党役員会見に関する基本的な方針について

野田佳彦幹事長記者会見

2017年6月26日(月)10時30分~10時54分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=GmxP12fKqQM


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○加計学園問題・「獣医学部新設推進」首相発言について

【幹事長】
 土曜日(24日・神戸「正論」懇話会の設立記念特別講演会)の講演で安倍総理は、獣医学部の新設について、「今治市だけに限定する必要は全くない。意欲あるところにはどんどん獣医学部の新設を認めていく」という発言をされました。おそらく、その前の日の前川前文科次官の会見を打ち消したかったという気持ちなのだろうと思いますが、これまでの説明を根底からひっくり返す発言であり、総理の焦りを非常に強く感じる発言だなと思いました。
 大体、「石破4原則」はどうなっちゃったのかなと思います。需給の問題など含めて、丁寧な議論の積み重ねがあったはずです。それを総理の意向で行政を捻じ曲げたのではないかという疑いが強まり、その批判が余りにも強いので、今度は従来の説明とは全く異なる見解を思いつきでまた言っていると思います。思いつきの、また新しい「総理のご意向」だと思います。極めて乱暴な考え方だと思います。
 加計問題については、引き続きご質問があればお答えをしていきたいと思います。

○東京都議会議員選挙について

【幹事長】
 都議選については、先週金曜日(23日)に告示されまして、代表を筆頭に多くの党内の議員が応援に入っております。まだ序盤戦でございますので、手応え云々と言うのには早いかもしれませんが、少なくとも、私も国会中から朝立ちなどをしていましたが、閉会後のほうが、やはり耳を傾けてくださる方が確実に増えているなという気がします。
 きょう(26日)、いろいろな世論調査の結果についてもご質問があるかもしれませんが、残念ながら自民党の批判票が都民ファーストに流れている感があります。その受け皿に我々が、これからの6日間の取り組みでしっかりとなっていかなければいけないと思います。
 臨時国会の要求をしていますが、残念ながらなしのつぶてです。竹下自民党国対委員長が「都議選の結果を見て考える」と言っていますので、真相究明のための国会を開くための一票はやはり民進党であるということをしっかりと主張していく。
 同時に、やはり小池知事の改革姿勢は堅持してほしいと思いますし、正しいことをずっとやっていくならば後押しをしていきたいと思いますが、「豊洲か、築地か」という議論がずっとこれまであった中で、「豊洲も、築地も」という、そういう結論・方向性を出されました。これについては、あいまいな表現だと何となく「そういうものがあるのかな」と、有権者の皆さん、都民の皆さん、思うかもしれませんが、そうするとこれまでも豊洲に約6000億円ものお金が投入され、そのうち3600億円が借金でありますので、それではとても済まないだろうと。1兆、2兆と経費がかさんでいく可能性が十分あるし、じゃあその財源はどうするのだという議論になります。その時に、やはり具体的に財源の問題を含めてチェックできる、やはりそういう都議会議員が必要だと思います。それを担えるのは、やはり民進党の都議会議員候補だと思います。
 そういうことも含めて、残り6日間、全力を尽くして、多くの仲間が当選ラインに届くように頑張っていきたい。

○憲法論議・「臨時国会に自民改憲案提出」首相発言について

【幹事長】
 また、総理の講演に関しては、これは獣医学部新設のみならず、秋の臨時国会に憲法改正案を提出したい(「来るべき臨時国会が終わる前に、衆参の憲法審査会に自民党の案を提出したい」)という発言もございました。
 内容も、議論のスピードも、自民党内で十分に議論された上での発言とはとても思えません。ここまで、いつまでにとかスケジュール感も含めて総理が一人で決めていくようなことに対して異論も出ないということ、党内が本当に萎縮しているのかなと思わざるを得ません。
 私達は、この夏、全国11ブロックで国民との対話集会を開いていきますが、いつまでに何を決めなければいけないということではなくて、やはり国民とともに未来志向の憲法を構想する、というスタンスのもとで、丁寧に丁寧に議論を進めていきたいと考えております。


