参院法務委員会で8日、共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)の審議が行われ、民進党の福山哲郎議員が質問に立ち、(1)安倍総理と国連事務総長会談の発表内容の食い違い(2)国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の目的に関する「立法ガイド」執筆者の見解(3)組織的犯罪集団構成員以外の関係者等――について政府側の見解をただした。

 福山議員は、国連人権理事会のケナタッチ特別報告者の書簡に関連する安倍総理とグテーレス国連事務総長との懇談について、双方の発表内容が食い違っている問題を取り上げた。日本の外務省が「先方(国連事務総長)は、人権理事会の特別報告者は、国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は、必ずしも国連の総意を反映するものではない旨を述べた」と発表したのに対して、国連側が「特別報告者について、事務総長は安倍首相に対し、国連人権理事会に直接報告する独立した専門家であると述べた」と発表していると指摘。その懇談の詳細を明らかにするよう求めたが、外務省は外交上のやり取りであることを理由に答弁しなかった。

 衆院の共謀罪法案審議でTOC条約について外務省が答弁する際の根拠にした「立法ガイド」に関連して、その執筆者であるニコス・パッサス氏が「同条約がテロ防止が目的か」との質問に対して「テロ防止が目的ではない」と明言したため、それについて金田法相の見解を求めた。金田法相は答弁を拒否、岸外務副相が代わって「一般論として国際的組織的犯罪とテロ活動に強い関連性がある」などと、質問への直接的言及を避けた。

 共謀罪法案の6条の2第2項にある「組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又は組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を2人以上で計画した者」について、その者が組織的犯罪集団の構成員ではないのかを確認した。法務省刑事局長は「組織的犯罪集団の構成員以外の者で関わり合いのある者」と答弁した。それに対して福山議員は、6条の2第2項では「組織的犯罪集団構成員以外の関わり合いのある者」の対象に全く制約がないことから、一般人も含まれてしまう可能性に強い懸念を示した。

共謀罪法案審議中の参院法務委員会

共謀罪法案審議中の参院法務委員会