野田佳彦幹事長、大串博志政務調査会長らは15日午前、国会内で日本労働組合連合会(連合)の逢見直人事務局長ら役員の訪問を受け、「2018年度 連合の重点政策」に関し要望を受け、意見交換を行った(写真上は、連合の逢見事務局長から要望書を受け取る野田幹事長ら)。

 冒頭、あいさつに立った逢見事務局長は、同日朝に参院で「中間報告」というだまし打ちのような手段によって成立した共謀罪法について、「われわれ連合としても、テロ対策は必要だがこの法案が果たして本当にテロ対策に有効なものなのかどうか、実際に犯罪が行われなくてもその準備段階から逮捕されることになることがわれわれの活動にも影響があるのかなど、さまざまな疑問点を指摘していた。審議をすればするほど問題が解明どころかますます混乱しまうという、非常に問題のある法案が成立してしまった。特に昨日から今日にかけての参院での審議経過を見ると国政に大きな汚点を残す、与党の横暴が際立った国会だった。われわれとしてもこの結果を受け止め、次の国政選挙に向けてしっかりやっていきたいという気持ちを新たにしたところだ」と述べた。その上で、連合の重点政策について、「われわれも『働くことを軸とする安心社会』の実現に向けて政策を立案したので、ぜひ党の政策の反映していただきたい」と求めた。

あいさつする野田幹事長

 野田幹事長もあいさつのなかで共謀罪法案をめぐる与党の横暴な国会運営に触れ、「まさに日本の議会制民主主義に大きな汚点を残すことだと思う」と厳しく非難。「ここまで強硬にやってきた背景には加計学園の問題をこれ以上追及されたくないからだろうと推察せざるを得ない。瓜田に靴を入れ、李下に冠をただしているとみんなが思っている。それなのに『印象操作』だと開き直りいまだに調査報告が出てこないというやり方をしている。この隠ぺい体制に対しても追及していかなければいけない」と力を込めた。要請書については、「私たちの主張と重なるものがたくさんある」とする受け止めを示し、「私たち民進党は綱領のなかに『生活者、消費者、納税者、働く者の立場に立つ』と明記している。働く者の仲間の皆さんのご要請はしっかりと受け止め、これからの政策に大いに生かしていきたい」と述べた。

 重点政策では、「震災からの復興・再生の着実な推進」と「『働くことを軸とする安心社会』の実現に向けて」を柱とし、最重点政策として、(1)東日本大震災からの復興・再生の着実な推進(2)経済・産業政策と雇用政策の一体的推進および中小企業・地域産業への支援強化(3)「公平・連帯・納得」の税制改革の実現(4)長時間労働是正に向けた法整備と労働者保護ルールの堅持・強化(5)すべての労働者の雇用の安定と公正処遇の確保(6)すべての世代が安心できる社会保障制度の確立とワーク・ライフ・バランス社会の早期実現(7)「子どもの貧困」の解消に向けた政策の推進――の7項目を列挙し、それぞれ具体策を明示。「わが国経済を持続的に発展させ、包括的な社会を構築していくためには、誰もが安心して働くことができるワークルールとディーセント・ワークの確立、分厚い中間層の復活に向けた適正な分配の実現、全世代支援型の社会保障制度の再構築、すべての子どもの教育機会の保障をはじめ、すべての働く者・生活者のくらしの底上げ・底支え、格差是正、貧困の撲滅に資する政策の実行が不可欠」だとして、働く者の立場から取りまとめた重点政策について当面の経済財政運営や、18年度予算編成で反映してほしいと要請している。

 会議では、川島千裕総合政治局長が要請の概要について説明し、それを受け大串政調会長が「具体的な政策立案に生かしていきたい」などと所感をコメント。「働き方改革」が大きなテーマとなるとみられる秋の臨時国会や、18年度予算編成などについて意見を交わした。

 民進党からは他に羽田雄一郎団体交流委員長、吉川沙織団体交流副委員長が出席。連合からは、新谷信幸、安永貴夫両副事務局長、井村和夫総合政治局長、村上陽子総合労働局長らが出席した。