会議で7日、2015年度決算等が賛成多数で承認された。また、内閣官房や内閣府での不適切な物品管理や、商工中金での不正行為など不適切な事態を招いた政府に対し抜本的な改善措置の実施を強く求める7項目の警告決議と、「国家戦略特区制度の運用等について」の項で事業主体の選定理由や経緯等の透明性、公正性を確保するため、これまで具現化した事業の検証を行うと共に今後認定される事業についても常時点検を促すこと等を指摘した10項目の措置要求決議が採択された。

 採決に先立ち、民進党・新緑風会の礒﨑哲史議員は2015年度決算に反対、2015年度国有財産増減及び現在額総計算書に反対、無償貸付状況総計算書に反対、内閣に対する警告案等に賛成の立場から討論を行った。

 礒﨑議員は冒頭、森友学園問題や加計学園問題などについて、「共通するのは、決してスキャンダルなどではなく、税金の使われ方や行政組織のあり方の問題だ。行政に対する国民の信頼を得るためには、事実関係を明らかにし、問題点を見直し、次年度以降の政策に反映させることにより、効率的、効果的な行政運営を行うこと、そして何より公正であることだ」と指摘。政府与党が、事実を解明するための関係者の証人喚問等を拒否していることに対し、「何を恐れているのか。直ちに態度を改めることを強く求める」と訴えた。

 2015年度決算については、(1)長期債務増加の抑制に対して何ら有効な手立てを講じることができていない(2)歳出項目の硬直化により、弾力的な政策運営ができていない(3)安倍内閣による経済政策、いわゆるアベノミクスの失敗が明らかになった――と3点を挙げ、反対を表明。「このままでは2019年10月に予定されている消費税引き上げがまた延期され、本来重点的に措置されるべき社会保障や教育への投資がおろそかにされるのではないか。税制健全化に向けた取り組みが遅れ、将来への付けがさらに大きくなるのではないか。現政権に求められているのは、自らの政策に過ちがあることを認め、速やかに方針を見直し、国家国民のための政策を実践することだ」と求めた。

 また、内閣に対する警告案と措置要求決議案には賛成を表明。警告決議案でも取り上げられた商工中金不正問題での第三者委員会の調査報告書では「誰か一人が『このような処理はおかしい。ステークホルダーに説明がつかない』『正直に事実に向き合った上で、不祥事に立ち向かおう』と声をあげていれば、事態は変わった可能性がある。しかし、そのような『声を上げる異分子』は存在しなかった。その結果、商工中金は『超えてはならない一線』を、組織としての明確な決断のないまま、無自覚に踏み越えることになった」との言葉とともに、「同質性の空気による組織の無自覚な暴走」がどこにでも起きる危険性を指摘していると紹介し、「今後も決算重視の参議院として審議を尽くしていく上で、こうしたリスクが現に存在することを認識し、真摯(しんし)な議論を積み重ねていくことが何より重要だ」と締めくくった。

PDF「礒﨑哲史議員2015年度決算等討論原稿案」礒﨑哲史議員2015年度決算等討論原稿案


討論する礒﨑哲史議員

討論する礒﨑哲史議員