福山哲郎議員は13日午後の参院法務委員会で、共謀罪法案の適用対象についての政府内の答弁の齟齬(そご)を指摘、「国民を混乱させる答弁を放置したまま採決などあり得ない」と断じました。

 福山議員は、「捜査は刑事訴訟法189条に則って行われるが、現実には嫌疑の存在を前提にしないいわゆる行政警察活動による調査や検討をすることがあるのか」と質問。林刑事局長は、「調査活動について、警察がどの目的で、どの範囲で行ったかによるので答えられない」として答弁を避けた。福山議員は、「日本の刑法は、既遂から捜査が始まる。しかしこの法案によって、計画という既遂の前のところから調査・検討が始まる可能性がある。それが277もの法律に広がることに対して問題がある」と指摘した。

 共謀罪法案の適用対象への答弁で、「安倍総理、金田法務大臣は、犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定していると答えている。林刑事局長は主体に制限は無いと答えている。これは真逆の答弁だ」「刑法は明確性の原則が基本だ。誰がどういう罪でどういう犯罪になるのかは刑法の基本中の基本だ。これで国民はどう判断すればいいのか」と指摘した。金田法務大臣は、「その主体が組織的犯罪集団の構成員及びその周辺者に限定されるとの意味で、組織的犯罪集団は主体の限定であると説明してきた。その説明に訂正はない」と述べ、両者の答弁の矛盾には答えなかった。

 福山議員は、「林局長の答弁には、『制限はない』とある。『関わりがある』とか『周辺』はない。構成員でない者についても計画の主体となることがありうると言っている。金田大臣の答弁と全く違う。こんな国民を混乱させる答弁を放置したまま、この法案を採決するなどということは考えられない」と断じた。