衆院本会議で15日未明、民進、共産、自由、社会の野党4党が共同で提出した安倍内閣不信任決議案の採決が行われ、与党などの反対多数で否決された。採決に先立ち安住淳議員が趣旨弁明を、泉健太議員が賛成討論を行った。

 討論に先立ち安住議員は、参院法務委員会で審議を打ち切って本会議で直接採決する「中間報告」を行った与党側の対応について断固抗議。「参院法務委員会での共謀罪法案の審議は、まだ終わっていない。にもかかわらず、与党側は委員会質疑が未了のまま、本会議中間報告という姑息な手段を用いて、強行採決を行おうとしている。これは、民主主義を否定する憲政史上稀に見る暴挙で、看過できない」と強く抗議した。

 そのうえで、「安倍一強」と言われる政治状況下で安倍政権が生んだ加計学園・森友学園・南スーダンPKO部隊の日報等さまざまな問題・疑惑を列挙し、また議論が不充分だと多くの国民が指摘するなか共謀罪法案の審議を打ち切る数の横暴、国民軽視・国会軽視の政治姿勢を問題視し、信任に値しないと厳しく批判した。

 共謀罪法案に関しては、「われわれが懸念するのは普通の社会生活を送る人が、突然言われなき容疑で調べられたり、内心の自由に踏み込まれたりといったことが、共謀罪法案成立によって起こりかねないということ。国家権力というのはあくまでも抑制的なものであらねばならず、一人一人の人権を一方的に踏みにじるようなことはあってはならない。だからこそ、われわれは共謀罪法案に強く反対している」と訴えた。

 安住議員はまた、「共謀罪法案や加計学園・森友学園疑惑に共通しているのは、権力を持つ者がその権力を、自らの保身や親しい人間のために使っているという点にある。その結果、国民の基本的人権を脅かしたり、行政をゆがめたり、国民の血税や国有地を不正に特定の人間に与えてしまうという問題が現実に起きている。一体誰のために政治を行っているのか。そこに疑念を感じるからこそ、私たち野党は、不信任を突きつける」「世の中には、政治や行政の助けを必要とする人たちがたくさんいる。権力というものは、理不尽な思いをしていたり、光が当たらなかったり、決して顧みられない中でもがんばっている人たちのためにこそ使われるべきであり、そういう方々の信頼があって初めて、政治が成り立つ。そのような人たちから、本来知るべき情報、示すべき文書を隠蔽していては、この国の未来は開けるわけがない」「いびつとも言えるいまの権力のありようをしっかり正していかねばならない。そのための内閣不信任決議案だ」と強調した。

PDF「衆院本会議 内閣不信任決議趣旨弁明(予定稿)安住淳議員」衆院本会議 内閣不信任決議趣旨弁明(予定稿)安住淳議員

 

賛成討論に立った泉健太議員

 賛成討論に立った泉健太議員は、「民進党が不信任案を提出したその最大の理由は、安倍内閣と与党の目に余る国民軽視、国会軽視の姿にある。『民主主義と独裁国の違いは、民主主義ではまず投票して、そのあとで命令をきくが、独裁国では投票する無駄が省かれているということである。』米国の作家チャールズ・ブコウスキーの言葉の通りの出来事が、まさに参院で行われようとしている法務委員会の採決飛ばしではないか。このような行為が与党によって悪びれもなく行われる。この一つをとっても十分不信任に値する」と指弾した。また、「安倍総理自身が最大の問題。とどまりを知らないお友達優遇政治、わが国を監視社会へと変容させる姿勢、経済・財政運営の失敗を認めない姿勢は、我が国の民主主義と経済的繁栄を破壊しかねない危険な動き」だとも指摘し、自民党議員の中からこそ安倍内閣を打倒する声が上がるべきではないかと呼びかけ、討論をしめくくった。

PDF「衆院本会議 内閣不信任決議賛成討論(予定稿)泉健太議員」衆院本会議 内閣不信任決議賛成討論(予定稿)泉健太議員