野田佳彦幹事長は19日午後、国会内で定例記者会見を開催。(1)イージス艦衝突事故(2)第193通常国会(3)東京都議会議員選挙――等について発言した。

 17日未明、静岡県の伊豆半島沖で米国海軍のイージス駆逐艦とフィリピン船籍のコンテナ船が衝突した事故で、行方不明になっていた乗組員7人全員の死亡が確認された。野田幹事長はこれを受け、「亡くなられた乗組員の皆さんのご冥福をお祈りするとともに、負傷された皆さまにお見舞いを申し上げたい」と表明。政府に対しては、「米軍と協力しながら早急に事故原因の解明を行い、再発防止策を講じていただきたい」と求めた。

 18日に閉会した第193通常国会については、「政府与党の極めて乱暴で強権的な国会運営が目立ったと思う。その極めつけが、最終盤での参院法務委員会での共謀罪法案をめぐる中間報告だったと受け止めている。私も衆院を7期務めているが、与党の委員長の下でこれだけ大事な法案がこういう強引なやり方で行われることは前例がないのではないか」と振り返った。第2次安倍政権が発足して4年半が経過するなか、年々こうした傾向が強まっているとの認識を示し、「明らかに長期政権による奢り、傲慢さがむき出しになってきていると思わざるを得ない。こうした奢りや傲慢さは政権の隠蔽体質も表していると思う。天下り問題に自衛隊のPKO日報問題、森友学園問題、加計学園問題と、安倍政権は何一つ国民にまともに説明をしていない。国民の意見を聞かず、都合の悪いことは隠蔽(いんぺい)するという、長期政権の典型的な欠点が随所に出てきて、露骨になっている。こうした安倍政権の体質に国民も気づき始めているのではないか」と指摘。一方で、今国会で天皇陛下の退位を認める特例法が自由党を除く与野党の全会一致で可決、成立したことには、「民主的なプロセスを経て初めて実現した退位であり、その意義は大変大きい。衆参両院の正副議長をはじめ、ご努力を頂いた方に敬意を表したい」と述べた。

 その上で、民進党が森友学園や加計学園の疑惑追及や、退位特例法をめぐる国会の議論をリードしてきたことに言及、「あらためてわが党には専門的な知見を有する優秀な同志が数多くいることを確認した国会でもあった。こうした同僚が数多くいることを国民に伝えることで民進党に対する信頼、期待を回復していきたい」と力を込めた。

 民進党の対応として具体的に、政府提出の66法案のうち79%の52法案に賛成していること、反対した15法案については対案や修正案を出し党の考え方をしっかりまとめ、対応していることなどを強調。民進党のテロ対策の考え方としての航空保安法案や、「介護崩壊防止法案」など継続を含め議員立法59法案(新規19法案)を提出していることにも触れ、「緊急に解決しなければいけない課題についてもしっかりと法案を提出している。提案を行うとともに、よく議論し、何でも反対ではなく賛同できるものは賛同している」と述べた。

 同日夕、安倍総理が記者会見を行う予定であることを踏まえ、「おそらく加計問題をめぐる弁明などが行われると思うが、会見で一方的に話すのではなくぜひ国会の場できちんと話をし、質問に答えていくことこそが誠実な姿勢だと思うので、そのことをあらためて強く求めたい」「おそらく人材への投資など、人への投資を主張しているわが党の主張にかぶせてくるのではないかと思うが、この国会の最後にわが党は教育の無償化法案を提出し。人材の投資を言われるのなら、来るべき臨時国会でこの法案を審議してほしい」と注文をつけた。

 報道機関各社の世論調査で、のきなみ内閣支持率が10%程度下がり、不支持率が10%程度上がったことには、「一概にくくっては言えないが、間違いなく終盤国会の共謀罪法案の強行採決や、加計学園問題が消化不良に終わったこと、逃げ切りを図ろうとした姿勢は国民に対して説明不足だと映り、政権への厳しい数字になってきているのだと思う」と分析。内閣支持率の低下が直ちに民進党の支持率上昇につながっていないとの質問には、「民進党の終盤国会での攻勢があったがゆえに内閣支持率が下がったと思う」と前向きにとらえ、「閉会中も同じような戦いを行い、政権への支持層が剥がれ落ちてきた分をしっかりと受け止め都議選に臨んでいけるよう、頑張っていきたい」と述べた。