■質疑

○東京都議会議員選挙について

【読売新聞・藤原記者】
 都議選について伺いたい。冒頭でも言及があったが、弊社も含めて、支持率がさらに落ちていることから見ても政権批判が高まっているように思うが、その受け皿に民進党がなり切れていないというのはおっしゃるとおり数字にも表れている。野党第一党にもかかわらず受け皿になり切れていないのは、何が要因だと考えておられるか。
 それから、訴えるべきこともおっしゃったが、あと1週間足らずの間にとりわけ重点的に訴えていく点、方向性はどういうところか。

【幹事長】
 やはり基本的には候補者あるいは応援をする人達の説明の仕方、主張の仕方だと思います。
 加計学園の問題を含めて国政をめぐる政権のおごりを批判する、でもそれは小池知事もおっしゃっている、そうすると批判をする勢力は分散をしてしまう中で、小池知事を支持する人達が自民の批判層として受け皿になっていっている、というのが現状だと思います。
 ただ実際に、臨時国会を開く、閉会中審査を開くという国会の判断にかかわることについては、やはり我々民進党が受け皿にならないと、国会を開くということの一つの要因にならないわけですので、そこはきちっと説明していかなければいけないのではないか。それぞれ尊き清き一票ですが、都の将来を考えた一票であると同時に、国会を開くか開かないかという、そういうところにもつながる一票という意味では、民進党が受け皿であるということをちゃんと伝えていかなければいけないと思います。
 また、都政にかかわる問題でも、先ほど言った豊洲の問題など、やはり具体的に財源の問題、経費の問題含めて、厳しくチェックする役割を誰が果たすのかという意味でも、自分達の存在感というものをもっとアピールしていかなければいけないと思います。

【朝日新聞・岡本記者】
 受け皿に民進党がなり切れていないということだが、各社の調査を見ると、数字のばらつきはあれど、野党で言えば共産党のほうが受け皿になっているのではないかというような数字が出ている。共産党ではできなくて民進党にしかできないんだというところを訴えることを、もう少しわかりやすく教えていただきたい。

【幹事長】
 やはり野党第一党でありますので、他の野党との連携ももちろんしっかりやっていきながらではありますが、国会の開会にかかわる原動力になるのはやはり野党第一党だと思いますし、加計問題なども、あれは我が党の調査チームが必死にやって、ここまでいろいろな問題を浮き彫りにしてまいりましたよね。そういうことも含めて、きちっと物を言っていくということが大事だろうと思います。

【読売新聞・藤原記者】
 豊洲への移転に関して、例えばけさの幹事長や蓮舫代表の街頭演説を聞いていても、財源論に対して、これからどうしていくのか、議会でしっかりチェックすることが必要だという主張をされていると思うが、小池さんが言った新しい方針そのものに対する賛否。これはいいとこ取りなのではないかとか、いろいろな意見が出ているが、これそのものについてはどういうふうに捉えているか。

【幹事長】
 新しい方針がまだ抽象的なので、評価しにくいところがあります。「豊洲も、築地も」と、「それができればいいな」と思う人は多いと思いますが、具体的にどういうスケジュール感で進めていくのか、どういう事業をどれくらいのコストをかけてやっていくのかというのが見えてきていないので、そこの具体的な評価はまだできていないと思います。
 ただ、具体的な方針が示されてきたならば、先ほど言ったように、経費がどれくらいかかっていくか、見込みを立てて、そして財源をどう確保するかという議論をしなければいけないわけで、それはやはり、一定のプロの目というか、経験者の目でチェックする必要があると思う。小池さんが方針を出したら「はい、そうですね」と言う人達ばかりではいけない。やはり納税者の視点からのチェック、議会としてのチェック機能が必要になってくると思います。その意味では、都議会の民進党は無駄の見直しで720億円をつくり、それを子育て支援などに使ったという実績もある。その実績を踏まえた観点からのチェックが必要だろうと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 きのうも都議選の演説をされていたが、都議選は今の安倍官邸とか一強安倍さんにお灸を据える選挙になると、そういう実感というのが少し湧いてきているのかどうか。別に民進党に人気が出るかどうかではなくて、お灸を据える選挙ということが焦点だと私は思っているが、その辺はどうご覧になっているか。

【幹事長】
 自民党への嫌悪感は蔓延してきていると思う。それをやはり投票行動でしっかりと表していただくということは、お灸を据えるということになっていくのだろうと思います。私、街頭でよく「鉄拳を下す」と言っちゃうのですが、鉄拳とかなんとかと言うと自民党2回生みたいなので、そういうことはやっちゃいけないと思いますが、やはり「お灸を据える」とか「ノーという意思表示を突きつける」とか「猛省を促す」とか、そういう位置づけの都議選になりつつあるのではないかと思います。

○加計学園問題について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 「前川は官僚のクズだ」と、そういうネガティブキャンペーンを張っているメディアもあるぐらいだが、本物のクズはどこにいるのかというのはやはり国会が白黒つけるべきだと思うが、前川さんの会見も含めてどういうふうにご覧になったのか、率直な感想を伺いたい。

【幹事長】
 前川さんが、最初に会見をした時に、あの文書は「本物」だとおっしゃったけれども、官房長官は「怪文書」と言って、そして人格攻撃をしてきた。結果的には前川さんの言っていたことが本当だった。
 この間の会見でも、総理に対して説明責任を求めていらっしゃいました。これがやはり国民の声だと思いますし、その過程で前川さんもまた国会で証言をすることも基本的に構わないという姿勢でございましたので、ぜひ、やはり国会の中で前川さんの発言を聞きたいなと思いました。
 感触として、やはり総理の意向で行政が捻じ曲げられ、萩生田官房副長官であるとか、あるいは和泉首相補佐官であるとか、こういう人達が深く介入しているということを強く印象として持っていらっしゃることがよくわかりましたので、そのチェックを我々が補強していかなければいけないということを強く感じました。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 あわせて、いわゆる官邸と巨大メディアの連動というのか、毒針みたいな話だが、そういう指摘もあった。私はこの商売をずっとやっているが、こういうことは日本のメディアにおいて今までなかったと思う。それは憶測だとは言っていたが、やはりそういうメディア状況というものについて、「共謀罪」の問題もあるが、どのようにご覧になったか伺いたい。

【幹事長】
 メディアの人達を私が一概に今一つで区切って何かチェックするようなお話をすることはしにくいわけですが、やはり数字を踏まえて、少し変わりつつあるところもあるのではないでしょうか。内閣の支持率の問題を含めて。やはり世論というものを踏まえながら対応するようになってくるのではないかなと、期待をしたいと思います。
 ただ、総理がしゃべりやすいところに行ってしゃべっている中では、特定のメディアを選んでいる感がまだあります。国会でしゃべらないで、あるいは都議選の街頭でしゃべらないで、自分がしゃべりやすいメディア、そして自分の支持層が集まるところで言っているという傾向が極めて強いと思いますので、私は、むしろメディアの姿勢というよりも、メディアを取捨選択する総理や官邸の姿勢に強い疑問を持っています。

○憲法論議について

【テレビ朝日・村上記者】
 安倍総理の示した憲法改正案に関して、先ほど幹事長は、民進党はいつまでに何を決めるかではないとおっしゃったが、秋の臨時国会で改正案が提出されたら、おそらく来年の通常国会では大きなテーマになると考えられる。それに対して民進党はどのように対応していくお考えか。

【幹事長】
 もともと言っていたのは、それがいいかどうかは別として、年内に自民党の考え方をまとめていって来年の通常国会で提案をしてくるような動きだったのに、なんで前倒しするのですかね。その説明がないではないですか。急遽前倒しの話になってきたでしょう。
 そこから、透けて見えるのは、国会を開いたらまた加計学園の問題などで追及されるから、憲法という大事な問題を議論しようとしているのに他の問題で邪魔するな、ということをやろうということではないですか。全て「加計隠し」に見えますよね、「加計隠し」。
 都議選だって、逃げて隠れている。国会を開いても、逃げて隠れようという話ですよ。それに憲法を使っていると。先ほどの獣医学部の話だって、急にまた、広くどこでもやっていいですよって、コロッと変わっているじゃないですか、従来説明していた政策が。もうコロコロコロコロ、思いつきで。憲法まで思いつきでやるな、と言いたい。丁寧な議論が必要です、憲法は。

【テレビ朝日・村上記者】
 仮に通常国会で憲法改正案が議論される場合は、民進党案というものをテーブルにはのせないと。

【幹事長】
 だから、いつまでに何とか案をまとめるというスタンスではない。(国民との)対話はしっかりやっていきます。対話の中で、これまで民進党の中で蓄積した議論の中でこんなことを考えています、ということはお話しする。そこで9条も出てくるかもしれません。9条を排除するということはありません。9条に限定する議論でもないです。幅広く対話をやっていきながら、そして民進党としての国民との対話を踏まえて、党内での議論を深めていくというプロセスを行っていくということなので、臨時国会までにとか、来年の通常国会までに自民党と競って案を出すというスタンスではないということです。

【NHK・山枡記者】
 憲法の関連で、政党によっては、今の都議選の街頭演説などで、都議選の結果が憲法改正の議論に影響していくということをもって、我が党を支持してくださいという訴えをしているところもある。今回の都議選の結果と今後の憲法論議への影響はどのようにお考えか。

【幹事長】
 都議選の結果が憲法まで結びつくというのは、余りにも飛躍があるのではないでしょうか。それは違うと思います。

【朝日新聞・岡本記者】
 そもそも論だが、民進党にとって憲法改正というものの優先順位はどんなところにあるのか。要するに実際にいろいろな問題が出てきている、個々の政策等々、いろいろなものがある中で、民進党にとっての憲法改正の優先順位というのはどの辺にあるのかというのをわかりやすく伺いたい。

【幹事長】
 優先順位といっても、確かに憲法というのは日本の国の基本中の基本です。まさに、変えるとするならば、グランドデザインを変えていくという話になるわけですから、大事な議論になると思いますが、喫緊の課題として位置づけているわけではない。経済や外交・安全保障、いろいろやらなければいけない課題がいっぱいあると思います。例えば(民進党は)教育の無償化も提案し、法案も出しました。でも、それは憲法改正しなければできないことではなくて、あくまで財源論だと思っているわけです。
 やりたい政策はいっぱいありますが、それは憲法を変えなければできないということではない。だからこそ国のグランドデザインにかかわることについては丁寧な議論をやって、多くの国民が納得をするというものが生まれてきて、初めて動き出さなければいけないものだと思いますので、今、そこまで醸成されているかというと、そうではないと思います。
 ただ、丁寧な対話、やりとりは常にやっておかなければいけないと思います。

○憲法53条に基づく臨時国会召集要求について

【NHK・山枡記者】
 冒頭おっしゃった、4野党が求めた臨時国会の召集に対して、官邸が拒否してきた。竹下さんは、都議選の結果を踏まえてということをおっしゃった。じゃあ今後、どうしていくかということだが、そもそも都議選の結果と閉中審査がどうかかわってくるかということもあると思うが、どういうふうに今後野党として対応していかれるか、お考えがあれば伺いたい。

【幹事長】
 我々は、加計疑惑・森友疑惑などの真相を究明するための臨時国会を速やかに召集せよという要求をしている。それは今は(例年と同様の)秋の前提の話ですが、「速やかに」ということは本当に速やかにであって、その要求はずっと続けていきたいと思います。
 憲法改正の草案なるものを、考え方を次の臨時国会で提出すると(首相は)言っていますが、憲法(改正)を言うのだったら、まずは安倍政権は憲法(99条)の尊重義務を果たしてもらいたいと思います。(私たちは)憲法53条に基づく要請をしているわけであって、総理も「何か指摘があれば、政府としてはその都度、真摯に説明責任を果たしてまいります」と言っているわけでしょう。指摘どころではない。憲法を踏まえた要求を我々はしているわけなので、新しい事実も出てきているわけなので、速やかに臨時国会を要求するということは、これからもずっと言い続けていきたいと思います。
 できれば(総理に要求を直接するために)官邸に行って、と思っていましたが、会いたくないと。それはないだろうと思いますよね。今、何やっているんですかね、総理。時間あるんじゃないですかね。きのう(25日・日曜日)もずっと私邸でしょう。きのうだってよかったんですよ。余りにも逃げたり隠れたりで、自分を隠すボードとして憲法とかいろいろ掲げるわけでしょう。獣医学部も今度、広くやるとか。ちょっとおかしいですね、全く説明責任を果たそうとしていないと思います。我々も苦しい局面ですが、逃げも隠れもせずにしっかりと主張していくというのが政党であり政治家だと思いますから、ピンチの時に逃げるような政治というのは一番よくないと思います。